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中邑真輔、地上波ワイドナショーで特集 ⇒ 古市憲寿vsハチミツ二郎は肩すかしに

 2月4日放送のフジテレビ系ワイドショー番組「ワイドナショー」で、先日WWEのロイヤルランブルに優勝した中邑真輔の特集が組まれたらしい。

(私はこんな特集があるとは知らなかった。そもそもワイドナショーという番組自体知らなかった。)


 そこで社会学者・古市憲寿氏(またこの人だ)と芸人のハチミツ二郎との間で、ちょっとしたバトルがあったと報じられている。

(⇒ スポーツ報知 2018年2月4日記事:中邑真輔の「ロイヤルランブル」優勝を「ワイドナショー」で特集…古市憲寿氏「そもそもプロレスって本気の戦いなんですか?」)

(⇒ 2017年10月2日記事:社会学者・古市憲寿「現金は汚いから使いたくない。使ってる人は頭が悪い」-“学者病人”と亡国の予兆)

 上記スポーツ報知の記事で、“バトル”の応酬だけ抜き出してみると、次のようである。


古市「そもそもプロレスって本気の戦いなんですか?」

ハチミツ「本気に決まっているじゃねぇか」

ハチミツ「これ結構重要で、日本ってスポーツとしてプロレスをやっているじゃないですか。ここ(WWE)はスポーツエンターテイメントって社長(ビンス・マクマホンjr.)が言っている」



 いやはやこれはまったく、肩すかしの応酬と言うべきだろう。

 古市氏は「プロレスって本気の戦いなんですか?」と問う。

 言うまでもなく、これは愚問中の愚問である。

 もちろん本気で戦っているし、問われた方は堂々と&簡単に「本気だ」と答えればよい。


 むろん古市氏の問いの真意は、

「プロレスって結末の決まったショーじゃないですか?」

 というものだったろう。

 だったらストレートにそう聞けばいいものを、なぜか「本気で戦ってるんですか?」と聞いてしまう。

 結末が決まってようとショーだろうと、本気でやってるに決まってるではないか。


 まさか古市氏も他の誰だろうと、「演劇をやってる人って、本気で演じてるの?」などという愚問を発しはしまい。

 だって、本気で演じてるに決まってるではないか?



 だから今回の古市氏の問いは、優しいというか遠慮してるというか、非常にヌルい問いであったとしか言いようがない。

 しかも問いかけの相手は、メキシコでプロレスラーのライセンス登録をした“本物の芸人兼業プロレスラー”ハチミツ二郎である。

 「実際のところ、プロレスって結末の決まったショーなんですか?」と聞くのにこれ以上の相手、これ以上の機会は滅多にあるものではない。


(ハチミツ二郎が本物のプロレスラーだと番組内で紹介されたのか、古市氏が知っていたのかは、私は知らないが……)


 それなのに古市氏の口から出たのは、「本気でやってるんですか?」などという、実に的外れな質問だったのだ。

 あの常々“炎上を狙って”発言しているかのような古市氏にして、かくのごとし……

 古市氏のような人物でさえ、「プロレスは結末の決まったショーなんですか?」と地上波テレビでプロレスラー・プロレス関係者に面と向かって問いかけるのは、心の自主規制がかかってしまうものなのだろうか?


 私は密かに、ついに地上波テレビでこんな発言(問いかけ)をする人がもしいるとすれば、それは古市氏だろうと“期待”していた。

 しかしその期待も、どうやら肩すかしだったようだ。

 残念である。

(⇒ 2016年4月17日記事:WWE、日本直接侵攻 その3 なぜ日本のプロレスは全国地上波ゴールデンタイム放送を獲得できないか)


 だが考えてみれば、古市氏がプロレスに言及したのは、管見の限りこれが初めてのはずだ。

 プロレス流に言えば、古市氏はまだデビュー戦を終えたに過ぎない。

 古市氏がプロレス界を揺るがすシュートレスラーになるかならないか、これからを“期待”しておこうではないか……


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中邑真輔・ASUKAがWWEロイヤルランブル制す、ロンダ・ラウジーvsASUKA実現へ、桜庭和志新格闘イベント旗揚げ

