今年も東京スポーツ新聞社制定・プロレス大賞が発表された。その結果は次のとおり。
●最優秀選手賞(MVP):内藤哲也 ※新日本
●年間最高試合賞(ベストバウト):オカダ・カズチカvsケニー・オメガ(2017.1.4東京ドーム) ※新日本
●最優秀タッグチーム賞:諏訪魔(全日本)&石川修司(フリー)
●殊勲賞:YAMATO ※ドラゴンゲート
●敢闘賞:柴田勝頼 ※新日本
●技能賞:鈴木秀樹 ※フリー
●新人賞:青柳優馬 ※全日本
●女子プロレス大賞:紫雷イオ ※スターダム
●特別賞:松井珠理奈 ※AKB48(⇒ All About 2017年12月14日記事:AKBも受賞?2017年度プロレス大賞発表!) 今回の結果、(まんべんなくプロレスを見ている)ファンにとって、割と順当なものだと思う。
中でもMVPの内藤、ベストバウトのオカダvsケニー、技能賞の鈴木秀樹、女子プロレス大賞の紫雷イオというのは、おそらく大部分の人が「それはそうだろう」と納得する結果なのではないか。(特に鈴木秀樹が「技能賞」だというのは、「我が意を得たり」と感じる人が多いと思う。
「技能賞」というのはスポーツ界に多く設けられているが、“最も趣旨不明の賞”と感じられることが多い。
今回の選定は、まさに“技能”を対象にしたものだとわかりやすいので好評だろう。) 反面「え?」と思われそうなのは、最優秀タッグチーム賞の諏訪魔&石川修司、敢闘賞の柴田勝頼、新人賞の青柳優馬、特別賞の松井珠理奈だろうか。 諏訪魔&石川修司って、この11月に結成されたばかりの満1ヶ月のタッグである。
それが受賞してしまうのだから、この1年いかに新鮮味とインパクトのあるチームが不作だったかを物語っていると言えなくもない。 諏訪魔&石川修司組は“暴走大巨人”とも呼ばれるが、印象としては佐藤耕平(ZERO-1)&石川修司の“ツインタワーズ”第二号――
“第二ツインタワーズ”と言っていいようなチームである。
私はひねくれているのかもしれないが、何かもう少し「異質な二人」が組んで素晴らしいタッグワークを見せるチームが誕生してほしいものだ。
ところで面白いのは、この
タッグ賞の決選投票でWWEのジンダー・マハルの取り巻きである「シン・ブラザーズ」が次点に付けている。
(と言っても、諏訪魔&石川組が16票に対し2票だが……)
これはもちろん、あの中邑真輔の“素晴らしい引き立て役”になったことが理由だ。
WWEのレスラー(?)が日本のプロレス大賞にエントリーされるのは史上初らしい。
こういうところはプロレス界のいい加減さとも言えるが(それとも、ただの不文律に過ぎなかったのだろうか?)、選考委員の寛容さが見えて微笑ましい。
一方で敢闘賞の柴田勝頼は、4月9日のIWGPヘビー級王座戦(vsオカダ)に敗れて病院に緊急搬送されるまで、2017年をたったの3ヶ月しか活動しなかった。
復帰を目指して怪我と戦うという点では、確かに“敢闘”に最もふさわしい(最もイメージさせる)のかもしれないが――
しかしたった3ヶ月しか実働しなかったレスラーが受賞するというのは、他のレスラーは何してたということにならないだろうか。
(ちなみに決選投票で柴田は13票、EVILが8票である。EVIL、なかなか“敢闘”している。) さて技能賞に戻ると、鈴木秀樹の次点は望月成晃(もちづき まさあき。ドラゴンゲート)、そして何と大仁田厚が第3位に付けていたらしい。
当然ながら大仁田の「技能」というのは、パフォーマンス能力のことである。
プロレスの技術には、技の技術だけでなくそういう技能も含まれているのだ。
これをプロレスの奥深さ・幅広さと見るか、デタラメさ・意味不明さと見るかは、あなた次第です――といったところだろうか? そして新人賞が青柳優馬だというのも、いささか異論の多いところだろう。
新人賞は「3年前」までにデビューした選手が対象で、青柳はギリギリ3年前にデビューしている。
しかし3年前にデビューした人が新人かと言えば、やはり「新人味」に欠けている印象は否めない。
(ただ、やっぱりまだ青柳は「新人」とイメージする人も多いだろう。)
なお青柳は決選投票で14票、次点の北村克哉(新日本)は4票、第3位の芦野祥太郎(WRESTLE-1)は2票。
芦野は古武士のような風貌の現WRESTLE-1王者であり、北村の凄まじい肉体は言うまでもない。
それに比べれば青柳はとてもインパクトに欠けるように見えるのだが――
しかし青柳、その期待値は文字通り群を抜いているようである。 最後に松井珠理奈だが、これは地上波テレビ『豆腐プロレス』でハリウッドJURINAを演じたこと、8月には後楽園ホールで本当に試合をしたこと、そして来年1月4日の新日本東京ドーム大会のスペシャル・アンバサダーに就任したこと、が理由である。
生粋の(真面目な?)プロレスファンには
「いくらそうだからって、何でプロレスラーでもない人間が。プロレス界は芸能界や世間に媚びるな!」
と言いたくなるところだろうが――
しかし特別賞というもの、もともと非プロレスラーの表彰枠だと思えば腹も立たないものである。
たとえばの話、DDTの親会社となったサイバーエージェント社が受賞してもいいようなものである。
(正直、メガネスーパーにあげてはどうかと思うこともある。) 全体的に見て今回のプロレス大賞、特に文句もない妥当なものだと言えそうだ。(もちろん私にとっては、である。)
それにしても女子プロレス大賞は、紫雷イオの史上初の3年連続受賞となった。
もうイオは、スターダムの押しも押されぬ一本柱である。
彼女はまだ28歳なので、(結婚引退とかしなければ、怪我が悪化しなければ)あと10年くらいトップを張れる見込みがある。
これはある意味、女子版レインメーカー……男子のオカダ・カズチカをも凌ぐトップ中のトップということではあるまいか。
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