1月29日、センダイガールズプロレスリングの総帥かつ日本女子プロレス界の頂点(の一人)である里村明衣子が、WWEのうちNXT-UK(WWEの第3部門であるNXTの、イギリス支部)に参戦することが発表された。
これまでも里村はWWEのメイ・ヤングクラシックにスポット参戦したことはあったが、いよいよ本格継続参戦のようだ。
(⇒ 2021年2月2日記事:10年前は“短いメール”で拒否…WWEが41歳里村明衣子に異例の熱烈オファー、「覚悟しておけ!」といざ参戦!) ついに日本女子プロレス界の頂点が、WWEのリングに継続的に立つ……
これは日本のプロレスファンなら、もちろんワクワクするような話である。
しかしまた一面、心配な人も多いはずだ。
何の心配かと言えば……
「もし里村でさえWWEで大成しなかったら、どうなるだろう」 というものだろう。
里村明衣子は、今の日本の女子プロレス界がWWEに提供できる最高級のカードである。
それがもし鳴かず飛ばずで、「通用」せずに出戻ってきたらどうなるか。
しかもそれは、(今までの我々の経験からして)充分あり得ることでもある。
これを心配に思わない、というプロレスファンは、自分にウソをついていると言えまいか。
ところで上記引用記事にもあるように、実は里村明衣子、東日本大震災で仙女が存続の危機に陥っていた2011年――
密かにWWEのトライアウトを受けたが、落第していた。
これは日本のプロレスファンも仄聞していたはずだが、考えてみればヒドいというかスゴい話である。
これを、
①WWEは里村明衣子すら落とす(しかも、安いギャラで採用できそうなときだったのに)超難関大学である と見るか、
②WWEは信じられないほど見る目がなかった と見るか、あるいは
③少なくともその当時、里村はWWEでウケるキャラと判断されていなかった と見るか……
もし③だったとすれば、それは今回の「VIP待遇」にちょっとした影を落とすものでもある。
そして同時に、
10年前は門前払いした里村を今度は三顧の礼で迎えるという、世界最大のプロレス団体・WWEのビジネス面での「臆面もなさ」も垣間見えるというものだ。
(しかしこういう臆面のなさが、いい結果に繋がることが多いのだろうが。)
それにしても先日、飯伏幸太についても同じことを書いたが……
どうして日本の「素晴らしいと評価されるレスラー」というのは、こんなにも年を食ってからWWEに行ったり頂点に立ったりすることが多い(ように見える)のだろうか。(⇒ 2021年1月5日記事:飯伏幸太「神宣言」は遅すぎた?-新日本2021東京ドーム短感) プロレスラーの最盛期は一般に、30代半ばくらいと言われているようだ。
しかし里村明衣子は、今41歳である。
もし10年前、31歳の里村がWWEに参戦していたらどうだったろうか。
もし「飯伏幸太が30代前半でIWGPヘビー級王座に就いていたら」と同じく、
もし「里村明衣子が30代前半でWWEにレギュラー参戦していたら」というのも、
なかなか日本のプロレス史に大きな影響を及ぼしただろうと思えてならない。
(その意味では、黒潮イケメン二郎やSareeeが若くしてWWEに採用されたのは良いことである。
WWEも最近はそういう方針にした、ということなのかもしれない。)
ただ、そんなことを今更言っても仕方ない。
別にプロレスファンは自分が里村をWWEに送り出したのでも何でもなくても、なぜかそれに近い気持ちを抱いてしまうものである。
どうか里村には成功してほしい、
そうでなければ日本の女子プロレスの名が泣く――
と、みんな心のどこかで思っていそうである。
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