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G1後半戦-EVILがオカダに、ジュースがケニーに激勝! “レスラーは35歳までが岐路”説と「ジュース」「ヘナーレ」の名前について

 新日本プロレスのG1クライマックスも、あっという間に後半戦である。

 そして8月5日の大阪エディオンアリーナ大会では――

 “キング・オブ・ダークネス”EVILがオカダ・カズチカを、

 ジュース・ロビンソンがケニー・オメガを

 破るという、大殊勲・大金星をモノにした。


 このうち特にジュースがオメガを破るというのは、プロレスファンにとっても「え、ホントかよ」と思ってしまう出来事だったろう。

 また、すっかり無敵状態になり「誰が負かすのか」が大命題&注目の的になってしまったオカダについても、それを最初に成し遂げたのがEVILだというのも、意外と言えば意外かもしれない。
 
 しかし、今回のG1参戦選手のうち誰がオカダを負かすのに最もふさわしいかと言えば――

 その答えがEVILだというのは、案外順当な(人によっては「ありがちな」)結論だったとも言える。


 なぜならオカダ・カズチカが29歳なのに対し、EVIL(渡辺高章)は30歳。

(2人は同じ1987年生まれで、EVILが1月、オカダが11月生まれ。)

 SANADA(1988年1月生まれの29歳)ら所属外選手を除けば――つまり新日本“純血”で言えば、最も年齢が近接した非ヤングライオン同士と言えるからだ。

 オカダが本当に無敵で負けないチャンピオンであれば、IWGPヘビーのベルトが移動しないのであれば、さしもの新日本の人気も落ちてくるだろう。(人はどうしても飽きるのだから……)

 だから何としても、オカダを倒せる有力な(そして、負かすことに説得力のある)ライバルはいてもらわなくては困る。

 しかも会社にとっての世代交代の視点で言えば、同年代または年下である方がずっと好ましい。

(いずれ早いうち、1985年12月生まれ(今は31歳)の北村克哉もオカダのライバルになるだろう。

 今でさえ、「この人が負けるのはおかしいんじゃないか」とファンは感じているはずだ。)


 
 思うに「転職できるのは35歳まで」という“通則・通念”が一般社会にはあるが――

 将来団体の柱になれるレスラーというのも、35歳あたりがリミットではないだろうか?

(つまり、今現在において35歳以上であってトップ戦線に食い込んでいないレスラーというのは、中堅で終わる可能性が高いということだ。)



 ところで話は変わるのだが、ジュース・ロビンソン……

 なんだか「永遠の若手」といった雰囲気を持つ彼だが、なんでまたわざわざリングネームを「ジュース」にしたのだろう?

 彼にしろ負傷欠場中の「ヘナーレ」もそうだが、新日本に参戦する外国人選手の何割かは、なぜか「日本人にとってちょっと面白い」リングネームである。

 「ジュース」はもちろん飲むジュースだし、「ヘナーレ」は「ヘナヘナ」を連想させる。

 女子プロレスを見ている人なら、旧姓・広田さくらの“必殺技”である「ヘナーラ・サンセット」を想像せずにはいられない。


 どうも彼らは、このリングネームを変えないとチャンピオンになれない(ふさわしくない)とさえも感じてしまう。

 もし新日本がWWEなら、間違いなくリングネームを変更させているはずである。

 たかが名前、と言えばそうだが、しかし新日本プロレスで最強の外国人選手が「ジュース」とか「ヘナーレ」とかいう名前だと聞けば――

 何も知らない一般世間の人は、「新日本プロレスって、コミカル路線なの?」と思っても不思議はない。

 いやもしかしてジュースもヘナーレも、新日本の方針の中では、EVILのように「変身予定」なのだろうか……?

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中邑真輔、ジョン・シナに勝利-日本人2人目のWWE王座戴冠へ

 8月1日(日本時間では8月2日)、米オハイオ州クリーブランドで行われたWWEスマックダウン大会において――

 中邑真輔がジョン・シナに勝利し、ジンダー・マハルの持つWWE世界ヘビー級王座への挑戦権を獲得した。

(⇒ スポーツ報知2017年8月2日記事:中邑真輔がついにWWE王座に挑戦…シナとの決定戦で勝利)


 私はWWEについてもシナについても詳しくはないが、これはものすごい快挙なのだろう。

 今のシナはスターになりすぎて(40歳なので、引退も近いせいか)スポット参戦的な地位にあるようだが、彼が負けること自体なかなか珍しいことのはずだ。

(とはいえ、今の日本のマット界で藤波辰爾や藤原喜明がフォール負けすることよりは珍しくないに違いない。)


