NOAH・3月11日横浜文化体育館大会で、GHCヘビー級王者の拳王が敗れて陥落し、杉浦貴が王座戴冠した。
拳王は昨年12月21日に初めて王座について以来、結果的にはわずか3ヶ月足らずの在位であった。
週刊プロレスではコラムの連載も始まっていたというのに、
そして「拳王の開く新時代」に期待していたNOAHファンも過半数はいただろうに――
まさに拳王自身「自分が負けたらどうなるか」と言っていたように、NOAHの時計の針は元に戻ってしまったかのようだ。 これはまるであの、2006年12月10日のNOAH日本武道館大会で、王者・丸藤正道が挑戦者・三沢光晴に敗れて王座陥落した故事の再来であるかのようである。
(⇒ 2016年8月19日記事:レスラー短感04-2 ノア藩筆頭家老と「時代を逆戻りさせた」歴史的一戦?) しかしこの試合、残念ながら私は見ていないが、かなりの熱戦だったようだ。
NOAH公式サイトによれば、観衆も2412人入っている。
これは今のNOAHのビッグマッチの水準からすれば、悪くない数字ではないだろうか。
ただこれも、「新時代の王者・拳王が、旧時代の象徴・杉浦を完全に葬る」シーンを見たいがための客入り、と見れないことはない。
やはり今のNOAHにとって、それほどまでに杉浦の価値を下落させることはできないということなのか……
杉浦貴というレスラーは、お世辞にも発信力に長けたレスラーとは言えない。
気の利いた発言をする(できる)タイプではないし、それを何とかキャラ立ちするよう味付けしようとしていたのは――
彼をやたらススキノ行きだのキャバクラ行きだのの“ハレンチ大王”として書き立てていた、東スポくらいのものである。 杉浦をあえて新日本の誰かと比較するとすれば、それは石井智宏か(新日本ではないが)鈴木みのるに当たるのだろう。
だが杉浦は、プロレスファンの中の評価ではもしかすると石井よりも下である、
また、彼と並ぶNOAH旗揚げ以来のメンバーの双璧・丸藤正道とも異なり、ヨソの団体に出てさほど喜ばれる選手ではないし、実際「外貨稼ぎ」に他団体へ出撃することもあまりない。
どうも杉浦の持つ雰囲気というのは、王者にあまり向いていないようである。
むろん、オカダ・カズチカや棚橋弘至とは比べること自体なかなか思いつかないほど異質すぎる。 さりとて石井智宏の無骨さとも、また種類の違う無骨さなのだ。
(石井は杉浦以上に発言しないが、しかしなぜかある種の発信力は持っているという「特技」のようなものを持っている。) なんだか杉浦の悪口みたいになってしまったが、しかし別に杉浦に悪意があるわけではない。
ただやっぱり、プロレス界ましてや世間一般にアピールできる王者かというと、ものすごく懸念があるのである。
プロレスリングNOAHの時計の針は、元に戻った。
しかし願わくば、これがいい意味になってほしいものだ。
NOAHにとって「時計の針が元に戻る」というのは、「あの日本武道館に戻る」ということも意味するのだから――
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