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カイリ・セイン(宝城カイリ)とWWE、スターダム、コトラーのポジショニング競争戦略

 6月30日のWWE日本公演のオープニング前――

 大型ビジョンに宝城カイリが登場し、「カイリ・セイン」としてWWE(のグループ団体NXT)入りしたことを発表した。

 そして7月に開催される、WWE史上初の女子トーナメント「メイ・ヤング・クラシック・ウィメンズ・トーナメント」への出場が決まったことも併せて発表。

 メイ・ヤング・トーナメントには計32名が参加するが――

(なおメイ・ヤングとは、1923年に生まれ2014年に死亡、1939年にデビューし引退しないまま活躍した恐るべき“おばあちゃんレスラー”のこと。)

 そのメンバーの中には、

●パイパー

●テッサ・ブランチャード

●ジャジー・ガーベルト(アルファ・フィーメル)

●トニー・ストーム

●プリンセサ・スヘイ

●カイリ・セイン(宝城カイリ)


らが含まれている。

 まだ32名全員が発表になったわけではないが、なんかこの時点で、まるでスターダムマットがアメリカで再現されるかのような感覚を覚えてしまう。

 これはやはり素直に考えると、スターダム社長・ロッシ-小川の“見る目”が確かだということを示しているのだろう。

 そしてWWEによる日本マットからの“吸い上げ”が、ますますあからさまになっている印象も受ける。


 おそらく宝城カイリのNXT入団により、ASUKA(華名)はWWE本軍に昇格するのだろう。

 ということは、いつかまた日本人女子(または日本マットで活躍した女子)がNXT入りし、カイリが本軍に昇格するという「永久運動」のようなパターンが見えてこようというものだ。


 果たして日本マット界は、このまままるごとWWEの「下部団体(養成ファーム)」になってしまうのだろうか?

 さてここで思い出すのが、“マーケティングの神様”とされるフィリップ・コトラー(1931~)の「ポジショニング競争戦略」である。


 コトラーは、業界における各企業のポジションとその採るべき戦略を、次の4つに分類した。


(1)リーダー(業界トップ)
  
   全方位戦略(あらゆる製品を販売する)

   競合下位企業の真似をして、その下位企業の差別化を無効にする。(同質化・中立化)



(2)チャレンジャー(2番手)
  
   製品の差別化

   競合下位企業の顧客を奪う。



(3)フォロワー(3番手以下)
  
   トップ企業の製品の真似をして、それより安く販売する。


(4)ニッチャー
  
   ニッチな(狭い)市場に集中し、金城湯池の独占を狙う。


 この分類でWWEが(1)リーダーに当たるのは、言うまでもない。

 そしてその推奨戦略どおり、競合下位企業の真似をして(選手を取り込んで)競合相手の差別化を無効にする、という手を使っているとも見ることができる。


 それではスターダムは、いや日本のプロレス界は、(2)~(3)のどれに当たるか。

 
 おそらく新日本プロレスは(2)チャレンジャーと言えようが、これ以外の日本のプロレス団体は(3)か(4)にしか当てはまらない。

 しかしこれまでの経緯を見ていくと、日本プロレス界には上記4種類の他に――


(5)クリエイター(またはパイオニア)


 という地位があるのではないかと感じられる。


 クリエイター(パイオニア)は、確かにリーダーほどの規模は持てない。

 しかしその業界の消費者(=ファン)は、リーダーは規模こそ最初から大きいが、実はクリエイターの方がレベルが高いと思っている。

 だからこそリーダーはその製品(=選手)を取り入れ、無効化を図っていると感じている。



 こういう図式ができれば、クリエイターはイメージ的に「リーダーの上位概念」に位置することができるだろう。

 製造業やその他のサービス業に比べ、プロレス界というのは割合こういう地位を手に入れやすいのではないかと思える。

 そうすればたとえ全国的・世界的なテレビ放送網はなくとも、有料ネット配信でけっこうな収入を稼ぎ出せるのではないだろうか――


 WWEに逆立ちしても勝てないのなら、

 どうやっても選手の流出を防ぐことができないなら、

 「WWEに行くには、まず日本へ行け/日本で活躍するしかない」という枠組みを作ることが、日本プロレス界が生き残る唯一?の手段なのかもしれない……

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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