IGFが創設者・アントニオ猪木の「五十代の新妻」である橋本田鶴子(たづこ)氏を不当利得返還請求で訴え、6月27日にその第1回審理が東京地裁で行われた。(この日は書面のやりとりのみ。)
同日、IGFは会見を開き、社長・青木弘充(42歳)氏、取締役・サイモン猪木(43歳)氏、エグゼクティブプロデューサー・宇田川強(38歳)氏、そして
猪木の実弟・猪木啓介(69歳)氏が出席した。
なおサイモン氏は、
「何が間違っているか正しいかは、身内だろうが関係ないと思います。正しい部分で戦いたいと思います。別人になった猪木さんとは戦いやすい。」
「(猪木の4度目の結婚について)身内でありながら正式な報告を受けていない。」
「最近の猪木さんは猪木さんじゃない。(結婚して人が変わってしまった。)」
「スターだった、身内だと言っても、間違っていることは間違っていると思う」
と語っている。
また実弟の啓介氏は、「非常に残念です。橋本田鶴子氏をあえて夫人とは言いません。」
と言っている。
訴えた相手が猪木本人ではないとはいえ、まさに全面戦争である。
猪木は7月24日に“故カール・ゴッチの墓を建てる”名目で格闘イベント「ISM」を後楽園ホールで開催する予定だが、全く何というタイミングだろうか。
猪木は今、ハラワタが煮えくりかえっているに違いない。 そしてまた猪木は「青木社長・サイモン取締役・高橋仁志取締役の3名は、すでに解任されている」と主張し、近日中にも(再度)株主総会を開き、改めて解任を求めるつもりと報道されている。
おそらくこの構図は、
「猪木&妻・橋本田鶴子 vs それ以外の“身内”」という風にまとめられるだろう。
プロレスファンには“いささか変わった人”として知られる実弟・啓介氏が会見に同席したことは、この構図をさらに鮮明にするものである。
なお、IGF公式サイト「6月28日(水) IGFからのお知らせ」では、こんなことが書いてある。
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しかし、アントニオ猪木ファンの皆様!ご安心下さい。
この様な卑劣な行動をアントニオ猪木氏はしていません。
私たちもアントニオ猪木氏の人柄などは誰にも負けない位に知っています。
今回の騒動の全ての原因であり、猪木氏を操る「側近4人組」の行動です。
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つまり悪いのは「君側の奸(くんそくのかん)」であり、あくまでアントニオ猪木を敵に回すつもりはない(少なくとも表面上では――)とのスタンスだ。 ところで同じくIGF公式サイトでは、むかし「アントニオ猪木の肖像権はIGFに帰属します」と書いてあったものである。
今はもう猪木本人に回収されたのかどうかわからないが――
しかし、もし明日にでも猪木が亡くなったら、猪木の持つ権利がどうなるのかはかなり重大な問題だ。 もちろん猪木は正式に結婚(今年2月20日)しているので、遺産の半分は妻の田鶴子氏が相続する。
もう半分は一人娘の寛子(ひろこ)氏に行く。サイモン氏の妻である。
肖像権は基本的には一身専属権であり、本人の死亡により消滅する――
とはいえ、アントニオ猪木ともなれば(私にはわからないような)色々な権利を持っているだろうから、田鶴子氏と寛子氏がどの権利をどんなふうに選り分けて相続するのか、考えただけでモメそうである。
そりゃあ啓介氏が「田鶴子氏を妻とは認めない」と言うのも/言いたくなるのもよくわかる。 というわけで、
今回の「IGF vs 猪木(の妻)」の対決は、文字どおり“猪木の遺産”を巡る戦いとも言える。 しかし猪木の「人が変わってしまった」というのが本当なら――いや変わってない、昔から猪木はこんなである、と古くからのプロレスファンは思っているだろうが――、そして猪木がIGFの株の過半数を持っているなら、IGFが猪木に勝つことはできそうもない。
猪木なきIGFはもはやIGFとは名乗れず、NEWは「ただのインディー団体」である。
いったい背中に「闘魂」の文字を入れた鈴川真一は、どうしたらよいのだろうか。
猪木についてISMに行くのが筋とも言えるし、「IGFを守る」(と自分がさんざん言ってきた)のが義務だとも言える。
猪木が7月24日のISMで何を言うかとともに、筋川の身の振り方もまた、注目せざるを得ない。 猪木の真の人柄がどんなものなのか、会ったこともないのに無責任なことは言えないが――
猪木について行く者は概して受難の道を歩むというのは、どうやら確かなようである。
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