 8月20日のサマースラムというビッグマッチ(米ニューヨーク州・ブルックリン)で中邑とマハルは戦うのだが――

 どうもマハルが相手なら、中邑が勝つ予感がするのは私だけではないだろう。

 シナに勝ったのならマハルにも勝つだろう、と予測するのは、そんなに的外れなことではあるまい。


 そして9月16日にはWWEの日本公演(エディオンアリーナ大阪)があり、中邑はそれに参戦することに以前から決まっている。

 もしかして6月30日・7月1日の東京公演(両国国技館)に中邑の参戦がなかったのは、これを見越してのことだったのかと思わないでもない。

 中邑がWWEに行って2年も経たないうちにWWEの王者として日本に凱旋するなど、相当中邑に期待をかけていた日本のファンにしても、ほとんど望外の大躍進に違いない。

 
 もし中邑が本当にマハルに勝てば――

 それはWWEの前身であるWWFにおいて、一時ではあるがWWFヘビー級王座に就いたことのあるアントニオ猪木以来の日本人王者誕生である。


(猪木は1979年11月30日、徳島市立体育館でボブ・バックランドを破り第9代WWFヘビー級王座を戴冠。

 同年12月6日のリターンマッチでバックランドと対戦しノーコンテスト=初防衛成功に終わるが、試合内容に不満があったとして王座返上している。)


 もっとも、かつて猪木の懐刀の新間寿(しんま ひさし)氏が名目上にせよWWF会長だったことがある(1978年~1984年)ということに比べれば、そのスゴさはいささか劣るかもしれない。

(これって、今から考えても信じられないことに思える。)

 
 かつて中邑は新日本時代、リング上で「猪木ー!」と絶叫した。(2009年9月27日)

 それはアントニオ猪木への明確な挑戦表明だったはずなのだが、プロレス界で良くあることとしてすぐにウヤムヤになってしまった。

 しかし中邑がWWEヘビー級王座を戴冠すれば、結果的に猪木と並ぶ実績を残したことになる。


(もっとも今のWWEの公式史では、猪木のWWFヘビー級王座戴冠は認められていない。

 よって中邑は公式には、「日本人初のWWE・WWFヘビー級王者」ということになる。)

 
 ひょっとしたら中邑真輔こそは、「史上最高の日本人レスラー」として世界のプロレスファンに認められることになるかもしれない……


 なお、中邑については「レスラー短感」で何本か記事を書いているので、参考までに。

(⇒ 2015年7月8日記事:レスラー短感03-1 中邑真輔はなぜ「キング・オブ・ストロングスタイル」なのか?)

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RIZIN7.31さいたまSA大会短感 真珠・野沢オークライヤーvs世志琥はあるか?

 RIZIN7月31日さいたまスーパーアリーナ大会を、地上波放送で見た。

(用事があったので途中からだが……)

 同じような視聴をした皆さん、一番印象に残ったのは何だったろうか?

 私は何と言っても最後の試合、真珠・野沢オークライヤーvsシーナ・スターだった。

 いや試合そのものより、画面右下に映っていたオークライヤーの母・野沢直子の凄まじいまでの応援ぶりである。

 「選手と一体になって戦う」というのは、まさにああいうのを言うのではなかろうか?


 オークライヤーとの約束で「声は出さない」ことにしていたというが、まぁ立ち上がってパンチを食らわしたり飛び跳ねたりと――

 今回は那須川天心に速攻負けして叫ぶ間もなかった、才賀紀左衛門の妻・あびる優の“絶叫芸”をも上回る(埋め合わせる)インパクトであった。


 余談だが、RIZINにおける「画面右下映像」というのは、何だかRIZINのウリというか名物になっているような案配である。

 RIZINがPRIDEのように過去のものになったとしたら、格闘技ファンならぬ一般人の記憶に残っているのは「画面右下映像」だった、ということにさえなりかねない。

 ところで私は野沢直子という人の名前と、その人が女優だということだけは知っていたが、どんな人なのかは全く知らない。

(それくらい芸能界とか女優とかには興味ないのだ。) 

 よって私の頭の中には、野沢直子とは「面白いオバチャン」だとインプットされた次第……


 それにしてもオークライヤーの試合、現場では全11試合のうち第2試合なのに、地上波テレビ放送ではメインイベント(最後の放送順)である。

 これはプロレスと全く同じで、要するに「ゼニの(視聴率の)取れる奴」がメインイベンターということだろう。 


 「野沢直子の娘」という知名度(私は野沢直子自体を知らないが、世間の人はよく知っているのだろう)に加え、美形でもあるためテレビ局は推しやすい。

 RENAもそうだがつまり格闘技界であっても、このブログで何度も触れてきた「美人資本主義」の影響から脱することは決してできない。

(その点ご本人やファンには大変失礼ながら、キングREINAはちょっと弱いというところだろうか――)


