“プロレスリング・マスター”武藤敬司(55歳)が2月19日に会見を行い、この3月末に両膝へ人工関節を入れる手術を行うことを発表した。
これをやったらもう武藤の最高最大の必殺技ムーンサルトはできなくなるため、3月14日のWRESTLE-1後楽園ホール大会で最後のムーンサルトプレスを決行することも合わせて宣言したとのこと。(⇒ 東スポWeb 2018年2月20日記事:武藤が両ヒザに人工関節手術 復帰できても危険な技は医師がストップ)(⇒ ねとらぼ 2018年2月20日記事:「失敗したら2度とリングに立てない」 武藤敬司、プロレスラー生命を掛けた両膝の手術を発表) 武藤敬司の膝が極度にガタガタなこと――「日本一ヒザの悪いプロレスラー」であることは、もちろんプロレスファンの一般常識である。
彼ほど弱点が有名なプロレスラーというのは、どこを探してもなかなかいないだろう。
そして何と日常生活の歩行ではしばしば車椅子を使っているというのも、まことしやかな“事実”である。
こうなるともう正真正銘の「身体障害者レスラー」と言っても過言ではあるまい。 しかし周知のとおり、彼ほどの名声とキャリアを持つレスラーが、どんな状態になろうとも「普通に負ける」ことは許されない。
ファンもそんなのは見たくないし、見たとしたら(残酷ながら)人気も下がる。
そうなったら武藤自身にも団体にも、何もいいことはないという“悪循環”が続くというわけだ。
もしかしたらプロレスファンは、
今まで武藤敬司がこんな状態でリングで戦ってきたということ自体、どんな絶技をも遙かに上回る「奇跡」を見続けてきたのかもしれない。
そして3月14日のW-1後楽園大会は、もしかしたら武藤にとって事実上の引退試合なのかもしれない。
ムーンサルトのできない武藤は、もし復帰してもますます低空ドロップキック(これもヒザに悪いと思うが)と四の字固め、ドラゴンスクリューしかやらない(やれない)選手になってしまう予感がする。
彼は天才中の天才と呼ばれる割には、新技を開発するとか既存の他人の技を新たな決め技に取り入れる、とかいったことにはなはだ不熱心な選手である。
しかしさすがにムーンサルトができないとなれば、50代半ばにして新技を取り入れなければレスラーとしてやっていけないのではないか。 この点アントニオ猪木はさすがというか、スリーパーホールドという(足腰に負担にならない)技を“魔性のスリーパー”としてブランド化したことで、余命を保つこととなった。
手術が成功して本当に来年復帰した場合、いよいよ武藤の天才が試されることになるだろう。
それにしても
ムーンサルトプレスという技は、大物レスラーの引退試合で(もちろん引退レスラーが)最後に放たれる技として、この上なくふさわしく感じてしまう。
思えば小橋建太の引退試合でも、最後は小橋のムーンサルトだった。
もちろん紫雷イオが引退するときも、最後は彼女のムーンサルトに決まっている。
つくづくムーンサルトという技は、プロレス技の中のプロレス技――プロレスを象徴する、印象度最高峰の技である。 まさか“飛び技”がそんな風になるなんて、故・力道山はどんな感慨を抱くだろうか……?
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