 2018年は、しょっぱなから飛ばしすぎである。

 米国時間1月28日に行われたWWEのロイヤルランブルで、男子部門では中邑真輔が、女子部門ではASUKA(華名)がそれぞれ優勝した。

 何と男女両方とも日本生まれ・日本育ちの日本人レスラーが独占である。

 しかも女子部門ロイヤルランブルは史上初なので、ASUKAは栄光ある初代優勝者となった。


(⇒ バトル・ニュース 2018年1月29日記事:中邑真輔がロイヤルランブルで日本人初優勝の快挙!レッスルマニアで中邑vsAJスタイルズのWWE王座戦が決定!)


(⇒ バトル・ニュース 2018年1月29日記事:アスカが史上初の女子ロイヤルランブル戦で優勝!カイリ・セインは惜しくも敗退!元UFC王者のロンダ・ラウジーがレッスルマニアでアスカに対戦要求?!)


 いやもちろん、WWEのプロレスというのは最初から結末が決まっているのだろう。

 そんなことは日本在住のWWEユニバースも百も承知だろう。

(⇒ 2017年9月17日記事:「中邑真輔またも王座戴冠ならず」とジンダー・マハルのWWE内幕インタビュー)


 しかしやはり、何でもないショボいレスラーにそんな役を回すわけには行かないのである。

 やっぱりこういう世界での“実力”という、いわく言いがたい――勝敗だけを争う他のスポーツでは推し量れない――能力がずば抜けていなければ、こんな役にはならないのである。

 中邑真輔とASUKA、この両名に対するWWEの経営陣やファンの評価は、途方もなく高いと言わなければならない。


 これで4月8日のWWE年間最大イベント「レッスルマニア34」では、中邑真輔がWWE王者・AJスタイルズと戦うことが決定した。

 両者のシングル対戦は2016年1月4日以来――

 つまり、新日本プロレス・東京ドーム大会以来2年ぶりだ。

(その時は中邑がボマイェ、今のキンシャサ・ニーストライクで勝利。)


 これは日本のプロレスファンにとってみれば、新日本プロレスがWWEのメインイベントを奪取したようなものだろう。

(しかしもちろん今の二人は、まごうかたなきWWEのレスラーである。)


 さらにさらに、あのUFCバンタム級の絶対王者だったロンダ・ラウジーまでがWWEと契約し、ASUKAのいるリング上に登場した。

 ラウジーはASUKAに握手の手を差し伸べるが、ASUKAはそれを払いのけて拒否。

 何とまぁ、「華名 vs ロンダ・ラウジー」なんていうカードが確定的な模様なのだ。

(⇒ イーファイト 2018年1月29日記事:【UFC】元UFC絶対女王ロンダ・ラウジーがWWEと契約)


 ラウジーはたぶん、日本にいてはわからないが世界的な女スーパースターである。

(そして、新妻ながら水着のボディペインティングで登場し、話題をさらう美女でもある。)

 日本のプロレスファンなら誰でも感じるように、こんなMMA女戦士とフィットした戦いができるのは、確かに華名しかいなさそうだ。

 どうやらそれは、WWE上層部にとっても同じ考えなのだろう。



 だが、そのASUKAの隣にはベルトを肩にかけたシャーロット・フレアーもいた。

 ラウジーがASUKAと戦うなら、もちろんシャーロットともやるだろう。

 天龍源一郎を凌ぐ世界的「ミスタープロレス」リック・フレアーの娘が、元UFC王者のラウジーと戦う……

 アメリカの思索系プロレスファンにとっては、このシチュエーションはもうたまらんのではなかろうか。


(もっともそれがプロレスのリングで行われるというのは、総合格闘技のリングで行われることよりはインパクトが少ないが……)



