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前田日明、現代プロレスをクソミソに叱る-猪木とUWFの再現はもう不可能か

 10月30日に行われるNOAH有明アリーナでのGHCナショナル選手権、王者・船木誠勝と挑戦者・桜庭和志の対戦を前に、前田日明が堀江ガンツ氏のインタビューを受けた。

(⇒ ABEMA格闘TIMES 2022年10月28日記事:「猪木さんが観ていたら激怒するよ」前田日明、船木誠勝と桜庭和志に“愛”の檄! 「“プロレスごっこ”だらけのプロレス界に埋もれるな」10・30ノア有明に提言と期待


 “檄”と言い“苦言”と言うが、これは現代プロレスへのクソミソ罵倒と言っても過言ではない。

 前田日明の舌鋒、いまだ衰えず。老いてますます盛ん――

 いや、前田日明の言うことは話半分、

 それどころか特に昔のことに関しては

 「自分の記憶が自分用に作り替えられてしまい、自分でもそれが正しいと思って発言している」

 のではないかと感じながら聞いている人が多そうのは、私も何となく予測できる。

 しかし今回のインタビューに限っては、けっこう私も同意できる内容なのだ。

 特に、次の部分――


●試合内容云々以前に緊張感がないよ。仲良しこよしになっちゃってさ。

●今のプロレスは“プロレスごっこ”なんだよ!

 そういうプロレスごっこだらけの中で、彼らがやろうとしていることはいいよ。

 でも、仲良しこよしでやってるから、観てる人も手拍子しかしないんだよ。

●(緊張感が)全然ないやろ。あんな客の手拍子に合わせた蹴り合いは必要なんか?

●「本当にすごいんだ」っていうところを見せてないから、客から「オー!」とか「ワー!」とか興奮するような歓声が聞こえないじゃん。みんな拍手だけ。

●いまのままだったら10年後にプロレスはなくなってるよ。

 リングの上はコミックレスラーだらけじゃん。

 素人とケンカをしても負けちゃいそうな奴がレスラーってなんやねん。



 上記の中でも、「あんな客の手拍子に合わせた蹴り合いは必要なんか?」というのは出色である。

 これに関連して私がずっと前から思っていたのは、

「レスラーがマイクで何を言っても拍手する客がいる」

 という、プロレス界に(ほとんど隅々まで)行き渡った現象というか風習のことだ。

 これはプロレス鑑賞者の全員が同意すると思うが――

 とにかくもう、レスラーがマイクで何を喋ろうと(どんなに意味の薄そうなことでも)すかさず拍手する客が、絶対にどこにでもいるのである。

 それは逆に、これこそがプロレスファンの守るべき観賞マナーなんじゃないかと、普通の人間なら思い込みそうなほど普及している。

 そしてまた、思うのである。

 船木誠勝や桜庭和志までが――この二人のシングル対決なんて、かつてなら東京ドームを満員にしただろう――「あんな客の手拍子に合わせた蹴り合い」をするのは、

 「リングの上はコミックレスラーだらけ」なのは、

 レスラーのせいではなく客のせい、それこそ社会全体がそんなになってしまったせいではないか、と。

 つまりプロレスラーがダメになったわけではなく、プロレスラーは社会の変化に適応しているに過ぎないのではないか、という疑問である。



 前田日明は「猪木さんが見たら激怒する」と言うが、ではもしアントニオ猪木が現代プロレスのプロレスラーとしてデビューしていたら、昭和プロレスの緊張感を出せただろうか。

 いや、前田日明自身が現代プロレスのプロレスラーとしてデビューしていたら、UWFのような社会現象を起こせただろうか。

 これはもうプロレスファン全会一致で、「できない」ということになるのではないか。

 なぜならみんな、感じているからである――
 
 アントニオ猪木も前田日明も、そして長州力も、レスラーの力量とは全く別の「時代」の影響があったからこそあれほどの存在になったのだ、ということを。

 もし豊臣秀吉が江戸時代中期の尾張中村の農民(行商の針売りでもいいが)に生まれていれば、絶対に関白になることはなかったろうと誰でも思う。

 織田信長と全く同じ容姿と能力を持つ男が平安時代中期の津軽地方にいたとしても、間違いなく天下人にはなれなかったろうと誰でも思う。


 それと似た感じで、現代のプロレス観客は(全員とは言わないが)もう前田日明の言う「緊張感」は求めていないのではないか。

 そんなのを見せられたら、むしろドン引きするのではないか。

 現代のプロレス観客は物も投げないし放火も暴動も起こさないし、そんなことをする人がいればむしろとことん糾弾する。

 だからこそ、リングの上に緊張感はないし、生まれることもない――

 それは、至極当然のことである。

 今回の前田日明の檄とは「プロレス復古」のことを意味しているのだと思うが、しかしどうも、それが成功するとは思われない。

 現代の観客は(社会は)、殺伐さを見るのではなく拍手することを求めている。

 緊張感を全然求めていないとは言わないが、その需要は「拍手すること」「楽しく見る」ことよりもかなり弱い。

 当たり前のことだがプロレスも何もかも、時代の中で生きていくしかないのである。
 
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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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