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1.4事変、小川直也の告白で解決…なのか

 日本プロレス史上でも有数の大事件、1.4事変。

 1999年1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会で起こったそれは、ごく短く言えば小川直也が橋本真也を「プロレスの枠を越えて」猛攻し、ボコボコにしてしまったという事件である。

 小川の目はイッちゃっていたと言われ、試合後に小川が飛行機ポーズを取って「新日本プロレスファンのみなさん、目を覚ましてください!」とマイクしたことは極めて有名。

 そして試合後の乱闘で、あの村上和成が顔をメチャクチャにされた重傷を負ったというのも有名だ。

 いったいなぜ小川はそんなことをしたのか、真相は何なのか……

 これはプロレス界における本能寺の変や邪馬台国論争と言えるほど、諸説紛々の謎事件であった。


 これについて今まで書かれた記事量は、UWF分裂について書かれた記事に匹敵するような気がする。

 しかし2021年8月23日、その謎がついに明かされた。

 当時者中の当事者である小川直也本人が関西テレビの番組『こやぶるSPORTS超』に出演し、「それはアントニオ猪木の指示だった」と告白したのである。

(⇒ 関西テレビ 2021年8月24日記事:小川直也VS橋本真也『1・4事変』真相ついに判明…小川に「蹴りまくってリングから出すまでやれ」暴走王を作った男)


 そんなことを何でまたそんなテレビ番組で告白(というほど深刻ではなかったようだが)したのか思わないではないが、むしろプロレスムック本とかで告白するよりは信憑性がある、とも言える。

 今まで「小川単独犯説(小川一人だけが暴走したとする説)」もありはしたが、

 結局やはりと言うべきか、最有力説だった「猪木黒幕説」が正しかったのである。


 いや、だが、本当にこれが正しいか?

 ここで問題になるのは、「本人が言えば、それが真実だと言えるのか」という大問題である。

 たとえばの話、タイムトラベルができて明智光秀本人に単独インタビューできたとする。

 そこで本能寺の変の真相を聞いて本人が答えたとして、それが真実だと言えるだろうか。

 普通の人間は、簡単に鵜呑みにはしないと思われるのだが。


 ただ私としては、今回の小川直也の「真相告白」は信じられるものと思っている。

 何と言っても最有力説だっただけはあり、これが最もしっくりくるのだ。

 たぶんみなさんも、猪木の指示なくしてあんなことするわけない、というのが最もしっくりくるのではないか。

 そしてまた、今回の告白がアントニオ猪木存命中になされているという点も信憑性を持たせている。

 これが猪木死後の告白であれば、私もみなさんも「猪木がいなくなったからって、猪木のせいだなんて言い方をして……」と少しでも感じずにいることは難しい。

 これを逆に言うと小川直也は、

 猪木の死後に告白してしまえば世間にそう思われることがわかっているから、今のうちに(関西ローカルとはいえ)大勢の人間に伝えることができるテレビ番組出演の機会を捉えて告白しておこう、

 という気になったのかもしれない。


 さて、しかし……

 猪木黒幕説が正しかったとして、では猪木がそんな指示をした真の狙いは何だったのかという疑問は、いまだ解かれざる疑問である。

 そしてこの疑問こそ、永遠に解かれない可能性が高い。

 猪木はたぶん死に至るまで、あのとき本当は何を狙っていたのか語りはしないだろう。

 たとえ語ってくれたとして、それこそ「本人が語れば、それが真実なのか」という命題が立ちはだかる。

(これが正しければ、UWF分裂劇の真相はいくらあっても足りないだろう。)


 しかも、多くの人が思う――と言うかプロレス本とかで「知っている」――ように、アントニオ猪木こそは「本人が言ったからって、それが真実や本心とは限らない」という言葉がこの世で最も当てはまりそうな人間の一人なのだ。

 おそらく一言で言えば、猪木の真意は「とにかく事件を起こしたかった」ということになるのだろう。

 今回の番組に同席出演したハチミツ二郎も、例の猪木の「環状線理論」を引用し、プロレス外の人たちをファンに引き込むためだったと推測している。

 そして小川直也本人も、

「結局、猪木が全部そこまで読んで絵を描いたんだなと思った」として、あの事件は猪木の思惑どおりに事が運んだ結果だとしている。


 しかしこの結論、全て猪木の思い描いたとおりに事は進んだ――

 というのは、小川直也の猪木への気配りだと感じずにはいられない。

 確かに1.4事変は、「橋本真也、小川直也に負けたら即引退!」という、プロレス史上最後のゴールデンタイム生放送という成果を生んだ。

 だが肝心の、当時猪木が率いていた団体「UFO」は、いつの間にやら自然消滅してしまう。
 
 そしてその後の猪木は、総合格闘技であるPRIDEへ新日本のプロレスラーを送り込むことに執念的にのめり込むようになる。

 私には、これが猪木の思い描いたとおりの展開であるとはとても思えないのだが……


 
 1.4事変の当時、猪木は今後どういう展開になるのを見込んでいたのか、

 その後のプロレス界、新日本とUFOはどうなっていくことを望んでいたのか。

 これが小川直也告白後も、1.4事変の謎として残る。
 
 私見では、猪木の目論見は見込み外れに終わった、と言っていいのではないかと思う。

 そしてもう一つ、猪木は橋本真也がもっと「対応」できると思っていたのではないか、という謎も残る……
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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

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