11月20日、新日本プロレスとスターダムは、史上初めての合同興行を有明アリーナで行なった。
(男子団体と女子団体が正式に合同興行すること自体、日本では初めてかと思う。)
その最注目点は、何と言っても新設の――そしてファンの間で賛否の議論を呼んだ――IWGP女子王者の初代は誰になるのか、ということだった。
これを争ったのは、WWE帰りのKAIRI(旧名・宝城カイリ)と、“スターダムのアイコン”にしてスターダム最古参の岩谷麻優。
そして勝ったのは、必殺のインセイン・エルボーを決めたKAIRIであった。
なんだかこの結果、アントニオ猪木とハルク・ホーガンが争ってホーガンが勝った(猪木が「舌出し失神」した)第1回IWGP決勝戦にも似ている、と思った人はいるだろう。
1983年当時の猪木ファン(イコール新日本ファンだった)は、誰もが猪木が初代王者になるのが当然と思っていた(らしい)。
それは猪木は一番強いはずだからというのとは別に、理の当然として猪木が勝たないわけがない、勝たなきゃストーリー的におかしい、という理由もあっただろう。
その伝でいけば、今回の初代IWGP女子王者も岩谷麻優であるべきだった。
なにせ「一貫してスターダムに所属して戦ってきた、生え抜きの旗揚げメンバー唯一の生き残り」なのだから、初代の栄冠を得て当然の経歴だろう。
しかし勝ったのは、「WWE帰りの出戻り」のKAIRIだった。
もっとも、KAIRIにはあまり出戻り感というものがない。
たぶんこれは、紫雷イオ(現イヨ・スカイ)が出戻ってきても同じだろう。
これは今のプロレス界が出戻りというものを厳しく見なくなってきたこと、もしくは「WWE帰りは出戻りとは見なされない」ということを表しているのかもしれない。
そして冷静に見ると
、スターダムが海外展開を目指すとするなら、確かにWWEで活躍したKAIRIの方がはるかに海外のプロレスファンに顔が売れている、とは言える。
猪木が初代IWGP王者にならなかったのは「サプライズで世間にプロレスを届かせることが目的」――つまり「わざと」――というのが通説だが、
今回岩谷麻優が初代王者になれなかったのは、スターダム及びブシロードグループの海外展開のためだ、というのも一つの説ではある。
しかし、そこまで穿った見方をしなくても――
岩谷麻優とKAIRIの勝敗予想といえば、結構ファンの間では伯仲していたと思うのである。
問題は、そういう伯仲予想できる対戦カードをこれからどれだけ出していけるか、ということだ。
KAIRIの初防衛戦の相手には、中野たむが名乗りを上げた。
しかしこれが、既存の「赤いベルト」「白いベルト」の防衛戦と何が違うか、グローバル性があるか、と言われれば言葉に詰まるのが実際のところではあるまいか。 もちろん対戦カードというのは、今ある手持ちのカードを使って組むしかない。
ただ今後は、例えばWWEを辞めた女子レスラーを招聘するなど、グローバル性を持たせることが必要ではないかと思うのだ。
もっとも新日本のIWGP王座だって、速やかに国内戦の王座と化して、それでファンから何の文句が出なくなって久しいのだが……
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