 翻って日本では、UFC殿堂者でありMMAの英雄である元Uインターのプロレスラー・桜庭和志が、新格闘イベントの旗揚げを宣言した。

(⇒ イーファイト 2018年1月29日記事:【QUINTET】桜庭和志がプロ格闘技イベント旗揚げ)


 そのイベント名は「QUINTET(クインテット)」――

 五人組または五重奏を意味する言葉で、その名のとおり(柔道でお馴染みの)5対5団体勝ち抜き戦の形式である。

 打撃は廃し、投げと組み技のみで行われるらしいが、これは確かに桜庭の最近の試合――グラップリングマッチしかやらなくなっている――の傾向に合致する。

 だがこれは桜庭の“グラップリングが好き”という嗜好だけによるのではなく、やはり格闘家の安全性を考慮したものでもあるかもしれない。


 その点、何だか前田日明がずっと前から言っている「マウントポジションからのパウンドは危ないから止めるべき」の意志を継いでいるとも言えるだろうか。


 日本でもアメリカでも、プロレスでもMMAでも、いよいよ新しい動きが年の初めから活発になってきた。

 今年のプロレス・格闘技界は、期待できるor荒れる予感がビンビンである。

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ジェイ・ホワイト戴冠、バレットクラブ分裂、ゴールデン☆ラヴァーズ復活-新日本「冬の札幌で何かが起こる」という伝統

 スカパーのテレ朝チャンネル2で、1月28日・新日本北海きたえーる大会2日目を生中継で見た。

(と言っても都合により、後半だけだが……)

 前日の鈴木みのる戦で右膝を攻められまくった棚橋弘至は、やはり欠場。しかも長期にわたる可能性がある。

 そして2日目大会の目玉はやはりメインイベント「ケニー・オメガ vs ジェイ・ホワイト」のIWGP-USヘビー級王座戦で――

 挑戦者ジェイ・ホワイトが王者オメガを破り、第2代王者となった。



 このこと自体は、かなり多くのプロレスファンが予想していたのではないかと思う。

 何と言ってもホワイトは1月4日のIWGPインターコンチネンタル王座戦で、棚橋弘至に敗れたばかり。

 ここで王座戦2連敗してしまうと、その“スイッチブレード”なる格好いいキャラクターや――

 実況解説陣がやたら褒めまくるその素材・期待感というのが、全く確立できなくなってしまう。


 だから私もホワイトが勝つんだろうなと思いながら見ていたのだが、確かに試合内容は1月4日の棚橋戦よりはるかに良質のものだった。

 これは不吉なことでもあって、つまり今現在の棚橋には――

 もうかつてのような、「相手の力を存分に引き出して、その上で自分が上回って勝つ」という芸当が、できなくなっているのではないだろうか?


