今年もプロレス大賞の季節である。
12月13日に発表された東京スポーツ制定プロレス大賞のラインナップは、次のとおり。
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【最優秀選手賞(MVP)】 内藤哲也(新日本・現IWGPインターコンチネンタル王者)
【最優秀試合賞(ベストバウト)】 オカダ・カズチカ(新日本)vs 丸藤正道(NOAH) ※7月18日・北海道「北海きたえーる」G1クライマックス公式戦
【最優秀タッグチーム賞】 関本大介&岡林裕二(ともに大日本)
【殊勲賞】 宮原健斗(全日本・現三冠ヘビー級王者)
【敢闘賞】 中嶋勝彦(NOAH・現GHCヘビー級王者)
【技能賞】 ケニー・オメガ(新日本)
【新人賞】 橋本千紘(センダイガールズ)
【女子プロレス大賞】 紫雷イオ(スターダム・2年連続)
【特別功労賞】 故・ハヤブサ
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今年のプロレス大賞は、世間一般のプロレスファンの世論や感覚とかなり一致していると思う。
内藤哲也のMVPに異議を唱える人は非常に珍しいだろうし、橋本千紘もそうだろう。 それだけに、うち一つの賞への疑問が異様に目立つことになった――
そう、もちろん、ベストバウトの「オカダvs丸藤」(の初対決)のことである。 私はこの試合について、かつて記事を書いている。
(⇒ 2016年7月20日記事:G1初戦 丸藤、オカダに完勝 NOAHの象徴・丸藤正道の苦闘) 確かにこのこと自体が、その試合に感じるものがあったことの証明なのだが……
うーむ、しかし……
これがこの1年間で最高の試合であったかと言われれば、「そんなことはないんじゃないの……?」と思わざるを得ないのである。
そしてこれは、プロレスファンの大部分の一致した気持ちではないかと思う。
かつての記事でも書いたように、この一戦、まるきり丸藤の完勝であった。オカダはまるでグリーンボーイかヤングライオンのようにさえ見えた。
「ベストバウトを授賞した試合の、敗者の方こそが、真のMVPである」――
これはプロレス大賞についてよく言われることではあるが、いくら何でもこの一戦にそれが当てはまると考える人間は皆無ではないか? そしてもう一つプロレス大賞でよく言われることと言えば、「各団体の政治力がモノを言う」とか――
もっと穿った言い方としては、
「各団体への“配慮”がなされている」ということである。
なるほど今回の結果を見ても、「新日本」「全日本」「NOAH」という“伝統的メジャー団体”には、本当に漏れなく賞が与えられている。
なるほど今回のベストバウトは、政治と配慮以外の何かによって選出されたとは考えがたい印象がある。 丸藤はともかくオカダとしては、授賞式に出るのはいささか気持ち的にツラいのではなかろうか。
(実際オカダは受賞のコメントで、「胸を張ってベストバウトと言える試合ではなかった」と言っている。
正直な感想だし、かつ正直であるべきところだろう。)
そしていつもいつも思うことだが、【殊勲賞】【敢闘賞】【技能賞】の区別って、いったい何なのだろう。
この受賞者3人を入れ替えてみたって何一つ違和感はなく、要するに賞の間に何の区別も色の違いもないのである。
宮原健斗が殊勲賞で中嶋勝彦が敢闘賞である理由――
なぜ宮原が敢闘賞でなく、なぜ中嶋が殊勲賞でないのかということについては、誰も納得のいく説明ができないに違いない。 私としては、
【ベストタッグマッチ賞】というタッグ戦の賞を新設してもいいのではないかと思っているのだが……
〈補足〉
この記事を書こうとする直前、ヤフーニュースで、元LLPWで2012年12月に引退した
ハーレー斎藤が、12月15日に病院で亡くなったことを知った。(享年48歳) 正直私は、ハーレー斎藤死去の報がヤフーニュースのトップに(ごく短時間とはいえ)載るとは思っていなかったのだが……
しかしやはり、それだけの活躍を見せた選手だったということだろう。
「見た目が男っぽく、蹴りを得意とする女子選手」というのは、日本の女子プロレス界で非常に多く見られる類型だが、彼女はその代表格で(もしかしたら)元祖ではなかったかと思う。
非常に残念であり、そしてこんなドラマみたいな思い方はあまりしたくないのだが――
大晦日のRIZINに出る神取忍には、亡き戦友に捧げるような好試合をしてほしいものである。
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