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女子プロレスと美人資本主義 その2

 そして、こう言っては何だが、日本の女子プロレス界で活躍する選手、デビューする選手というのは、必ずしも美人だけではない。

 当然そこにも美人資本主義の浸透はあるはずだし、経営的観点からも美人を揃えた方がいいに決まっている。

 しかし、現実にはそうなっていない。


 これは、女子プロ界の人材難を示すものなのだろうか?

(美人が入ってこないから、やむを得ずそうでない者をデビューさせざるを得ないのか?) 

 または、既存選手の嫉妬を反映しているのだろうか?

(美人をデビューさせると自分の人気が取られるから、純粋に女として妬むからか?)


 私は、そういうことが絶無だとも言わない。

 しかし、基本的にはそうじゃないだろうと思っている。

 そこには確かに、美人資本主義とは違う論理と力学が働いていると感じる。
 

 私は女子プロレス界というのは、女が美人でなくても輝ける、日本で最後の場になるだろうと思う。

 それは大げさに言えば、美人資本主義に抗する最後の砦である。

 そしてそれゆえに、いつまでも世間からバカにされ続け、見下される宿命を背負うのだろう。




 これは何度でも強調する価値があるが、世間は/人間は、

「女を顔でランク付けするのは悪いこと」というタテマエと、「美人を好みブスを侮蔑する」ホンネとを、たやすく両立させている。

 今でさえ女子プロレスに興味がない人が女子プロレスについて思う一番一般的な感想の一つは、

「まともな女なら(=そこそこ顔の良い女なら)、プロレスなんかやろうとしないよね」ということである。



 私は正直、女子プロレス界の美人率は、世間一般のそれを大幅に上回るぐらいだと思っている。

 あなたの周りに、女子プロレスラーの顔を下回る女性はゴマンといるはずである。

 それはあなたの娘かも、妻かも、母かも姉妹かもしれない。

 しかし、たとえそれが客観的な事実だという証拠を突きつけられようと、世間の雰囲気/抱くイメージは非常に強固なのである。



 そしてもう一つ、女子プロレスの存在意義として、結局「そういうことがやりたい女子」の受け皿になっていることが挙げられる。

 とどのつまり、世の中には美醜を問わず、「普通の」職業・仕事・生活をしたいと思わない女子がいるのである。


 体を動かすことが好きで、人前で戦って歓声を得るのに憧れる/かっこいいと思う。

 店や会社で販売に立ったりパソコンを打ったり、事務仕事・営業仕事・接客仕事で日々を過ごしたいとは思わない。

 そういう人って本当は、女子の中のかなりの部分を占めているのではないだろうか?



 もし女子プロレスがなければ、彼女らはボクシングや格闘技に流れていただろう。

 その意味では女子プロレスが無いなら無いで構わないのだが、それを言うなら女子ボクシングも女子格闘技も無くていい。

(女子のフィギュアスケートが、サッカーが、宝塚歌劇団が無くたって、他の何かが人気を集めるだけである。)


 人間には様々な向き・不向き、嗜好、性向があるものだが、その受け皿は多ければ多いほどよい。(違うだろうか?)

 そして日本には女子プロレス界というものがある。他国よりも選択肢が多い。

 しかもそれは(今はまだ)、美人でなければ入れないというものでもない。


 これは、素晴らしいことだと思う。



 女子プロレスとは、日本独自の文化だと言っていいだろう。

 それがどこまで美人資本主義の浸透に抗しきれるか、いずれは飲み込まれてしまうのか――

 現代文化ウォッチャーのような人にとっては、とても興味深いテーマのはずだ。

 そしてもしあなたが、美人資本主義は正しくないと「本気で」考え・感じているとしたら――

 女子プロレスを見ないというのは、怠慢とさえ言えるかもしれない。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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