2019年11月2・3・4日の3連休は、日本プロレス界のメジャー・準メジャーの団体のほとんどがビッグマッチを開催するという、黄金週間となった。
その初っぱなを飾る、11月2日のNOAH両国国技館大会だが――
これだけはどこも全く生中継をせず、ナマで見るには大会会場に行くしかないという、やや特殊な大会であった。
もちろん私は会場に行くことはできないので、ただNOAHの公式サイトで結果だけ見てこれを書いている。
一見して目を引くのは、最後の4試合が「意外」な結果に終わっていることである。
【第8試合 GHCタッグ選手権試合】
王者組:中嶋勝彦○ & 潮崎豪 vs マサ北宮× & 稲村愛輝
【第9試合 スペシャルシングルマッチ】
丸藤正道 × vs グレート・ムタ ○
【第10試合 GHCナショナル選手権試合初代王者決定戦】
杉浦貴 ○ vs マイケル・エルガン ×
【第11試合 GHCヘビー級選手権試合】
王者:清宮海斗 ○ vs 拳王 ×
まず第8試合。王者組アクシズが防衛するのは意外ではないが、
負けたのは稲村ではなくマサ北宮である。 この現NOAH最大のビッグマッチで、稲村は負け役を脱したのである。
これは、とても大きいことのような気がする。
次に第9試合。N-1リーグ戦で全敗という惨憺たる成績を残した丸藤正道、またもここで敗北である。
いや、これ、
さすがにグレート・ムタには(毒霧は必ず喰らうとしても)勝つだろう、と思っていた人は多かったはずだ。 普通に考えれば丸藤正道、深刻なスランプ状態にあるとしか言いようがない。
はたして丸藤は、いや「親会社のリデットエンターテインメント」は、今後の丸藤をどのように位置づけていくつもりなのだろうか……
次に第10試合。これも杉浦が勝つとは、あまり思っていた人はいないのではないか。
何と言ってもマイケル・エルガンは、つい最近の大日本プロレスのマットで関本大介と「超肉弾戦」を行い、激勝を収めている。
そのエルガンに杉浦が勝ったということは、間接的ながら杉浦の方が関本より強いということになる。
(こういう理屈は、プロレス界ではお馴染みのものである。)
NOAHを支える二大柱とも言われる丸藤・杉浦だが、こんなにクッキリ明暗が分かれるのは、皆さんにとっても意外ではなかったろうか。 私は不明にも、このグレート・ムタ戦で丸藤は復活の狼煙を上げるだろうと思っていた。
また、ほとんど当然のようにエルガンが初代GHCナショナル王者になるだろうと思っていた。
プロレスが賭け事の対象になっていないのは、まことに幸いなことであった。
そしてメインイベントのGHCヘビー級王座戦。
これも多くの人が、「さすがに」今回は拳王が勝って王座戴冠というのを予想していたものと思う。
いまや拳王は日本プロレス界における「反体制」の代表、そしてプロレス界随一というくらいの「オピニオンリーダー」でもある。
あれほどリング上や週刊プロレス誌上で長期にわたって「口撃」を繰り返しておきながら、
しかもそんなこと自体がもう二度目・三度目でありながら――
それでもまだ、清宮の王座を突き崩すことができない。
いったい「親会社のリデットエンターテインメント」は、拳王を「永遠の反体制キャラ」に据え置くつもりだろうか。
いや、永遠ということはあるまいが……
もしかしたらリデットも(そして多くのファンも)、「拳王から反体制を取ったら何が残る」と思っているように感じられないでもない。 それよりは若く(見るからに)未完成の王者の時代がもう少し続く方が、より集客と注目度向上に貢献する……
という考えが、見当外れとも言えない。
試合自体を見ていないので何とも言えないのだが、今回のビッグマッチの結果だけ見れば――
何とも「NOAHらしい」保守性と漸進的な変化が、そこはかとなく感じられる気がする。
特に拳王・丸藤・稲村の関係性の今後には、何か変化が起こりそうな気がする。
それにしてもこういうビッグマッチの生中継が一切ない、というのは、NOAHにとってどんなものだろうかと感じてしまう……
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