遅ればせながら、10月9日のスターダム・大阪城ホール大会を録画で見た。
(最近、忙しくて滅多にプロレスを見れないのである。)
そこで最も印象に残ったのは、舞華・ひめか・なつぽいの3人タッグ「舞姫ぽい」の入場であった。
ドンナ・デル・モンドって、あんなアイドルユニットだったっけ――
と感じたのは、私だけではないと信ずる。(笑) なんだか、「ジュリアがいないとこうも極端に雰囲気が違うのか」と感じずにいられない。
あのアイドルユニットぶりは、東京女子プロレスの選手たちさえ及ばないくらいではあるまいか……
それはともかく、今回はちょっと苦言・懸念めいた話を書いてしまう。
今大会で、朱里は鹿島沙希と緊急対戦した。
本当は弟子の小波とUWFルールで戦うことになっていたのだがその小波が急性腸炎になってしまい、代役に急遽名乗りを上げたのが鹿島だったのである。
この試合自体には、文句を付けるつもりはない。
それは名勝負とまでは言わなくとも、充分に好試合であったと思う。
しかし、結末は予想どおりだったと言うしかない。
朱里が勝ったことがそうだと言うのではなく、足四の字固めで試合が決まったことがそうだと言うのである。
これは、たとえ相手が予定どおり小波だったとしても同じだったろう。
そして
皆さんも、「10月9日にビッグマッチをやる以上、絶対に誰かが足四の字固めで試合を決めるだろう」と予感してはいなかったか。 そしてこれは私も知らなかったが、同日の新日本の大会メインイベントでグレート・オー・カーンと対戦した飯伏幸太も、「やっぱり」足四の字固めを出したそうである。
さすがにそれで試合を決めはしなかったが、それはやっぱり、そうしては「あまりにもベタ」であるからなのだろうか。
1995年10月9日の新日本vsUWF全面対抗戦、中でもメインイベントの武藤敬司vs高田延彦が「ドラゴンスクリューからの足四の字固め」で武藤の勝利となったことは、プロレス界最大級の「伝説」である。
その伝説は、四半世紀を経過した今でも、忘れられるどころか近年ますます増幅している。
朱里と小波はUWFルールで対戦する予定であったし、「リデットUWF」まで出現する他、UWFの遺伝子を継承すると言われるプロレスラーやプロレス興行は、枚挙に暇ないほどだ。 そしてこの「10月9日のプロレス大会では足四の字固めを出す」というのも、もはや慣例というか伝統行事になっているのではあるまいか。
ちょっと皮肉めいて言うと、10月9日に大会を行うプロレス団体は、
事前協議して「どこの団体が足四の字固めでフィニッシュを飾ってよいか」を決めなきゃいけないんじゃないかと思うほどである。
つまり、一言で言うと
「10.9足四の字の伝説」及び「UWF」は、その伝承なりオマージュなりを濫用されているのではあるまいか。
そしてもう一つ懸念されるのは、いったい「今」のプロレス界は、そのような伝説を二度と生み出す力があるのか、という点である。
はたして21世紀に入ってからのプロレス界は、何十年も経った後世でもオマージュされるような伝説的な試合やムーブメントを、いくつ産み出すことができたか。
それは、ゼロだったのではないか。
これからもゼロなのではないか。
意地悪く言えば、今のプロレス界は「1990年代の遺産」で食っている部分が、かなり多いような気がする。
それはもちろん、(今のところ)プロレス界が最後の隆盛期にあった時代の遺産である。
プロレスの全国テレビ地上波放送がない今、もはや伝説を作る基盤自体が失われている、というのはそうかもしれない。
しかしやっぱり、いつまでもオマージュを繰り返していてはダメなのではないか。
「10.9足四の字固め」が毎年10月9日の恒例行事になってしまっては、伝説がむしろ色褪せるのではないか。
みんながみんな(であるかのように)UWFの後継者とかUWFルールに群がるのは、そんなに美しい光景とは言えないのではないか。
ベタな言い方だが、現代のプロレスラーには、新たな伝説を作る気概と行動を見せてほしい――
と、思うのである。
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