 しかしそういうことには目をつぶるとしても、なおオークライヤーの試合は見事だったと思う。

 女優の娘だから度胸がある/緊張しない、というのもあるのだろうが、相手を(地味に)流血させての鉄槌パンチや腕ひしぎなど、「テレビ格闘技鮮烈デビュー」と言ってよい。

(プロレス界で比べるなら、木村花みたいなものだろうか。)

 まだ若いルーキーのはずなのに、メインイベンターの資格は充分ありそう――

 そして総合格闘技ファンならば、あの石井慧に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい、と思う人が多そうでもある。


 なお今回も女子の試合では、リングサイドに座って観戦及びメモを取る神取忍の姿が映し出されていた。

 おそらく神取は、大晦日のRIZINに(対ギャビ・ガルシア戦で)出るのだろう。

 しかしこれだけ待たせておいて、いざ本番となったらコロッと負けることがあったらどうなるだろう。

 そしてその可能性が決して低くない――RIZIN女子選手の試合を見ているとますますそう思えてくるというのは、プロレスファンの偽らざる心境だろう。


 だが、神取が負けたとしても世志琥がいる。

 世志琥はいずれ、RIZINに登場することになるはずだ。

 そうなればほぼ間違いなく、「野沢オークライヤーvs世志琥」、「RENA vs世志琥」などというカードが組まれることになる。

 格闘技界の美人資本主義に乗っかって――と言えば世志琥に殴られるだろう。

 しかし真面目な話、これは世志琥がダンプ松本以来の「日本人みんなが知ってる(ヒール)女子プロレスラー」になるチャンスでもあるのだ。


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アイスリボン未成年女子レスラー逮捕の波紋と今後

 7月24日、女子プロレスの有力団体アイスリボンは緊急会見を開き、自団体所属の未成年レスラー19歳が所属外女子レスラー25歳を傷害して逮捕されたと発表した。

(⇒ 東スポweb7月24日記事:女子プロレス「アイスリボン」所属未成年レスラー逮捕 友人レスラーと深夜にケンカ)

(⇒ 東スポweb7月25日記事:未成年女子プロレスラー逮捕 上り調子の業界への悪影響は…)


 ネット上の特定情報によると、逮捕された19歳女子レスラーとは「つくし」のことであり、25歳の25歳女子レスラーとは「花月(かげつ)」のことであるという。

 加害者にしても被害者にしても、プロレスファンには実に意外な組み合わせではないだろうか?

 花月がつくしと仲のいい友人で長年の相談相手だったというのも、私は寡聞にして初めて知った。

 大方のプロレスファンの見立てでは、もしこの二人がリング上で対戦すれば、花月が勝つ方に票を入れるだろう。

(実力も、「格」という点から見ても……)


 つくしは、カワイイ系に分類されるレスラーである。

 しかし一面、気の強さでも知られている。

 もちろんレスラーになるような女子は、普通の女子よりずっと気が強い(面がある)のは当たり前と言えば当たり前だが――

 とはいえ深夜に同じ女子レスラーとケンカして警官に逮捕されるまでとは、ファンも思っていなかったろう。


 一方の花月と言えば、つい最近「プロレス活動無期限休養」を発表したかと思えば1ヶ月ほどで超スピード復帰、腹筋の割れた肉体改造を施し、女子プロレス界最大勢力のスターダムにおいてユニット「大江戸隊」のリーダーとして活躍している。

 女子プロレス界の「男っぽい女子」の代表格の一人であり、まさに今、上り調子の真っ只中という印象だ。

 その二人が――あのつくしが、あの花月にそこまでやるとは、実に意外……

 だがこれをもって「花月はリアルファイトに弱い」とするのは早計だろう。

 ケンカと言ってもいきなり背後から頭を殴りつけるという始まり方もあるのだし、花月の方も「大人の対応」をしたという可能性もあるのだから――


 なお、レスラー同士のケンカと言えば、これが男子なら武勇伝や“語り継がれる伝説”になることが多い。

 最も名高いレスラー間のケンカと言えば、UWFが新日本プロレスに出戻っていた頃の、前田日明らUWF勢と武藤敬司ら新日本勢の「旅館一軒を壊した」というあのケンカである。


(UWFと新日本の懇親宴会の席で起こった。)

 しかしこれが女子レスラー間となると一転、「笑いながら語れる」ものとならないのは、男のケンカと女のケンカの違いだろうか?

