テレ朝チャンネル2で、新日本10.8両国国技館大会を生中継で見た。
見た人は誰もが感じたろうが、
この大会、ちょっと「盛りすぎ」である。
大会前の最注目点は、何と言ってもロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの新メンバー(内藤哲也の新パレハ)は誰か、ということだった。
結局それは(前日にドラゴンゲートを退団したばかりの)鷹木信悟だったのだが――
もうそんなこと忘れてしまうほど、大きな出来事が多かったのである。
鷹木が登場した試合の次は、遺恨あるEVIL vs ザック・セイバーjrの試合だったが、
EVILの「闇の従者」としてフードをかぶって一緒に入場してきたクリス・ジェリコが突如EVILを襲撃KOし、ノーコンテストに。
しかもジェリコはそれ以外に何もせず何も言うことなく、そのまま退場していった。
以前の記事でも書いたのだが、新日本もどんどん「芝居がかった」方向に(WWEの方向に)舵を切っているものである。
ジェリコが(自分が持参した)フードをかぶった闇の従者に変装し、舞台裏で密かに従者の列に加わったのだなどと、子どもでも容易には信じないだろう。
それはもちろん「打ち合わせ」の上で紛れ込んだのだと、思わない人っているだろうか。 こんなことは新日本にも当然わかっていることなのだが、それでもやる。
こういう「劇」を平然と行うことに、新日本はますまずためらいがなくなってきているようだ。
もっとも当のEVILの魔人コスプレからして、すでに「劇」じゃないかと言われればそうだが……
セミファイナルの棚橋弘至 vs ジェイ・ホワイト(&外道)のIWGPヘビー級挑戦権利証争奪戦では、ジェイ&外道の悪逆非道ぶりに棚橋が辛くも勝利し権利証を防衛。
しかし試合後、ジェイと外道に加え(久しぶりに登場した)邪道らから棚橋が袋叩きに遭い、
それを救出に来たオカダ・カズチカが、今度は突如現れたバレットクラブOGに袋叩きに遭ってしまった。
そしてジェイ・ホワイト&邪道&外道の3人は、バレットクラブOGに加入(同盟?)することをリング上で披露した。
さらには、大の字になったオカダのそばへ棚橋が気遣うように戻ってくる……(何もせず退場したが)
これでジェイと外道だけでなく邪道もOG側につき、いよいよCHAOSは解体の勢いに乗ってきた。
しかし何より、オカダ&棚橋の新旧エースのドリームタッグが成立するかもしれない、という示唆はインパクトがある。
これが実現するとしても棚橋がCHAOS入りすることは考えにくいので、やはりオカダがCHAOSを抜ける形になるのが自然である。
だがそうなると、いよいよCHAOSにはトップ級レスラーがいなくなってしまう。
果たして石井智宏や(まさかの)矢野通が新リーダーになって存続するのか、それとも完全解体するのか、CHAOSの行方は直近の新日本の最注目点である。(しかしまるで、ソ連解体後の世界情勢を予想するかのようだ。)
さてメインのIWGPヘビー級選手権試合は、王者ケニー・オメガ vs 飯伏幸太 vs codyという、日本では13年ぶりの3way形式であった。
大会前に飯伏は「この試合は伝説になる」と言っていたが、伝説とはいえないまでも、3wayにしては稀に見る好勝負であったのは確かだと思う。
そしてケニーが防衛した試合後、次回1,4東京ドームでケニーに挑戦する
棚橋がリングに上がり、
「みんな拍手してるけど、(ケニーを向いて)ここは新日本なんだ」
と、改めてケニーのプロレスを「嫌い」と表明。 この試合、「オモシロ試合・お笑い試合」の場面もあったので――
新日本最高峰のベルトを賭けているのに何だそれは、というのが棚橋の言いたいことであったのだろう。
この棚橋の言葉は、つい先日飯伏幸太がわざわざ自分から逆オファーしてのインタビューで言っていた、
「棚橋弘至にこそ最もアントニオ猪木を感じる」すなわち棚橋にこそ最もストロングスタイルの匂いを感じる、
ということの補強材料のようなものだ。
(そして棚橋は、それを意図して今回の発言をしたのかもしれない。)(⇒ 2018年9月30日記事:「精神のシュート」飯伏幸太の逆オファーインタビューとプロレス思想戦) そういえば棚橋弘至、ケニー・オメガや飯伏幸太が何度となくやってきたような、オモシロ試合・お笑い試合は一度としてやったことがない気がする。
それはもちろん、アントニオ猪木も同じである。
(滝沢秀明とのエキシビションマッチはあったが)
脱ストロングスタイルを牽引してきたはずの棚橋、
中邑真輔について「ストロングスタイルの呪いにかかってる。その呪いを解けるのは俺しかいない」と言ったことのある棚橋。
その棚橋が、今の新日本ではストロングスタイルの保持者・体現者だと、たとえ一部からではあっても見なされている……
これはたぶん、「皮肉」の一言で片付けては適当でないことなのだろう。
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