新日本プロレスの次期社長に、ハロルド・ジョージ・メイ氏(54歳)が就任することが報道された。
(⇒ 東スポweb 2018年5月13日記事:新日本プロレス社長にオランダ出身実業家メイ氏就任へ 元タカラトミー社長) このメイ氏、
タカラトミーの社長を務めて業績をV字回復させ、その前は日本コカコーラの副社長をしていたという。
まさにビジネス界の大物、相当のプロ経営者である。
(しかし不勉強ながら、あのタカラトミーがつい最近まで赤字体質だったとは知らなかった……)
それにしても日本プロレス界の「企業プロレス」への流れは、とどまることを知らない。
あとは株式上場すれば、真に企業プロレスの完成である。(⇒ 2017年9月23日記事:DDT、サイバーエージェント傘下になる-これは21世紀のメガネスーパーなのか?)(⇒ 2018年2月26日記事:「最先端企業プロレス」DDTインフォマーシャル・マッチという試み) もはやかつての
「プロレス団体の社長は、当然レスラーでなくてはならない。そうでないと他のレスラーが言うことを聞かない」
なんて“常識”もしくは“惰性”は、少なくとも新日本ではお払い箱になったかのようだ。 永田裕志など前々から新日本経営陣への「入閣」がウワサされてはいるものの――
この傾向では近い未来において、取締役の一人になることはあっても社長になることは金輪際ないだろう。
いや、企業経営の面からすれば、昔の長州力のような「現場監督」が最高位かもしれない。
きっと数年中に、もしくは今すでに、「メジャー」か「インディー」かを分別する要素として、「いまだに社長をレスラーが務めているか」というのが使われるようになりそうである。(DDTの高木「大社長」は社長だが、サイバーエージェントの子会社の社長だ。)
“今の新日本は、かつての新日本と変わってしまった” とは、多くの人が(今の新日本への批判を込めて)思っていることだろうが――
会社経営的には、まさに天と地の差があるということになるだろう。
むろん今の新日本が天で、昔の新日本が地である。
あるいは今の新日本が月で、昔の新日本がスッポンである。 昔の新日本が、あのアントン・ハイセルをはじめとしてリアルなスキャンダルや暴動・ハプニング・謎事件の坩堝であったことを思えば、実に感慨深いものがある。
しかし当然のこと、そんなのは健全な企業経営の観点から許されることではない。
だが一方、もうあんなことが起こることはないのかと思うと、いささか寂しく感じるのも人の情だ。 今年1月、オカダ・カズチカは「もう札幌に(新日本に)事件はいらない」と言った。
これは今後、「もう新日本に事件は “ない” 」と言い換えた方がいいかもしれない。
(⇒ 2018年1月28日記事:ジェイ・ホワイト戴冠、バレットクラブ分裂、ゴールデン☆ラヴァーズ復活-新日本「冬の札幌で何かが起こる」という伝統) しかし、それでも思うのは――
かつての新日本(「猪木新日本」)のメチャクチャぶり・乱行ぶり・破天荒ぶりが、今でもなお語り継がれるエピソードとなり、今でさえプロレス出版界をいささかなりとも潤しているという事実である。
もしかしたら、未来から今の新日本を振り返って見たとき、出版物にして売れるような素材は何もないのかもしれない。
語り継がれるような「事件」は、特に生まれないのかもしれない。 であれば今後、語り継がれるべき「事件」を生じさせプロレスに陰影を与える役目は、
たとえば鈴木秀樹のようなフリーのレスラーに託された、と言うべきなのだろうか……?(⇒ 2018年2月21日記事:秋山準vs鈴木秀樹、ツイッター上の決闘-組織人(企業人)と一匹狼、永遠の確執。そしてプロレスは「底が丸見え」の底なし沼か?)
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