 
 さて、つくしの今後について。

 アイスリボンの佐藤社長は「未成年のため、両親とも相談して決定したい」と言っている。

 はっきり言って両親としては、いい加減プロレス界から足を洗わせたいと思ってもおかしくはない。

 つまり引退することも大いにあり得るのだが――

 しかし重要なことに、そしてファンにはよく知られたことに、つくしは豊田真奈美を(プロレス上の)「母」と慕っている。

 全女ファンには印象深いあの黒のコスチュームと、ジャパニーズオーシャン・スープレックスまで伝授されている、豊田の正統後継者なのだ。


 その豊田真奈美が11月3日に引退興行を行うのだから、当然つくしはそれに参戦するはずだった。

(ひょっとしたら、まさに豊田の引退試合の相手になる予定だったかもしれない。)


 だから、引退などされちゃ(誰にとっても)困るのである。

 いま一番逮捕されちゃいけなかったのは、彼女だったはずなのである。

 しかし、起きてしまったことは仕方ない。

 これで彼女は逮捕歴のある、いわば凶状持ちのレスラーになった。

 これはあの、レスラーになる前に“何度も警察の世話になった”と言われる世志琥と同等以上の経歴とも取れる。

 これこそ短絡的でプロレス的だと言われるのも無理はないが――

 いっそのことヒール転向して、世志琥のライバルになってはどうだろうか?


 同じカワイイ系レスラーであるSareeeがそういう地位にあるのだから、別に無理ではないはずである。

 そしてついでに、リングネームも変更するのだ。

 余談ではあるが、いつまでも「つくし」や「ことり」じゃないだろう、というのは多くのファンが思っていることだろう。



 よく知られたように、プロレスファンは寛容である。

 これが一般人を傷害したというなら話は別だが、同じレスラー同士であれば、客の前に出てもそう風当たりは厳しくあるまい。

 それこそ花月と対戦し、“リング上で決着を付ける”こともあってよい。(むろん、花月が勝つ)

 それはそれで、客は拍手を送ってくれるのだ。


 プロレスのリングは、火にくべるのと同じくらい全てを浄化してくれるものである。

 ご両親はともかくとして、こういうことで引退するのは誰にとっても利がないことだ。

 根っからのチンピラでなければ逮捕されるというのはショックなことだが、そういう経験もリングの上に還元ないし吐き出してもらいたいものである。

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大日本7.17両極譚短感-植木崇行の惨敗は大日本躍進の証?

 サムライTV生中継で大日本プロレス・7月17日両国国技館大会(両極譚)を見た。

 全部で4時半半に及ぶロング興行だったため、とても全部の試合の感想を書くわけにはいかないが――

 特に印象に残ったものをピックアップして書いていこう。


(1)第4試合:鉄檻K・M・G・Tデスマッチ
   木高イサミ&宮本裕向(ヤンキー二丁拳銃)vs 塚本拓海&佐久田俊行


  K・M・G・Tって何のことだろうと思ったら、キロ・メガ・ギガ・テラの頭文字だった。

 (これは説明なしでは絶対わからないだろう。そして「キロ」は日本最小の男性レスラー・佐久田のことだということはさらに……)

  メガは塚本のメガハンマー、ギガはイサミのギガラダー、テラは宮本の用意したテラテーブルである。

  しかし最も驚くのは佐久間の持ってきた「電動芝刈り機」だ。

  こんなとんでもない凶器が使われた割りには、そこまでの反応ではなかったのが不思議に思う。

  これは史上最凶レベル・危険度MAXの凶器だと思うのだが――
  

 (2) 第6試合:コンクリートブロック全面タッグマッチ
   “黒天使”沼沢邪鬼&竹田誠志 vs 星野勘九郎&藤田ミノル


  コンクリートブロックをリング全面に敷き詰めるという初めての形式で注目されていた試合。

  これ、いざやってみると意外に地味に見えたのだが、もちろんとんでもないことである。

  地下プロレスでもやらないようなこの形式――

  電流爆破に参戦したいというレスラーは大勢いても、これをやりたいレスラーはそうはいない(と思う)。


  皮肉にも一番印象的だったのは、藤田ミノルの「あまりにもそっと優しいパイルドライバー」だったのだが、それがまたこの危険極まるコンクリートブロックの「怖さ」を表現しているように感じた。


