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RIZIN2016.12.29短感 その2

第9試合 ○中井りん vs ×村田夏南子

 前日会見に、SM風に赤い紐を体に施して登場した中井りん。

 ボーイッシュとしか言いようがない村田とは、全然違うタイプである。

 体型は女子版の関本大介、腕の太さはこれこそ「女小橋」と言いたくなるような肉体だが――

 しかし選手入場時の画面左下の紹介欄によると、カネがないので自分で捕まえたカブトムシを売って生計の足しにしているらしい。

 さて試合内容は、中井がアマレス出身の村田のタックルを警戒し、終始身をかがめた低い姿勢を保っていたのが印象的だった。

 村田もタックルはするし、それは鋭くはあるのだが、逆に最後は自分がグラウンドに引き込まれバックチョークによりタップ。

 勝利者インタビューを受ける中井は、まるでどこかの庶民のおばさんのような木訥さで

「村田選手、もしよかったらパンクラスへどうでしょうか? 次の目標は……特にありません。用意された相手と試合を頑張るだけです」

 と挨拶。

 もしこの人が格闘技をやっていなかったら、(ものすごく素養があるのに)何でもない愛媛の一女性として暮らしていただろうと思うと、不思議な気分にもなるというものだ。


第10試合 ○ワレンティン・モルダフスキー vs ×シモン・バヨル

 今大会で、視聴者にとっては最も面白くなかった試合だろう。

 いわばスタンダードなMMAの試合とも言えるのだが……モルダフスキーが判定で勝利。


第11試合 ×ヒース・ヒーリング vs ○アミール・アリアックバリ

 38歳のヒース・ヒーリングが8年ぶりの実戦だということにまず驚き、この人が格闘家になる前はコンピュータ・プログラマーだったということに二度驚く。

 しかも“地球に穴が開く”と言われているらしいアリアックバリのパンチをメタクソに浴びながら、途中で素晴らしい盛り返しを見せたことに三度驚く。

 それにしても、アリアックバリはイランの選手である。

 イランの選手が日本のリングでアメリカ(のテキサス)の選手と総合格闘技を戦うって、昔のことを考えると「時代は変わった」と思わずにはいられない。

 判定でアリアックバリの勝利。


第12試合 ○バルト vs ×高坂剛

 9月のRIZINでバルトに敗戦し、セレモニーなしに引退した藤田和之が、高坂のセコンドに付いていた。

 そしてつくづく、バルト(元大関・把瑠都)とは不幸なMMAファイターである。

 観客・視聴者の全員が(きっと100%である)、哲人賢者ファイター・高坂がバルトを破ることを期待していたに違いない。


 しかしバルトの巨体が、そういう期待を完全に圧殺する。

 あんまりな体格差・体重差によって高坂はマットに押さえつけられ、ほとんど何もできないまま試合終了。バルトが判定で勝利。

 もちろん会場はブーイングの嵐で、マイクを握ったバルトは日本語で「じゃあ私の代わりにやってくださいよ」と言っていた。

 なんか、かつて大相撲横綱からプロレスラーに転向した北尾のような状態である。

 私は、「バルトに名勝負なし」と言ってもよいと思う。

 バルトがリアルファイトで勝利を真剣に追求する以上、その巨体で押さえつけ・押し込むのが最良のやり方なのは明らかだ。

 しかしそれをやると当然面白くないワンパターンの試合になり、観客のブーイングを浴びる羽目になる。

 バルトに名勝負を期待することは、たぶん的外れの期待である。

 バルトは今からでもプロレスラーを目指すべきなのかもしれない。そうすれば、投げられて会場を沸かすこともできるだろう。

 今回の客のブーイングは、(リアルファイトでないと大勢に思われている)プロレスが、なぜしぶとく生き残り・盛り返してさえいるのかを、よく表していると思う。 



第13試合 ○ミルコ・クロコップ vs ×キング・モー

 正直私は、モーが勝つと思っていた。さすがにミルコもロートルの域に達しているだろうと思っていたのだ。(ミルコ42歳、モー35歳)

 そりゃ伝説的なハイキックはそれを出すだけで客をざわめかせるだろうが、総合的にはモーの力に屈するだろう、と……

 それがコーナー際での(何が起こっているのかよくわからない)打撃の攻防で、いつの間にかモーを崩れ落とさせているのだから、全く脱帽の他はない。

 これも第1試合と同じく、激勝という言葉がふさわしいだろう。

 これで大晦日の準決勝のカードの一つは「ミルコ vs バルト」になったわけだが、ミルコが絶対的ベビーフェイスとして観客の本気の応援を受けることは想像に難くない。

 もしバルトが勝とうものなら、会場の雰囲気は悪くなり観客も不満足はなはだしくなる。

 主催者としては、この試合(トーナメント)をプロレスにしたくてたまらない誘惑に駆られるはずだ。

 この世にプロレスが生まれたのは、もちろん観客の欲求と期待に応えるためである。


 バルトがミルコを圧殺し、何もさせず何も試合に動きがないまま勝利する。そうすればファンが大ブーイングを送り「つまんねぇ」と思うのは目に見えている。

 そうではなく、ミルコがどうやってか「奇跡の一撃」でバルトを仕留める――

 もしプロレスがそんな風に「試合を作っている」としても、それが悪いとは言い切れないゆえんである。


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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