この「レスラー短感」では、個々のプロレスラー(それ以外の人もたまに含む予定)について、感じることを短く述べる。
第1回目は鈴木秀樹。

鈴木秀樹(フリー) 鈴木は1980年生まれの35歳。
2008年11月にIGFでデビューしたが2014年3月に離脱。
現在はフリーとして各団体に参戦し、この記事を書いている時点では、NWA-UNヘビー級(ZERO1)・WRESTLE-1チャンピオンシップの王者である。
身長191センチと恵まれた体格だが、生まれつき左目は全く見えないらしい。
「ビル・ロビンソン最後の弟子」を自任し、その得意技ダブルアーム・スープレックスを必殺技(フィニッシュホールド)として使う。
プロレス関係者・プロレスファンともに、彼には極めて高い評価を与えているように見える。

鈴木のダブルアーム・スープレックス(ビル・ロビンソン直伝) 特に今年4月1日、WRESTLE-1チャンピオンシップを奪取したKAI(WRESTLE-1)との試合では、わずか7分程度で勝利を収めた。
この試合、私は録画はしているのだがまだ見ていない。
(録画すると却って見ないのは、人類共通の悪習だと思う) が、雑誌やネットを読んでいると、よほどKAIは何もさせてもらえないまま敗北したようだ。

鈴木秀樹vsKAI (2015.4.1 WRESTLE-1・後楽園ホール) そこで鈴木の強さ(反対にKAIの不甲斐なさ)がファンの間でも語られるのだが、これは「プロレスの勝敗は初めから決められている」説についての「裂け目」の一つだと思う。 この説が正しいならWRESTLE-1は、わざとKAIを圧倒的に負けさせたことになる。
しかし一方、KAIを団体のエース候補に位置づけてもいるとされる。(武藤敬司を破って王者になったのだ)
それをフリーの選手に対し、いいところなく負けさせる意味はあるのだろうか。
鈴木はまだ、そんな勝利がふさわしいほどの大物選手でもないと思うが、どうなのか。
もしかするとプロレスは、本当に「強さ」を競っているのかもしれない。
「作り」なく、本当に強い方が勝っているのかもしれない。
全部とは言わずとも、そういう試合が確かにあるのかもしれない。
そして鈴木は「本当の強さ」を持っている―― 鈴木秀樹vsKAIは、そんなことを思わせる試合だったのだろうか?
(見なきゃいけないとは思っていても、ついつい見ないで過ごしてしまうのは本当に悪習である。)
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しかし私にとってもっと印象深いのは、鈴木秀樹が紹介されるとき、決まって
「元郵便局員」と言われることだ。
それは徹底していて、「ビル・ロビンソン」「ダブルアームスープレックス」「2代目人間風車」「元IGF」などよりも、さらに言及される頻度が高いように思える。
小島聡(新日本)や小橋建太(NOAH。引退)が元会社員・サラリーマンだったのもよく知られているが、鈴木ほど強調されることはなかった。
他の選手が「バックボーンは柔道、アマレス」とか呼ばれる中、この人だけは「バックボーンは郵便局」と呼ばれかねない勢いである。 「プロレスラー」と「郵便局員」のギャップが面白い/印象深いからだろうが、郵便局員ってそんなにもプロレスラーと対極にあるイメージなのだろうか?
プロレスファン、ひいては日本人の職業観をうかがう上で、参考になる現象である。
鈴木の「本当の強さ」とはまた別に、この人がいつまで「元郵便局員」と呼ばれるのかも、興味深いテーマと言えるだろう。(言えないか)
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こちらも鈴木選手の「強さ」に魅せられて記事を書かせていただいたばかりなのですが、ここも面白い着眼点されてますね。
ところで気になってるのが、鈴木選手は郵便局勤務時代のこと。どこの配属だったのかご存知でしょうか?
局で内勤されてたのか、それとも配達されてたのか・・・。