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リコシェvsオスプレイ再戦 なぜ「曲芸・サーカス」はバカにしてよいとされるのか?

 サムライTV生中継(の録画)で、新日本プロレス5.18後楽園ホール大会(ベスト・オブ・スーパージュニア2日目)を見た。

 もちろん今回の目玉試合は、メインイベントの「リコシェvsウィル・オスプレイ」のシングルマッチ再戦である。

 1年前の両者初対決は、世界のプロレス界に衝撃を与え議論を呼んだ、と呼称される名勝負ないし問題試合であった。

(⇒ 2016年5月27日記事:リコシェvsオスプレイ(新日本2016.5.27) 超次元殺法と曲芸と)


 こういう試合(及び選手)が嫌いで口の悪い人にとってみれば、今回2度目のシングルマッチも「飛び跳ねサーカスプロレス再び」とシニカルに捉えていたかもしれない。

 さてその試合内容はと言えばまたまた超絶的であったが、さすがにインパクトの点では初回を超えることは無理である。

 しかしもし今回の試合が初回であったなら、やはり現実の初回と同じように世界に衝撃を与えたのではないかと思う。

 やはり何事につけても、初回(第一作)のインパクトを超えることは非常に難しいのだ。

(そう考えると「三沢vs小橋」戦や、ドラクエなどのシリーズものゲームなどというのは大したものである。)



 ところで「曲芸」及び「サーカス」というのは、プロレスファンがハイフライヤーの選手・試合を批判するときに決まって使われる言葉である。

 そこには戦いというものがない/感じられないとの含意を込めて使われる。

 いや、批判というよりは、“見下すときに使う”とした方が良いかもしれない。

 これはまさに「プロレス」という言葉が、世間からしばしば“ある対象を批判するとき・揶揄するとき・見下すとき”に使われるのと非常によく似ている――

 と、あなたは思われないだろうか?

(特に政治家がプロレスという言葉をそういう意味で使ったとき、ちょくちょくニュースになっているのは周知のとおり。)


 「プロレス」という言葉をそういう意味で使われれば、プロレスファンは怒るだろう。

 怒るまでは至らなくても、気分を害したり反発を覚えたりはするだろう。

 ところがそのプロレスファンの中には、「曲芸」や「サーカス」という言葉をそういう意味で使う人も多いのである。

 おそらくその人たちも、いや自分は決してプロレスや曲芸・サーカス(という職業・ジャンル)をバカにしているのではない、ただ「こういう(真剣な)局面にそんな別種のものを持ち込むのはそぐわない」ことを言いたいのだ、とか反論・弁解するのだろう。 

 しかしそれはただ差別者と思われたくないからであって、心の中では“見下している”に違いないのはわかりきっている。


 ところがここが難しいところと言うか、人間心理の複雑なヒダ模様を表しているところは――

 プロレスラーの中にも、「曲芸みたいなプロレスは大嫌い」と公言するレスラーがけっこういることである。

 また、曲芸プロレスを否定するファンにしても、では「面白試合」を全否定するかと言えばそうでもないことである。



 私はこのことについて、つまるところ「プロレスは興業である」という点に全てが帰着するのではないかと思う。

 ゴツゴツした「戦いを感じさせる」試合がメインイベントに来ることが多いのは確かにしても、やはりそればっかりでは観客も飽きるのだ。

 また地方興行でもそんな試合ばかりなら、とてもお爺ちゃんお婆ちゃんが孫を連れて観戦に来るようなこともないだろう。

 あえて言えばプロレスは戦いである前に興業であって、客が来なければどんな“真剣ギリギリな”戦いも意味がない。


 そもそも本物の果たし合いに飛び技なんて出る幕はなく――

(飛び技が「実戦」に有効だと主張する人はほとんどいないだろう。また、飛び技は「レスリング」とは何の関係もない代物である。)

 飛び技使い(ハイフライヤー)が所属する団体、全試合中に一度でも飛び技が出る団体は、それだけで曲芸・サーカスの世界に足を踏み入れているはずだ。

 しかしむろん、曲芸プロレスが嫌いなレスラーがいる団体であってさえ、飛び技が一度も出ないプロレス団体などほとんどない。(一つもないのではないだろうか?)


 ハイフライヤーも飛び技も、一言で言ってしまえば“客寄せ”である。

 しかし“客寄せ”こそはプロレス団体はじめ、世のあらゆる団体の生命線である。


 今回の試合後、勝者のオスプレイはリング上のマイクで熱く思いを語った。

 それは実は、「曲芸・サーカス系プロレスラーこそが、ゴツゴツガシガシのファイトスタイルのレスラーよりプロレスラー魂を持っている」のだという、誇りの表明としても感じることができるだろう。
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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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