
高橋奈苗 本当にもう、プロレス界には次から次へと事件が起こるものである。
本日付け東京スポーツ紙によると、高橋奈苗がスターダム退団を決めたらしい。
高橋奈苗は、日本の女子プロレス界における最強・最高二大選手の一人(もう一人は里村明衣子)として認知されている。
スターダム旗揚げメンバーの中核であり、今は手術で欠場中だがバリバリの主力選手であり続けてきた。
何よりも、かつて女子プロレス最高峰とされた全女のWWWA(スリーダブリューエー)世界シングル選手権、最後の王者でもある。
スターダムは、今の日本の女子プロレス界で規模的に最大の団体である。
そしてまた昔からの女子プロファンの間では、「全女の後継団体」とのイメージを持っている人も多いと思う。
スターダム自身も意図的に、そういうイメージ戦略を取ってきたのだろう。
思うに、
スターダムが全日本女子プロレス(1968~2005)の正統な後継王朝であるとのイメージは、次の三本の柱で支えられている。
①全女で広報部長をしていたロッシー小川が社長である。
②WWWA世界シングル最後の王者・高橋奈苗が所属している。
③全女の赤いベルト(WWWA世界シングル王座)・白いベルト(オールパシフィック王座)に相当する、赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)・白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)を設立している。
このうち③は、①②がなければ行われなかったことだろう。
全女と関係ない団体がそんなことをしたら、失笑されるか反発されるかするに決まっているからである。

ロッシー小川(小川宏)
全女・赤いベルト(WWWA世界シングル王座)
全女・白いベルト(オール・パシフィック王座)
スターダム・赤いベルト(ゴッデス・オブ・スターダム王座)
スターダム・白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座) 今回スターダムは、②の柱を失うことになる。
しかし①を失うことはないだろうから、かろうじて全女後継王朝のイメージは保たれる。(①はおそらく、団体と命運をともにする。)
とはいえ、三本の柱のうちで最も失われやすいもの、遅かれ早かれ必ず失われるものは、初めから②とわかっていた。
奈苗は今、三十六歳。
女子選手としては、もっと早く引退していても全然おかしくない年齢である。
「現場責任者」という重い地位にあるとは言っても、スターダムにとっては来るべき時がようやく来たというところだろう。
幸いスターダムは、おびただしい退団者・離脱者を出しながらも(たぶんプロレス界最多である)次々新人をデビューさせてきた。
残った選手らは確かに育っていると思う。
少なくとも、マイバッハ谷口以来7年間で1人(熊野準)しか新人をデビューさせられなかったNOAHよりは、はるかに恵まれた環境を自ら作り出している。
それに、いまさら全女の後継者を自任するメリットも確実に薄れているはずだ。
時代は流れ、ファンは入れ替わり、滅んだ団体は着実に忘れられていく。
それは寂しいことには違いないが、やはり世の習いである。
そしてまた、「上」の「存在感の大きい」人間が抜けてこそ、新世代がその穴を埋め、真の意味で飛躍できるのも事実である。
そうでなければ全員に下っ端癖・中堅癖が付いてしまい、飛躍できる時できないまま歳を重ねて引退を迎えることになりかねない。
スターダムに残された選手たち、そしてもちろんフリーとして復帰するだろう高橋奈苗に、私はけっこう期待している。
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