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なぜイジメ自殺は…その5 イジメ撲滅のカギは「繋がり」の否定、人間の流動性の極大化

 話を元に戻そう。


《同じ組織・団体などに属する人間には「繋がり」がある。あるべきである。

 人間の本性として、そこには必ず上下関係というヒエラルキーが生じずにいない。

 しかもそれは正しい道徳的な、あるいは自然なものであるから、尊重して当然/あって当然なことである。

 よって、これを否定したり反抗したりするのは反道徳的な悪である》
 

 こういう雰囲気とそれに基づくヒエラルキーは、封建時代をとっくに終えたはずの現代社会でも非常に強固に存在している。

 それゆえにイジメ・パワハラのターゲットになる人間は、反抗できず潰されてしまう。

 
 しかしそれなら、なぜ彼らはそのヒエラルキーから抜け出そうとしないのだろう。

 早い話が、そんなに辛いのならばどうして、勤務先や学校をさっさと辞めてしまわないのだろう。

 なぜ地獄に思えるその場にしがみつき、留まろうとまでするのだろう。

 実際イジメをする側も、いったんイジメられる側が自分の属するヒエラルキーから抜けたなら、もうその人間に統制権は及ばないとは思っている。

 いつも接する「仲間」で「身近な身内」だからこそイジメるのであり、外の人間になってしまえばイジメる動機も誘因も自分の中からなくなってしまうと、彼らはやはり自覚している。

 それはあなたもそう思っているはずである。

*********************************
 
 だが、人があっさり退職・退学をしない理由はもちろんある。

 職場であれば、生活費を得る場を失うことはできないから。

 簡単に次の仕事を見つけることができないから。

 学校であれば、なぜか我々は「学校には行くべきものだ」と思っているから――しかも、相当強く思っているから。


 さらにこれらの根本には、転居・引っ越しが容易ではないという、極めて現実的な事情がある。

 逆に言えば、これらが全て解決されればイジメの定着は防げるだろう。

 「発生」自体は防げないだろうが、発生すればそこをさっさと抜ければよい。

 すなわちイジメの解決策は、人間と社会の流動性を向上させること――「定着性」を薄めることである。

 人を「繋がり」から解放し、「仲間」意識をなくすことである。

 そんなものがあるから上下の意識が必ず生じ、それが正しいものとされてしまう。

 人は、絆という名のしがらみを断ち切ることで自由になれる。

 それは、奴隷の足に付けられた鎖を断ち切ることと同様である。


 ひょっとしたら、奴隷はそれを不安がるかもしれない。

 そんなものがあるから自分は苦しんでいるとわかっていても、なおそれを外すことにためらいがある。

 今いるこの場を離れるのを恐れ、もしかしたら主人(たち)が慈悲をかけてくれはしないかなどと期待する。

 この運命が好転しないかと期待する。

 しかしもちろん、そんなことは起こりはしない。それは彼自身も知っている。しかし願う、鎖を見つめて。
 
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 仲間とは、ただ同じ場所にいる者のことではない。

 単に偶然そこにいるだけで自然発生的に繋がりが生じるものでもない。

 ましてや、初めから繋がっているなどということは絶対にない。

 仲間とは、同じ考え・嗜好・志(こころざし)などを持ち、自分の意志で繋がりを持つことを選んだ者同士のみを指す。

 あとの人々は仲間でも何でもなく、ただ単なる「人」である。

 仲良くしたいならすればいいが、嫌になったらさっさと関係を断ち切ればよく、またそうできる社会であるべきである。


 ただし現実には今はまだ、そこまで人間と社会の流動性は高くない。

 そしてまた、「繋がり」と「仲間」が大切だという社会の雰囲気が変わることは、すぐには期待できそうもない。


 だが、すぐにでもできることが一つある。

 それは、自分自身がそうした雰囲気から脱することである。

 そんなものは尊くもなければ大事でもないと、自分の心の中で思うことである。


 このことは決して難しいことではない。

 なぜならそれは決して精神論ではなく、事実に裏打ちされているからである。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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