全日本プロレス10月16日・大田区総合体育館大会を、サムライTVの生中継で見た。
そのメインイベントは、三冠ヘビー級選手権のジェイク・リーvs宮原健斗。
結果は、60分フルタイムドローの引分けによる王者・ジェイクの防衛であった。
それにしても大会の全試合時間がおよそ200分くらいなので、この試合だけで3分の1くらいを占めていることになる。
まさにメインイベントである。
それはともかく
この試合、引分け防衛という部類の試合の中では、最高傑作に近い内容だったのではないかと思う。
もちろん、(私にとっては)欠点と思う点もある。
それは、宮原のシャットダウンスープレックスもジェイクのD4Cもそれぞれ2回ずつ決まったのに全て返される、という「技のデフレ」がやはり生じていたからである。
ちなみにこういうのは、「必殺技のインフレ」と呼ばれることの方が多い。
一発で決まるはずなのに、それが乱発されるからである。
しかし、必殺技がそれ一発で試合を決められないというのはその必殺技の価値が下がっているということなので、
やはりデフレといった方が正しいだろう。
とはいえ、普段は「これが決まったら試合は終わる」必殺技が何度となく返される、というのは、
ビッグマッチでのタイトルマッチの慣例というかお約束みたいなものではある。
ある程度プロレスを見てきた人なら、そういう「信じられない光景」というのを、何度となく見てきているはずである。
だからこれは、あまり目くじら立てて欠点扱いするほどのこともないのだろう。
話を本道に戻すと――
この試合の良さは、そんなロングマッチをやれるほどの両者のスタミナ、そして宮原健斗の存在あってこそとはいえ、やはり
ジェイク・リーの獲得し構築してきた「クールな冷酷紳士」キャラにあると思う。
あのジェイクのキャラクターぶりを見たくて全日本プロレスを見ている人というのも、決して少なくないと思えるのである。
もしこのたびの試合に、あのジェイクのキャラクターの醸し出すアクセントが抜けていたら、それはさぞ味気ないものになっていただろう。(こういう点、特にプロレス初見の客には重要である。)
プロレス界随一の陽性キャラである宮原に対するに、
絵に描いたような悪役反則三昧人ではなく、こういうクール系陰性紳士こそ(現代では)対立軸にふさわしい。
来年はついに50周年を迎える全日本プロレスだが、
その時の王者が暗い光で50周年を照らし、しかしやはり明るい光が照らすかもしれない、という余韻を残した点でも、今回の試合は「いい話」だったと思うのである。
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