DDT12.27後楽園ホール大会、D王グランプリ2020の生中継をサムライTVで見た。
D王決勝戦は竹下幸之介vs秋山準、勝ったのは竹下幸之介――ではなく、秋山準の方であった。
これは多くの人にとって、意外なことではなかったろうか。
竹下幸之介は今から1ヶ月半くらい前、秋山準に惨敗した。
そのときの竹下の打ちのめされぶりは印象的で、
「今までやってきたこと、間違ってたのかなって……」
と力なく呟くその表情には、紅涙を絞った女性ファンも何人かいそうである。
そして巡ってきた、このリベンジマッチの機会。
いかに竹下が左腕を筋断裂して負傷していようと、ここはやはり竹下が辛勝するのが「よくあるストーリー」ではなかったか。
だが、そうではなかった。 その結末は、ダブルリストクラッチによるレフェリーストップだった。
KO-D王者・遠藤哲也と竹下幸之介の対決はDDTの頂上カード・黄金カードと言うべきものだが――
しかしそれは、遠藤哲也vs秋山準というカードに取って代わられた。
竹下幸之介は、再び奈落に突き落とされた……
とはいえ、ほんの少し長い目で見れば、たぶんこの方が良かったのである。
「フューチャー」竹下幸之介は、そう呼ばれている限り似合うことのない言葉、「哀愁」「切なさ」という属性を得たからである。
ただ、今回スポットライトを当てるべきはやはり秋山準の方だろう。
その勝利後のマイクは、誠に意味深というか「おっ」と思うようなものであった。
「プロレス界で認められた王者3人、(それは)
IWGPヘビー級王者・内藤哲也、
GHCヘビー級王者・潮崎豪、
KO-D無差別級王者・遠藤哲也、
その3人だけだ」「最後に、全日本プロレスファンの皆さん、ありがとうございました」 どうだろうかこの言葉は。
「プロレス界で認められた王者3人」と言われれば、
新日本のIWGPヘビー級王者
NOAHのGHCヘビー級王者、
そして全日本の三冠王者、となるはずなのだ。
(マイクを聞いていた人も、そう繋がると思っていたろう。)
もっともこれは、話の流れからして「今年のプロレス大賞を受賞した現役王者」という意味と思われる。
しかし次の、「全日本プロレスファンの皆さん、ありがとうございました」はどうだろう。
秋山準は今、全日本からDDTへ「レンタル移籍中」である。
だが実のところ、それが「レンタル」だと思っているファンは、そんなにいないはずである。
秋山が全日本から離れたとき、それがいささか円満さを欠くものであったことは、かなりの印象をプロレスファンに残したものだ。
(⇒ 2020年6月28日記事:秋山準は「解任」されていた-王道はDDTが引き取る?) おそらく今回のマイクは、レンタルでなく完全にDDTへ移籍するという、秋山の宣言(ほのめかし)なのだろう。
意訳すれば「さよなら全日本」である。
そして来年2月に、秋山がもしKO-D無差別級を奪取するとすれば――
それはプロレスファン的には、「王道というもの自体が、DDTに移籍した」と印象づけられるかもしれない。
全日本としては、顔をしかめるべき事態である。
DDTがメジャーとなり、全日本の方がインディーになりそうな事態である。
もっともこれも秋山の完全移籍宣言と同じく、現実に名目が追いつくということに過ぎない、とも言えるが……
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