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「世界プロレス大賞2020」特別賞は「WWEサンダードーム」

 2020年、日本のみならず世界のプロレス界を見渡しても最大級の「事件」は、あの「木村花事件」であった。

 このコロナ禍の只中にあっても、なおそうである。

 しかしここではそういうことは除き、もし「世界プロレス大賞」というものがあったとしたら――
 
 ということを考えてみよう。

 これは文字どおり、世界中のプロレスラー・プロレス団体を対象にしたものである。

 しかしこんなのを選出できるのは、人生の9割をプロレスを見ることに費やしているような人だけなのは言うまでもない。

 よってここでは、「人物」を選出することはすまい。

 そして選出するのも、「特別賞」だけとする。

 私が(勝手に)思うに「世界プロレス大賞2020特別賞」は、「WWEサンダードーム」である。


 サンダードーム……

 それは「自宅観戦しているファンの映像を、何十枚何百枚もの画面に映して有観客会場みたいにした」リモート観戦会場である。

 その映像を初めて見た人は、「まるで未来世界(を描いた映画のような)の風景」だと思うはずだ。

 ベタな言い方で言えば、それはまるで「サイバーパンク」の世界なのである。


 しかし管見の限り、WWEサンダードームのようなスポーツ観戦を描いたサイバーパンクの映画も漫画の小説もなかったように思う。

 欧米人がマスクを着け、ソーシャルディスタンスを気にして暮らす――

 そういう未来世界を予想した人は、たぶん誰もいなかった。

 このコロナ禍は、まさに「事実は小説より奇なり」を地で行く展開であったのだ。

 
 ところでこのサンダードーム、いかにも金がかかっていそうで……

 やはり世界最大の(そして金満と言われる)WWEくらいしかこんなの作れないだろう、と誰もが思う。

(と言うより、他のスポーツ界にさえ例がないのだ。)


 しかし、たとえば新日本プロレスでもこういうものがマネできないのには、カネだけでない文化的な要因もある。

 なぜなら日本の観客は、おとなしすぎて会場スクリーンに映し出しても全然映えないだろうからだ。

 日本人ファンのほとんどは、自宅観戦する自分の姿が会場に映されると知っていて、

 それがテレビ観戦している客の目に映ると知っていて、

 あえて笑顔で拳を突き出したり、その他のオーバーアクションをしないものである。

 日本のプロレス観客は外国のプロレスラーからも観戦態度を褒められることが多々あるが――

 そのおとなしさ、悪く言えばノリの悪さは、明らかにサンダードームに向いていない。

 これは、日本人ファン自身も認めるところだろう。

 そして新日本の1.4&1.5東京ドーム大会でさえ、もしサンダードームのマネをしようものなら、

 間違いなくそれはサンダードームのマネであり、しかも見劣りするものと見なされる。

 だから残念ながらではあるが、日本でサンダードーム的なものができるのは期待できそうもない。

 日本のプロレス団体の試合が、世界中のジャパニーズプロレスリングファンの姿が映される数百枚のモニターに囲まれて放映される――

 というのはなかなか感じ入る光景だと思うのだが、それは当面なさそうだ。

 
 ところで「人物」は選出しない、と言ったが……

 ムリして世界プロレス大賞2020のMVPを選出するとしたら、

 それもやはりWWEのWWE王者、ドリュー・マッキンタイア
になりそうである。

 ごく短期間ランディ・オートンに王座を奪われるという幕間劇はあったものの、
 
 しかしこの人、歴代王者の中でも屈指の「王者の風格」のある王者ではなかろうか。

(バグパイプのスコットランド調入場曲も、また素晴らしい。)

 
 ということで、MVPと特別賞はともに(世界最大の団体)WWEが受賞である。

 こうなってしまうのだから、日本の東スポプロレス大賞が「(日本最大の団体)新日本偏重」だと言われるのも、なんだか仕方のないことかと思ってもしまう……


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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