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坂本龍一死去-全日本「カクトウギのテーマ」は永遠に

 3月28日、音楽家の坂本龍一が亡くなった。これについては、既に別ブログで記事を書いた。

(⇒ 2023年4月3日記事:坂本龍一死去-ラストエンペラーは永遠に)


 私にとって坂本龍一の音楽の最高傑作は映画『ラストエンペラー』のそれなのだが――

 しかしプロレスファンにとっては、忘れがたき(そして今でも使われている)あの名曲、『カクトウギのテーマ』を欠かすことはできない。

 これは全日本プロレスが地上波でやっていた1990年代、「時間切れ引き分け」のとき流されていた曲である。

 今でも全日本プロレスの会場では、時折この曲が流される。

 それを聞いた誰もが、この曲はいい曲だと感じているはずだ。

 もしピンと来ないのであれば、ネットで「カクトウギのテーマ」と検索して聴いてみることをお勧めする。

 そうすれば、ああ、あの曲はこんなタイトルだったのかと思い当たるはずである。

 
 ところで私が昔から不思議だったのは、なぜ坂本龍一が「カクトウギ(格闘技)」なのか、なぜ「坂本龍一&カクトウギ・セッション」の演奏なのか、ということであった。

 寡聞にして私は、坂本龍一がプロレスファンだとか格闘技ファンだとか、聞いたことがなかったのである。

 しかし現在はウィキペディアという便利なものがあり、少なくとも表層的な理由だけはすぐ知ることができる。

 なんでも「坂本龍一&カクトウギ・セッション」とは、彼が1979年6月23日に第1回を開催したライブ「格闘技セッション」の出演者を母体としたユニットということらしい。

 「ジャズフュージョン系」と「ジャパニーズ・ロック系」のミュージシャンの競演を、格闘技になぞらえたものらしい。

 ここで注目は、1979年という年号である。

 それは現代の総合格闘技がなかった頃であり、猪木vsアリ戦(1976年)よりは後だが、まだ1980年代にもなっていない。

 そんな早い時期に「カクトウギ」という言葉を音楽タイトル名やセッション名に使っているというのは、素晴らしい先見性だと感じるのは私だけだろうか。


 しかもその曲を、よくも80年代~90年代の全日本プロレスは採用してくれたものだと思う。

(まあ、プロレス関係者なら目に留まらないはずのない曲名なのだが。)

 
 何にせよ、カクトウギのテーマは、今でも全日本プロレスで現役の曲である。

 これは、素晴らしい伝統であり文化遺産だと思う。

 この曲が全日本で流れる限り、坂本龍一の曲はプロレスと共に生き続けることになる。
 
 そして世の中には、「プロレス入場曲を聴いて、音楽や作曲家に興味が広がった」という人が、想像以上に多くいるのではないだろうか。

 そうすれば、坂本龍一のことを何も知らない小中学生がプロレスを見て、カクトウギのテーマを聴いて名曲だと思い、そこから坂本龍一のファンになる……

 ということが、これからも続いていくことが考えられる。

 プロレスにとっても坂本龍一にとっても、そしてどちらかのファンにとっても……

 カクトウギのテーマがかつて地上波時代の全日本で流されていたことは、非常に幸運・幸福なことだったと思うのである。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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