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新日本10.9両国国技館大会短感-「演劇系プロレス」の時代

 新日本10.9両国国技館大会(キング・オブ・プロレスリング)をスカパーのテレ朝チャンネルで見た。

(残念ながら、生中継でプロレスを見るのは久しぶりである。忙しいのだ。)

 この大会でサプライズと言えば、何と言っても(第3試合での)小松洋平と田中翔の無期限海外遠征からの帰還である。

 彼らの名前は「ヨーとショー」と呼ばれていたが、アメリカでは「テンプラボーイズ」なんていう80年代以前の日本レスラーのようなチーム名を付けられていたらしい。


(メキシコでは「風神・雷神」なのだから、メキシコの方が扱いが良かったのだろうか……

 しかし日本では「こまったな」だったので、テンプラボーイズはそれよりはマシである。)

 そして田口隆祐&リコシェを破り、凱旋帰国一発目でIWGPジュニアタッグ王座を獲ってしまった。

 近頃の新日本ではタッグ王座にあまり重みが感じられないとはいえ、これはやはり快挙であり会社の期待が高いことも窺わせる。

(実際、女性ファンの獲得に効果があるというのは、まんざら冗談口でもないような気がする。)


 第6試合「棚橋弘至&真壁刀義 vs 飯伏幸太&ジュース・ロビンソン」では、ジュースが真壁を相手にごく自然にありきたりの如くフォール勝ちしてしまった。

 これもまた、衝撃的とは言わないがサプライズはサプライズである。

 もうジュースは、新日本の定着外国人選手の中で盤石の地位を確立したと言っていいだろう。



 第7試合「KUSHIDA vs ウィル・オスプレイ」のIWGPジュニアヘビー王座戦では、5度目の一騎打ちでようやくオスプレイが勝利し王座奪取。

 しかしこれ、戦前にこうなることを予想していた人は大勢いたはずだ。

 さすがにオスプレイほどの選手が同じ相手に4連敗し5度目も負けることは考えにくいし、この人は王座に就いて当然の人である。

 この試合(もちろんKUSHIDAの力も預かってのことだ)が金曜夜8時の地上波テレビで流されない現代社会は、不幸なのではないかとさえ思う。


 こんなのを日本全国で普通に見ることができたなら、大人はいざ知らず子どもたちはやっぱり喜ぶのではないか。

 テレビ朝日には、ぜひ地上波のゴールデンタイム(夜7時~9時くらいの間)に、こういう試合を1試合だけでも流してみてもらいたいものだ。

 それにしても、試合後に――

 「次の挑戦者はオレだ」とばかりに不敵な笑顔で出てきた高橋ヒロムが、別の選手(今回はマーティ・スカル)に酷い目に遭わされてのたうち回り駄々をこねる、

 という流れは、まだ2回目だがもはや定着した「芸」のようになってしまっている。

 高橋ヒロムという男、やはり端倪すべからざる男である。



 第8試合「内藤哲也 vs 石井智宏」のIWGPヘビー級選手権挑戦権利証争奪戦、第9試合「オカダ・カズチカ vs EVIL」のIWGPヘビー級王座戦については、その結果自体は何のサプライズもないものである。

 内藤が勝って権利証を保持し、オカダが勝って王座を防衛する。そして2人が来年1.4東京ドームのメインイベントを務める。

 それはもう新日本最大・日本プロレス界最大のイベントのメインを飾るのは(集客力があるのは)このカードしかない――

 と、どんなヘソ曲がりでも認めるだろう。


 しかしEVILという男、つくづく新日本において最もマンガチックな男である。(これは悪口ではない。)

 いや、言い方を変えれば、「最もWWEとかルチャ・アンダーグラウンドとか、アメリカのドラマ型プロレスに近づいた男」となるだろうか?


 日本のプロレスは「演劇」ではないはずなのに、EVILは魔人コスプレして玉座に座り、今回はフード姿の従者をたくさん引き連れて登場である。「自分は闇の王」「エブリシング・イーボー」などと大真面目に喋っている。

 狂乱の飯塚高史にしてもそうなのだが、観客はもちろんそれが演技であることは百も承知である。


 いくら子どもでも、彼らが普段からあんなのだと信じる人はいないだろう。 

(あの人たちも税金を払ったり確定申告してるんだよなぁ、などとまでは思わなくても……)


 これはDDTにおいて平田一喜の「手刀」が相手を一発で昏倒させるのと同じ、「演技」とわかっているのである。

 新日本は、明らかにDDTに接近してきている。外国の(ルチャ・アンダーグラウンドのような)プロレスに近づいている。

(それはEVILが登場した2年前くらいから、と言い切ってもいいかもしれない。

 大昔には「海賊ガスパー」というのもあったが……)

 これに比べればNOAHや全日本ははるかに「真面目」にやっているのだが、しかし団体としての勢いは新日本&DDTの「演劇系プロレス」の方にある。

 サイバーエージェント社にしても、どうせプロレス団体を子会社にするなら、そしてネームバリューを求めるのなら全日本プロレスを買収すれば良かったはずだが、選んだのはDDTだった。

(DDTが自分を積極的に売り込み、全日本はそんなこと思いもしないという違いはあったかもしれないにしても)


 この傾向が続くなら、いつの日か新日本とWWEが対抗戦をやるというのも夢物語ではないかもしれない。

 その頃には日本のプロレスラーもプロレスファンも、アメリカンプロレス団体流の「ドラマ演技」にすっかりなじんでいるだろう。

 今だって日本のファンは、EVILとか高橋ヒロムといった演技派レスラーにあっさりなじんでいるのだから……

(そして「ヨーとショー」がDDTのnωaばりにリング上で歌を歌うようになったとしても、驚くことはないのだろう……)

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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