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大日本7.17両極譚短感-植木崇行の惨敗は大日本躍進の証?

 サムライTV生中継で大日本プロレス・7月17日両国国技館大会(両極譚)を見た。

 全部で4時半半に及ぶロング興行だったため、とても全部の試合の感想を書くわけにはいかないが――

 特に印象に残ったものをピックアップして書いていこう。


(1)第4試合:鉄檻K・M・G・Tデスマッチ
   木高イサミ&宮本裕向(ヤンキー二丁拳銃)vs 塚本拓海&佐久田俊行


  K・M・G・Tって何のことだろうと思ったら、キロ・メガ・ギガ・テラの頭文字だった。

 (これは説明なしでは絶対わからないだろう。そして「キロ」は日本最小の男性レスラー・佐久田のことだということはさらに……)

  メガは塚本のメガハンマー、ギガはイサミのギガラダー、テラは宮本の用意したテラテーブルである。

  しかし最も驚くのは佐久間の持ってきた「電動芝刈り機」だ。

  こんなとんでもない凶器が使われた割りには、そこまでの反応ではなかったのが不思議に思う。

  これは史上最凶レベル・危険度MAXの凶器だと思うのだが――
  

 (2) 第6試合:コンクリートブロック全面タッグマッチ
   “黒天使”沼沢邪鬼&竹田誠志 vs 星野勘九郎&藤田ミノル


  コンクリートブロックをリング全面に敷き詰めるという初めての形式で注目されていた試合。

  これ、いざやってみると意外に地味に見えたのだが、もちろんとんでもないことである。

  地下プロレスでもやらないようなこの形式――

  電流爆破に参戦したいというレスラーは大勢いても、これをやりたいレスラーはそうはいない(と思う)。


  皮肉にも一番印象的だったのは、藤田ミノルの「あまりにもそっと優しいパイルドライバー」だったのだが、それがまたこの危険極まるコンクリートブロックの「怖さ」を表現しているように感じた。


 (3) 第9試合(セミファイナル):BJWタッグ王座戦
   関本大介&岡林裕二 vs 伊東竜二&アブドーラ・小林


  大日本(いや、日本プロレス界)のストロングの象徴である関本・岡林と、デスマッチの象徴である伊東・小林の初めての対決。

  今まであえて温存してきたかのような切り札的なカードだが、最後は伊東のドラゴンスプラッシュと小林のダイビングバカチンガーエルボードロップの連発で岡林を沈め、通常ルールでデスマッチコンビが勝利。

  もちろん、こうであるからこそこの試合の面白みがある。

 (もしデスマッチ戦ならば、関本・岡林が勝つ方がずっと面白い。)

  それにしてもアブドーラ・小林は、さすがの表現力である。

  この4人の中で小林は、明らかに一番(一人だけ)ダメレスラーに見える。

  もし故・山本小鉄が生きていたら、間違いなく酷評していたろう風貌と体型である。

  誰も彼がMMA的な意味で強いレスラーだとは思わないだろう。


  しかし、いつもの(今回は色が白だったが)袴スタイルを途中で脱ぎ捨て、黒のショートタイツ姿(ストロングスタイルの象徴とされる)となるなど、客を沸かすアピールはずば抜けている。

 (余談だが、マイクアピールも非常に聞き取りやすい音声なので好きである。

  本間朋晃より聞き取りにくいマイクアピールのレスラーって、かなり多いのだ。)


 (4) 第10試合(メインイベント):BJWデスマッチヘビー級王座戦
   高橋匡哉 vs 植木嵩行


  “三代目血みどろブラザーズ”のタッグパートナー同士のシングル戦。

  高橋はキャリア5年(30歳)、植木はキャリア3年半(25歳)という若手同士だが、ファン投票で他を差し置いてメインイベントになることが決まった。

  そして結論的には、この試合をメインイベントにしたのは大失敗だったことになる。

  植木は序盤早々からプランチャを失敗して頭から落下、これで本物の大ダメージを負った以後はほとんどやられ放題であった。

  この試合が20分以上も続いたのは、極論すれば用意したデスマッチアイテムを使い尽くすためだったとさえ思われる。


  敗北した植木は泣いていたが、もし今回の植木のような試合をしてしまったら、大多数の人間がやはり情けなさで号泣するだろう。

  やっぱり植木には、年間最大ビッグマッチのメインイベントは「荷が重すぎた」のだ。

  きっと大日本のレスラーの何人かは、「言わんこっちゃない」と感じただろう。

  しかしながら大日本プロレスという団体としては、必ずしも失敗ではなかったと思う。

  これをメインイベントにしたファン投票は、必ずしも間違ってはいなかったと思う。

  「日本社会は失敗を許さないからダメだ」

  「若手にチャンスを与えないからダメだ」

  とは誰でも言うが、じゃあ実際に失敗を許し若手にチャンスを与える組織(人間)は、口ほどもなく少ないからである。


 
  植木は2015年1月4日の新木場1stリング大会のメインイベントでも伊東竜二と対戦し、失神・戦闘不能になるという失態を犯している。

  またつい最近(5月9日)には、abemaTVの番組で“問題発言”を犯してもいる。

 (場外乱闘に紛れて女性客にセクハラしていると、笑いながら語った。

  「実際にはしてもいないことを本当のことのように語った」らしいが。)

  こういう人間は、一般社会では二度と大役を任されないのが普通である。  

  また、入社5年だの3年半だのという若手が年間最大イベントの主役を任されるというのも、日本の組織では絶対にあり得ないのが普通である。
  
  しかし大日本プロレスには、もしかしたらファン投票がなくても「高橋vs植木」をメインイベントにしたかもしれないという雰囲気がある。

  おそらく大日本は、キャリアの浅い若手に積極的に大役を任せるという点で、日本有数の企業である。


  試合終了後のマイクアピールで高橋匡哉は、今まで所属していたASUKAプロジェクトから離れ、8月から大日本に入団すると報告した。
  
 (もっとも高橋は、ずっと前から所属選手だったと思えるほど大日本を主戦場にしてきたが……)

  ついこの前には浜亮太と中之上靖文が大日本に入団したのに続き、大日本は「レスラーに人気がある」すなわち「人材が集まってくる」団体だと感じざるを得ないが――

  それはやはり「若手を積極登用する」ことのように、一般世間にはなかなかない“社風”に惹かれている面が大きいのではないかと思う。


  植木にとって今回の件が巨大なトラウマにならず、将来の糧や教訓になる(もちろんこれは、得がたい経験であることに間違いないのだが)ことを願うばかりである。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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