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聖帝タイチ戴冠、鈴木みのるの対内藤哲也2連敗-イメージを巡るプロレス

 テレ朝チャンネル2で、新日本プロレス9月17日ディストラクション・ベップを生中継で見た。

 セミファイナルのNEVER王座戦では、タイチが後藤洋央紀を破り王座戴冠したのだが――

 結果も(鈴木軍セコンド乱入ありまくりの)試合展開も、ほぼファンが予想したとおりではなかったろうか。

 たぶん確固たる後藤ファン以外の100%の人は、後藤よりタイチに勝ってほしいと思っていたろう。

 タイチ待望論というのはもちろんあるし、ついでに言えばタイチの言うとおりNEVER無差別級のベルトというのは、あるのかないのかわからないような存在になってしまっているからである。


(このNEVERベルトの扱いというのは、今の新日本の抱える問題の一つだと思う。)


 それにしても後藤は戦前タイチのことを「何の実績も残してない」クズだと煽っていたが、

 タイチは実績がないどころか元GHCジュニアヘビー級王者である。

 それは数年前のことだが、後藤のみならず多くの人がそんなこととっくに忘れ去っているかのようだ。

 プロレスに限らず社会の流れは、本当に速いものである。

(もっとも、「ヘビー級に転向して」から何の実績も残していない、という意味ならそのとおりだが。)


 残念ながらNEVERベルトは、後発のUSヘビー級よりも存在感の薄いベルトのままだ。

 タイチの戴冠で、今度こそ何らかの色が付くのを期待したい。

(そして一番喜んでいるのは、あべみほファンの人かもしれない……)




 さて、メインイベントは内藤哲也 vs 鈴木みのるのタイトルマッチでも何でもないシングルマッチであった。

(この辺がまた、NEVERベルトの存在感というものを物語っている。)

 しかしさすがにビッグマッチのメインイベントにふさわしく、見応えのある試合だったのは喜ばしい。

 とはいえ、一つだけ気になるところと言えば――

 これがプロレスでなければあれほど長くヒールホールドが決まるなんてことはないだろう、という点だろうか。

 腕ひしぎ十字固めにせよヒールホールドにせよ、本当に決まっているならばアッという間にタップしているはずだというのは、MMAブームを経たプロレスファンの常識となっているはずなのだが……

 もうプロレスとMMAは分離して久しく、そんなことを考慮する必要はなくなったということだろうか。

 しかもそのヒールホールドをかけているのが、他ならぬヒールホールドを禁止したパンクラスの創設者の鈴木みのるだというのが、真面目な人を考えさせるところだ。


 ところで鈴木みのる、内藤哲也に対しては2連敗である。

 セミの前のロス・インゴ軍 vs 鈴木軍の6人タッグマッチでザック・セイバーjr.がEVILを(呆然とさせる形で)勝ったからいいようなものの、たいていはいい加減これで抗争が終わりそうなものだ。

 しかしそんな雰囲気を微塵も感じさせないのが、鈴木みのるが今まで培ってきたイメージ戦略の勝利である。

 これほど負けても鈴木(軍)には次があるとか、抗争が継続するのも「それが自然」とファンに思わせるというのは、実のところ並々ならぬ力量ではないか?


 プロレスの闘争と言えば、前にも書いたようにイデオロギー闘争がその華なのだが――

 イメージを築き上げる戦いというのも、またもう一方の華なのだろう。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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