ついに、ウワサのリデットエンターテイメントが旗揚げする新団体がベールを脱いだ。
その名は「GLEAT(グレイト)」
「プロレスリングGLEAT」ではなく(その方が響きは良いが)、ただの「GLEAT」である。
オブザーバーの長州力が昔から今に至るまで言っている「プロレスラーじゃなくて、プロのレスラー」との言葉を、この団体名が体現しているかのようだ。(プロレスTODAY 2020年8月20日記事:リデットエンターテインメントが新プロレス団体「GLEAT」を設立!旗揚げ戦を10.15後楽園ホールで開催) そのメンバーは、
●オブザーバー:長州力
●エグゼクティブ・ディレクター:田村潔司
●チーフ・テクニカル・オフィサー:カズ・ハヤシ
●チーフ・ストラテジー・オフィサー:NOSAWA論外
●選手1:伊藤貴則(元WRESTLE-1)
●選手2:渡辺壮馬(元WRESTLE-1、元ペガソ・イルミナル) となり、旗揚げ戦は10月15日の後楽園ホール大会となった。
さて、言うまでもないことだが――
このコロナ禍の真っ最中、
旗揚げの時期としては史上最悪のタイミングになってしまった。
むろん10月にはコロナ情勢が好転している可能性がないでもないが、
しかしこの新団体にとっては、非常に厳しいタイミングでのスタートである。
ただ救いは、近年のプロレス界での「新団体旗揚げ」の中で、最も注目を浴びるしプロレスファンの関心も高いという点だろう。
なんたって、長州力、田村潔司、NOSAWA論外、カズ・ハヤシの組み合わせである。
上記引用記事にリンクされた旗揚げ告知動画では――
NOAHの親会社であったリデット社が新団体旗揚げのきっかけになったのは、田村潔司の
「プロレス50%、格闘技50%の肉体、そういう選手の育成ドキュメントをYouTubeで配信してみませんか」
という言葉だったという。
我々はこれを、どう解するべきだろうか。
普通ならこれは、「中途半端」としてダメ出しされるべき方針である。
プロレスでもなく、格闘技でもなく――
そう、まるでかつてのUWFが言われていた(今から振り返って言われている)悪口と、ほとんど寸分違わないような言葉である。
そんな風に解されることは田村潔司だって重々承知だろうに、それでもあえてこのようなことを言う。
「UWFというものを残したい」という田村潔司の一貫した願いに、ブレがないことはこのことからもわかる。
たぶん田村潔司は、「プロレスでも格闘技でもない」ということの反対解釈――
すなわち「プロレスでもあり格闘技でもある」というUWFのことが、一貫して好きなのである。
UWFとはそういうものであるべきであり、だからこそUWFが好きだと感じているのである。 その田村と、こともあろうに「UWFを抹殺した男」とされる長州力が協力するというのが、なんとも言えぬパラドックス感ではないか。
そしてまた、UWFという三文字が、いかに長命で魅力的な文化的遺伝子であるか、改めて感心するではないか。 しかし逆に、こういうパラドックス的結合は、やはりNOAHにいてはなかなか実現・浸透が難しいのだろう。
私もそうだが皆さんも、当初は「この組み合わせが、よりによってNOAHで実現するのか」と、
(大げさに言えば)ハラハラドキドキしていたのではないか。
(⇒ 2019年11月19日記事:NOAH次期シリーズ名は「STARTING OVER 2019」-NOAHで甦るUWF?)(⇒ 2019年10月25日記事:NOAHが静かにスゴいことになっている件-長州力と田村潔司がここで交わるとは)
だがリデット社も長州力も田村潔司も、NOAHから離れる道を選んだ。
団体まるごとをやりたいようにやっていくには、それが最善だからである。
その意味で、今までの新団体誕生や旧団体分裂と根本的には同じなのだが――
とはいえやはり、
「業界トップランクの団体で運営経験を積んだ一般企業が、新たな団体を立ち上げる」というのは、希有というか初めての現象ではある。
さてしかし、色々言ってもGLEATの一番の問題は、「選手層の薄さ」だろう。
今の時点で、所属選手は元WRESTLE-1の2名。
そして選手として稼働できるのはNOSAWA論外とカズ・ハヤシの2名。
これはさすがに少なすぎるので、旗揚げ戦まであと2ヶ月で、所属選手を増やす必要はあると思う。
ある意味、これからどんな選手が所属選手として発表されるかが、プロレス界で注目されそうである。
それができなければ、フリーや他団体から参戦選手を募ることになるが……
もし旗揚げ戦の面々が「元WRESTLE-1の選手ばかり」という事態になれば、それはやっぱりイメージダウンになるだろう。
(まるで「失業者救済団体」みたいな受け取られ方をするからだ。)
とはいえ、この新団体GLEAT、こんな時期に旗揚げすること自体がチャレンジングな団体である。
果たして、史上空前の困難な時にあるプロレス界の台風の目となれるかどうか……
基本的には、応援したいと思うのである。
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