 そして代わりにそれができるのは、やはりケニー・オメガだということになるのだろう。

 精彩を欠く棚橋のプロレス力の不調が、たまたま現在満身創痍だからという理由なら良いのだが……


 さてホワイトについて言えば、その得意技は「(連続)低空バックドロップ」と、必殺技の「ブレードランナー」と言っていいのだろう。

 しかしそれを除けば、相当地味なレスラーのように思えてしまう。


 試合途中にはアントニオ猪木を思わせる「インディアンデスロックからの鎌固め」も繰り出していたのだが……

 その体の反り具合は非常にカタく、同じ技を女子レスラーが素晴らしいブリッジでやるのを見慣れた目からすれば、何とも見栄えのしない光景としか言えなかった。

 どうも彼、自分から能動的に攻めかかるタイプではなく――

 相手の技を受けまくってそれでも死なず、むしろ不気味に笑って反撃してくるという、「イケメンゾンビ系」レスラーのようである。

 これは案外、今まであんまりいなかったタイプではなかろうか。


 
 一方ケニー・オメガの方は、試合後にバレットクラブの面々と揉め――

 結局は全員に裏切られ、リーダーでありながらバレットクラブ追放という形になった。

 今後はたぶん、Codyが第3代リーダーとしてバレットクラブを率いていくのだろう。

 この“ケニーがバレットクラブ追放”というのもまた、プロレスファンなら遅かれ早かれいつかは起こると思ってきたことである。

 ケニーがバレットクラブを追放される時というのは、次の3パターンしかないはずだった。

(1) ケニーがWWEに行く

(2) 飯伏とのゴールデン☆ラヴァーズが復活する

(3) その他


 である。

 (3)を選択肢に入れるのはともかく、(1)または(2)がいつかは起こるだろうとプロレスファンは思ってきた。

 しかし(2)がこんなに早く――ケニーが1月4日にクリス・ジェリコに勝ったばかりなのに――その日が来るとは、予想よりずっと早かったろう。


 Codyらにボコボコにされるケニーを救うため、飯伏がリングに駆け上がる。

 飯伏はケニーに手を差し出し、ケニーは涙を流して逡巡したようだったが、どちらともなくガッシリと抱擁し合う。

 リングの四隅から赤い紙テープが噴射され、舞い落ちるテープの中で抱き合う二人。

 確かにこれは、感慨深い光景である。

 しかしプロレスファンにはそうだとしても、プロレスを斜(はす)に見る人にとっては――

 「なんで紙テープ噴射が用意されてるのか、こういう展開になると初めから決められていた証拠じゃないか」と、たちどころに思い当たるのが当然である。

 つまり今回ケニーが負けるのも、

 Codyらにボコボコにされるのも、

 飯伏が猛然と助けに来るのも、

 ゴールデン☆ラヴァーズが劇的再結成をするのも――

 全て最初からそう決まっていたシナリオで、要するに作りごとじゃないか、(茶番)劇じゃないかと感じるのが普通なのである。


 もちろんプロレスファンにとってはこんなツッコミ、「うっせぇな、そんなことわかってんだよ」と感じるようなウザいものではあるのだが……

 しかしどうも最近の新日本、ますますこういうツッコミに無頓着になってきたようである。

 堂々と世間に向けて“演劇”を見せるようになってきたようである。


(⇒ 2017年10月9日記事:新日本10.9両国国技館大会短感-「演劇系プロレス」の時代)


 「新日本の冬の札幌では何かが起こる」という例の嚆矢は、もちろん“藤原喜明による、長州力襲撃事件”なのだが――

 あの時代には、そんなことがあったからって藤原や長州のテーマ曲をそれに被せて流す、なんて発想は誰にもなかったはずである。

 しかし今では、「それをやっちゃあ、劇だとわかっちゃうでしょう」と誰でも思う案でも、新日本の内部では簡単に通っているようである。

 いや、そもそも、「新日本の冬の札幌では何かが起こる」という伝統・期待に応えるため、人工的に何かを起こすことが企画されているのだと思う。


 やはり新日本は、ますますDDTに接近してきている。

 21世紀前半のプロレスの主流とは、やはり演劇系プロレスなのだろうか……

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棚橋弘至は「苦闘で見せるレスラー」になった-IWGP-IC王座戦、鈴木みのるに完敗す

 新日本プロレスワールドで、1月27日・新日本北海きたえーる大会を生中継で見た。

 今回の目玉は何と言っても棚橋弘至vs鈴木みのるのIWGPインターコンチネンタル王座戦で、棚橋はほとんど完膚なきまでと言っていい敗北を遂げた。

 負傷箇所の右膝をこれでもかと執拗にヒールホールド&膝十字固めによって攻撃され、レフェリーストップになったのである。

 この試合を見て誰もが感じるのが、棚橋弘至の落日だろう。

 近年の棚橋は以前に増してドラゴンスクリューを多用するようになっているのだが――

 ドラゴンスクリューという技、今ではもう“衰えの目立ってきた選手が多用する技”との印象が広まってきたように感じてしまう。

(これはおそらく、武藤敬司のせいである。)



