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官邸ドローン事件と個人テロリズムの時代 その3 戦場の未来は地べたにあり

 ラジコンヘリやドローンを戦闘でなく暗殺に使うとしても、その目立ちやすさは致命的だろう。

 式典会場に爆弾または致死性細菌を搭載したリモコン飛行体が突っ込む――
 これはいかにも映像化したいシーンだが、しかし映像化に適すイコール目立つことである。

 そんなのが飛んできたらみんな逃げる。または防御・反撃の余裕を持たせる。音を立てるならなおさらだ。

 どうせ操縦者が(標的と飛行体の双方の)近くにいなくてはならないなら、別に飛行体など使わずに自分が爆弾を巻いていけばいい。
 それが嫌なら遠距離射撃の名手に依頼した方がよく、わざわざ飛行体をチョイスする利点と必然性はない。
 はじめから自爆攻撃する気なら、自分が細菌に感染したって構わないだろう。青酸カリでも歯に仕込んでおき、噛み砕けばいいのだろう。


 戦場においてもテロ行動においても重要なのは、的になりにくく目立たないこと、見つからないこと・敵の弾が当たりにくいことである。
 当たり前だが、立っているよりはしゃがんだ方が効果はある。腹ばいになればさらによい。
 だから世界各国どこの兵士も匍匐(ほふく)前進を習っている。宙に浮くなど論外である。

 だからやはり、無人兵器もぜひとも地を這うべきなのである。

 ※ただし、本物と同じサイズの鳥型・昆虫型飛行体が実用化されれば話は別だ。
  小さすぎて爆風の影響にも耐えられ、確かにどこへでも入って行ける。もちろん「撃墜」は不可能に近い。
  たとえば、使い捨ての原寸大「蚊」ロボットなどどうだろう。
  一度刺して神経毒や病原菌を注入する。それで機能停止してもよい。
  我々は、要人警護に電磁バリアが使われる未来、あるいは首相官邸全体に蚊帳(かや)が張り巡らされる未来を見ることになるかもしれない。
  もっともあまりに本物に似すぎると、他の鳥や昆虫といった「本物」の捕食者にやられてしまう恐れもあるが……


 すでにヘビ型・クモ型などのロボットは、主に災害救助の分野で開発が進んでいる。
 むろん軍事転用もされる。(そもそもこういうのは、初めから軍用として開発されるものが多い。)

20150501ヘビ型水陸両用ロボット(東京工業大学)
ヘビ型水陸両用ロボット(東京工業大学)


20150501クモ型ロボット(米・バイオロボティクス研究所)
クモ型ロボット(米・バイオロボティクス研究所)


 それらは目立たず行動でき、ほとんどの場所へ入って行けるようになるだろう。
 周囲の状況確認と射撃の時だけ鎌首をもたげることにもなろう。

 そしてさらに時代が進めば、映画『ターミネーター2』に出てきたような液体ロボットも実用化される。
 (ちなみにこの映画は1991年の公開で、もう24年も前のことである。しかし私は、あと24年経っても日本の映画界はこれを超える映画を作れないだろうと思う。)

20150501ターミネーター2 液体金属ターミネーター(1991)
『ターミネーター2』(1991)液体金属ターミネーター


 別に人間に変身する機能などはなくていいが、光学迷彩機能はあった方がいい。(もしくは最初から半透明であるとか)
 それは本当にどんな小さな隙間からでも入って行ける。気づかれることもほとんどない。
 爆発成分を混ぜ、起爆装置を仕込めるならば言うことはない。

 地面を高速流体移動するアメーバ型兵器――
 これは、ドローンなど比較にならない効果と恐怖を敵に与える。


 未来の戦場では、「おおむかで」や「おおみみず」が地面を這い、人食いアメーバが森の下生えやビルの壁を移動するという、ファンタジー世界のような光景が現出するのかもしれない。

 SF作家アーサー・C・クラークは、「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」と言った。
 未来の戦場は、魔法的テクノロジーで武装した戦士とハイテクモンスターが入り乱れる場になると思う。

 そしてテロリズムは、ますますやりやすく鎮圧しがたいものになっていく――


 たぶん、戦場がこのようにファンタジー化することは、今の軍事ファン・戦争ファンの嫌悪と反発を招くだろう。
 彼らに限らず我々は、やはり戦争とは銃砲ミサイルの撃ち合いである、銃火と爆発物の応酬であるとの意識を根強く持っている。
 それこそが真の戦争であり、そうじゃなきゃ僕の私の考える戦争じゃないやい、との拒絶反応が起こりそうになる。

 我々は、昔の武士が「飛び道具とは卑怯なり」と言っていたことを「時代遅れ」とバカにする。
 そんなだから織田信長に勝てなかったんだとか思う。(そういう認識もどうかと思うが)

 しかし、その昔の武士たちもやはり、太刀打ち槍合わせこそ真の合戦だと思っていたに違いない。
 今の我々が昔の武士に生まれていれば、同じようなことを思っていた可能性は濃厚である。
 我々が生まれつき昔の人より「進んでいる」などあるわけがなく、ともに時代の雰囲気の中に住んでいるのだ。

 
 以上のようなことを書いたからといって、別に私は科学技術の発達が人類にとって有害である、暗黒の未来を招くことになる、などと「警告」するつもりはない。
 明るい面を言うと、こうしたテクノロジーは軍事だけでなく、もちろん性的目的にも転用されるのである。

 美人型アンドロイドは間違いなく実用化されるし、その主な用途が性的なものであろうことは誰にだって予測できる。
 触手やスライムがエロいことをするシチュエーションが好きな人は大勢いるが、それもいつかは科学によって実現する。
 これは人類の福祉の向上、生活の豊かさの拡張と言わねばならない。
(こういうのもまた、たいがいは男の嗜好であり発想であるのだが)
 

 しかし話をテロリズムに戻すと、テロとは決してテクノロジー抜きでできないものではない。
 また、やろうと思い詰めさえすれば、あなたにだって一人でできる。

 これはテロと言うより犯罪の話になってしまうが、私には昔から不思議に思っていたことがある。
(そう思うことが世の中には多くあるのだ)

 それは、「放火」とはなぜこんなにも起こる件数が少ないのかということである。

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平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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