週刊プロレスno.1792(2015年5月27日号)には、WRESTLE-1のCEO(最高経営責任者)に就任した高木三四郎のインタビュー(週刊プロレス・佐藤編集長との対談)が掲載された。
雑誌の表紙自体が彼の顔の単独ドアップというのは、
本当にどこかの経済誌の表紙かと見まがうほどである。
週刊プロレスno.1792表紙 従来のDDTと合わせ、プロレス界初(?)の2団体経営者となった高木のインタビューのうち、一つオヤッと思う点があったので述べておきたい。
それは、この部分である。
(引用開始)**********************************
高木 W-1は顧客満足度においては全然劣ってない。イメージだけだと思います。やっぱり全日本から分裂したときのイメージ…。
佐藤 そこをまだ引きずってる?
高木 そこはもうしょうがないですね。いまから歴史を変えることはできないですから。そこをプラスのイメージで塗り替えていく作業は絶対に必要ですね。
佐藤 ほかにW-1のイメージで気になる部分はありますか?
高木
WNCとの合併ですよね。これはWNCのファンの人に対してあまりいい印象を与えなかったんじゃないかな。そうせざるを得なかった事情もあると思うんですが、業界再編のひと言ではくくれないものがファンの中には絶対にあるんですよ。
佐藤 あまりにも団体が多いので、本来はもう少し絞られるのが理想だとは思いますが。
高木 業界再編がないとダメな部分もあるんですけど、
再編したからには吸収された側のファン感情を救ってやる必要がある。佐藤 WWEもWCWやECWを吸収しても、消滅団体の歴史に対する敬意は払っています。
高木 そこをうまくできなかったんじゃないか。
その反動がW-1さんのほうに乗っかかってきたのかなと思います。(以下略)
(引用終わり)**********************************
率直に言うと、WRESTLE-1がWNCを吸収合併したことを、こんなに重要視する人がいるとは思いもしなかった。
私はあれは
救済合併であり、むしろ両団体にとっていいことだったと思っている。
WNCのファンだった人が今もそのことに負の感情を持ち続け、それがWRESTLE-1のイメージを損ねているという考えは、私には思いつかなかったものだ。
WRESTLE-1がいつでもどこでも評価される唯一と言っていい長所――「有望な若手選手が多くいる」ことの要因のほとんどは、WNCとの合併によるものである。(要するに、WNCの若手選手の大半がWRESTLE-1に移籍した。)
それを思うとき、高木の意見はますます意外に感じてしまう。
WNC併合によるファン感情のもつれが反動となって、今のWRESTLE-1のイメージを損ねている――
そういう意見にハッとしたり「なるほど」と感じるプロレスファンは、そんなにいないように思える。
ちなみにWNCとは「レスリング・ニュー・クラシック」の略称であり、元WWEスーパースター・TAJIRIの率いた団体である。(2012年4月-2014年6月)
しかし旗揚げメンバーであり団体のロゴ(新日本のライオンマークに当たる)をデザインした女子プロレスラー・華名は、早くも2012年11月に退団している。
理由は、ギャラの遅配。 約2年間の団体史についてはウィキペディアを参照してほしいが、そこに示された各大会の観客数は、なるほどこれでは団体の長期存続は難しいだろうと読む人に感じさせるものである。
旧WNCのレスラーが、今もWRESTLE-1をはじめ各団体で相当の活躍をしているのは確かだと思うが、自主独立を断念しどこかの団体に合併されるのは必然の道だったとも思う。
WNCのファンたちも、そんなことは許せない、今でもまだ許せないと思っているとは、私には思えない。
そういう人がいるとして、それが原因でWRESTLE-1のイメージが悪くなるほどの人数がいるとも思えない。
それともやはり、
プロレス界の中の人と外の人では、認識や感じ方が違うのだろうか。 外の人にはたいしたこととは見えないことも、中の人には重大なことと映るのだろうか。
そして、そのどちらが正しい認識と言えるのだろうか。
もちろん中の人の言っていることが正しい、とはならないだろうと思うのだが……
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