 どうやら棚橋は、「苦戦して敗北することで見せる(魅せる)レスラー」になったのかもしれない。

 ヒールターンとかいうのではなく、そういう立ち位置にシフトチェンジしつつあるのかもしれない……

 とは、熱烈な棚橋ファンでさえ感じているのではないだろうか。


 
 そしてプロレスファンというのは必ずこう思ってしまうものであるが――

 今回の棚橋の苦悶ぶり、

 試合後の鈴木の「もうオマエは二度とリングに上がれない」とのマイク、

 そしてストレッチャー(担架)で運ばれる棚橋の姿……

 というのは、今後棚橋が欠場(休養)に入るためのストーリー作りなのではないだろうか。


(しかし、そういうストーリー作りにはもちろんデメリットもある。

 それは、あれほどヒールホールドと膝十字固めを長く喰らって耐えられるというのは、実は技が効いてないんじゃないかとの疑問が生じることである。)


 明日も北海きたえーるでは二日目の大会があるが、それ以後の棚橋の去就に注目、というところだろうか。


 さて蛇足ではあるが、バックステージ(コメントルーム)での鈴木みのるのテレ朝インタビュアーに対する物言いというのは、相変わらず酷烈なものである。

 むろんアナウンサーの方は毎度あんなこと言われるのはわかっててコメントを求めているのだが――

 「これはプロレスなんだ」とわかっててその場に立っているのだが、

 しかしやっぱりそう割り切って受け答えするのは難しいことと思われる。

 普通のサラリーマンが仕事で苦境に立ったとき、「あ……あ……」と本気で焦ってしまうのと同じ現象が、心の中で起きていると思われる。



 どうせならテレ朝には、若い女子アナなんかをこの場に行かせてほしいものだ。

 彼女ももちろん「これはプロレスなんだ」とわかって行くのだろうが、それでもやっぱりプロレスが大嫌いになるのはほぼ請け合いだろう。


 鈴木みのるのバックステージでのコメント……

 それはシュートなのかワークなのか、プロレスなのかそうでないのか判然としない、まさしく“プロレス”と呼ぶにふさわしい代物である。


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大家健、長州力に吠える/キラー・カーン、長州・猪木・新間・鶴田をボロカスに言う-プロレスに学ぶ「人間の多面的見方」

 先日の長州力プロデュース興行で、長州力は伊橋剛太を全否定した。

(⇒ 2018年1月14日記事:長州力P興行短感-「伊橋剛太、オマエはダメだプロレスをやろうと思わない方がいい」)


 そして1月16日、DDTの会見に伊橋剛太が沈痛な面持ちで出席し、試合を欠場したい・今後のプロレス活動も考えたいと述べた。

 これに対して大家健は伊橋にシングル対戦を要求した上、長州を呼び捨ての上「オマエ」呼ばわりしてキレ返した。

(⇒ abema格闘TIMES 2018年1月17日記事:長州力へ怒りをぶちまける!「人ひとりの人生かかってんだ」 大家健、男気を見せた“キレ返し”)


 こういう展開を見ていると、やっぱり長州の伊橋に対するマジギレというのは“プロレス”なのではないか、とプロレスファンなら嫌でも思うはずである。

 たとえ長州のマジギレが本当のことだったとして、少なくともその後の展開はそれに乗っかったアドリブストーリーなのではないか、と思うのが普通というものだ。

 だいたい、長州が伊橋のふがいなさに本当にキレたというのが、すでに信じられない話ではないか……

 長州は本件興行のコンセプトとして、

「プロレスラーではなく、“プロ”の“レスラー”としてリングに上がってほしい」

「レスラーとして、やるべきことをやっている人だけを上げたい」

 と言っていたはずである。

 その興行に伊橋剛太が配されるのだから、いったい長州のコンセプトとは何なのか疑問に思うのが当たり前だ。

(この疑問を善意に解せば、「長州の謎かけ」とも言えただろうが。)


 もしかして長州、伊橋剛太というレスラーがどんなものなのか、当日まで全く知らなかったのだろうか。

 ネットで試合映像を見ることもなく、写真さえ見ることがなかったのだろうか。

 新日本の現場監督まで務めた人間が、他ならぬ自分自身が出場する興行のメインイベントに配するレスラーについて何一つリサーチしなかったなんて、どうして信じられるだろう。