 (3) 第9試合(セミファイナル):BJWタッグ王座戦
   関本大介&岡林裕二 vs 伊東竜二&アブドーラ・小林


  大日本(いや、日本プロレス界)のストロングの象徴である関本・岡林と、デスマッチの象徴である伊東・小林の初めての対決。

  今まであえて温存してきたかのような切り札的なカードだが、最後は伊東のドラゴンスプラッシュと小林のダイビングバカチンガーエルボードロップの連発で岡林を沈め、通常ルールでデスマッチコンビが勝利。

  もちろん、こうであるからこそこの試合の面白みがある。

 (もしデスマッチ戦ならば、関本・岡林が勝つ方がずっと面白い。)

  それにしてもアブドーラ・小林は、さすがの表現力である。

  この4人の中で小林は、明らかに一番(一人だけ)ダメレスラーに見える。

  もし故・山本小鉄が生きていたら、間違いなく酷評していたろう風貌と体型である。

  誰も彼がMMA的な意味で強いレスラーだとは思わないだろう。


  しかし、いつもの(今回は色が白だったが)袴スタイルを途中で脱ぎ捨て、黒のショートタイツ姿(ストロングスタイルの象徴とされる)となるなど、客を沸かすアピールはずば抜けている。

 (余談だが、マイクアピールも非常に聞き取りやすい音声なので好きである。

  本間朋晃より聞き取りにくいマイクアピールのレスラーって、かなり多いのだ。)


 (4) 第10試合(メインイベント):BJWデスマッチヘビー級王座戦
   高橋匡哉 vs 植木嵩行


  “三代目血みどろブラザーズ”のタッグパートナー同士のシングル戦。

  高橋はキャリア5年(30歳)、植木はキャリア3年半(25歳)という若手同士だが、ファン投票で他を差し置いてメインイベントになることが決まった。

  そして結論的には、この試合をメインイベントにしたのは大失敗だったことになる。

  植木は序盤早々からプランチャを失敗して頭から落下、これで本物の大ダメージを負った以後はほとんどやられ放題であった。

  この試合が20分以上も続いたのは、極論すれば用意したデスマッチアイテムを使い尽くすためだったとさえ思われる。


  敗北した植木は泣いていたが、もし今回の植木のような試合をしてしまったら、大多数の人間がやはり情けなさで号泣するだろう。

  やっぱり植木には、年間最大ビッグマッチのメインイベントは「荷が重すぎた」のだ。

  きっと大日本のレスラーの何人かは、「言わんこっちゃない」と感じただろう。

  しかしながら大日本プロレスという団体としては、必ずしも失敗ではなかったと思う。

  これをメインイベントにしたファン投票は、必ずしも間違ってはいなかったと思う。

  「日本社会は失敗を許さないからダメだ」

  「若手にチャンスを与えないからダメだ」

  とは誰でも言うが、じゃあ実際に失敗を許し若手にチャンスを与える組織(人間)は、口ほどもなく少ないからである。


 
  植木は2015年1月4日の新木場1stリング大会のメインイベントでも伊東竜二と対戦し、失神・戦闘不能になるという失態を犯している。

  またつい最近(5月9日)には、abemaTVの番組で“問題発言”を犯してもいる。

 (場外乱闘に紛れて女性客にセクハラしていると、笑いながら語った。

  「実際にはしてもいないことを本当のことのように語った」らしいが。)

  こういう人間は、一般社会では二度と大役を任されないのが普通である。  

  また、入社5年だの3年半だのという若手が年間最大イベントの主役を任されるというのも、日本の組織では絶対にあり得ないのが普通である。
  
  しかし大日本プロレスには、もしかしたらファン投票がなくても「高橋vs植木」をメインイベントにしたかもしれないという雰囲気がある。

  おそらく大日本は、キャリアの浅い若手に積極的に大役を任せるという点で、日本有数の企業である。


  試合終了後のマイクアピールで高橋匡哉は、今まで所属していたASUKAプロジェクトから離れ、8月から大日本に入団すると報告した。
  
 (もっとも高橋は、ずっと前から所属選手だったと思えるほど大日本を主戦場にしてきたが……)

  ついこの前には浜亮太と中之上靖文が大日本に入団したのに続き、大日本は「レスラーに人気がある」すなわち「人材が集まってくる」団体だと感じざるを得ないが――

  それはやはり「若手を積極登用する」ことのように、一般世間にはなかなかない“社風”に惹かれている面が大きいのではないかと思う。


  植木にとって今回の件が巨大なトラウマにならず、将来の糧や教訓になる(もちろんこれは、得がたい経験であることに間違いないのだが)ことを願うばかりである。

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Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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