 これではまるで、「現物を見ることなく不動産を買う」ようなもので、全くあり得ないことのように思える。


 長州はしばしば「昭和のプロレスラーの代表格」の一人とされているが、さすがに昭和のバブル時代でさえも「現物を見ずに不動産を買う」人はいなかったはずだ――

 もしいたら、正真正銘の愚か者としか言いようがない。

 伊橋剛太が、長州自らの提唱するプロレスコンセプトから最も遠いところにいるプロレスラーだというのは、写真を見ただけでわかるはずである。

 それこそ幼稚園児だってわかるはずである。

 なのに本気でキレたというなら、「これは長州の“キレ芸”ではないか」と勘ぐるのがまともなプロレスファンというものである。



 さて、ところで――

 WEDGE infinityというサイトに、あのキラー・カーンのインタビュー記事が2本掲載されている。

 キラー・カーンは30年も昔に引退したにもかかわらず、いまだ“有名レスラー”の一人だという驚異的と言えば驚異的なレスラーなのだが……

 そのアントニオ猪木・坂口征二・新間寿、及びジャンボ鶴田や長州力に対する人物評というのが、まぁクソミソのボロカスである。
 
(⇒ WEDGE infinity 2018年1月15日記事:猪木さん、坂口さんを上司なんて思えないよ)

(⇒ WEDGE infinity 2018年1月16日記事:あいつはプロレスラーの強さって何なのかをわかっていない)


 キラー・カーンのインタビューに限らず、プロレスラーのインタビューというのは本当に示唆に富むものである。

 たとえば坂口征二など、前田日明からも相当嫌われているのは周知の事実。

 あの有名な前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアントの津市体育館シュートマッチ事件は、前田の解釈によれば黒幕は坂口征二である。

 しかしその坂口も、あの“猪木舌出し失神事件”では、「人間不信」という書き置きを机に置いて会社から失踪したことで名高い。(つまり、猪木に裏切られたと深く思ったのだ。)

 そして当の前田と言えば、プロレス史上最も毀誉褒貶の別れる――カリスマなのか嫌われ者なのか判断の付かない評価をされているのも周知のとおり。



 プロレスラーの人間関係や「互いにどう思っているか・思われているか」というのは、つくづく複雑怪奇に絡み合っている。

 しかしこれは、何もプロレスラー・プロレス界に限った話でないのは言うまでもない。

 それはプロレス外の一般社会、我々一人一人についても完璧に同じことが言える。

 なにせキラー・カーンにとってみれば、長州力やジャンボ鶴田でさえ「人としてもレスラーとしても三流」なのだ。

 あなたや私がどこかの誰かにどんな風に思われているか、わかったものではないだろう。


 
 たぶん、プロレスラーのインタビューやプロレス本を読むことは――

 「人間の多面的な見方・見られ方」というものを学ぶのに最適の方法である。


 はっきり言って、プロレスも見ないのに(知りもしないのに)「ビジネスパーソンでござい」と思っている人というのは、心底哀れではないだろうか。

 ビジネスマンが相撲や野球やサッカーやフィギュアスケートをいくら見たって、ビジネス的に学べるものはおそらく何もない。

 しかし、プロレスだけは違う。

 プロレスを見ていると、ビジネスや人間関係――大きく言えば「人間学」というものを、それこそ嫌でも学べる気がする。

 これは、けっこうな数のプロレスファンがそう感じているところだと思う。
 

 それにしても、あの「棚橋の珍しい激発」の時と言い――

(⇒ 2015年8月記事アーカイブ)


 この手の事件を引き起こすのが必ず「DDTという団体orその選手」だというのは、非常に興味深いところである。

 これはやはり、DDTには「問題提起力」があるということなのだろう。


 そしてそれこそがDDTを、「新日本への最有力対抗勢力」にしている原動力なのだろう。

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Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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