11月26日、RIZINの会見が行われ、
「最強女子」ギャビ・ガルシアと「ミスター女子プロレス」神取忍が、大晦日のRIZINで対戦することが発表された。
これはまさに、『キン肉マン』でアデランスの中野さんがよく言っていた、プロレスファンなら「女房を質に入れてでも見に行かねば」ならない試合である。 もっとも見に行かなくても、フジテレビの地上波で放送されるのは間違いないので、妻や恋人を質に入れる必要はないのだが……
(なんとRIZINは午後6時から5時間45分にもわたって放送されることになっている。フジテレビは本当にRIZINに視聴率復活を賭けているのだろうか?)
ただし会見に出席したガルシアは「なんで神取さんが私の対戦相手になるのか理解できない」と言ったらしく、
そのココロは「またプロレスラーが相手か」というものだろう。 しかし前にも書いたように、ガルシアに見合う(体格の)女子対戦相手と言えば、結局女子プロレス界から連れてくるしかないのである。
(⇒ 2015年12月30日記事:RIZIN 12.31私的最注目カード:ガルシアvsタパ 女子超ヘビー級対決と女子プロレス界の起死回生策?)(⇒ 2016年1月17日記事:世Ⅳ虎の格闘技参戦について) ただこのカード、ガルシアにとってこれ以上の厚遇というものはないと言っていいだろう。
なにせ神取忍といえば、これだけ女子プロレスがマイナーな存在に追いやられた日本においても、半分以上の人は名を知っているだろう女子レスラーである。
(「聞いたことがある気がする」程度の人を含めれば、九割くらいは行くのではないか。) そしてプロレスファンなら誰でも知っており、それ以外の人は「え、そうなの?」と感じることとして、
「心を折る」という世間に完全に浸透したフレーズを初めて使った(と言われる)人である。 また、何より、元参議院議員(国会議員)でもある。 こんな相手と戦う総合格闘技の選手というのは、全世界で片手の指で数えるほどもいない。
むろん、神取がガルシアに勝つと思う人は、プロレスファンの中でも少数派だろう。
神取は52歳であり、疑いなくRIZIN参戦選手の中でも最高齢――今後の大会でもこれを超える年齢の選手はなかなか出てこないはずだ。
(年齢だけ見れば、RIZINではなく巌流島の大会であるかのようでもある。)
いくら柔道というバックボーンがあったとしても、身長170センチ・体重75キロの52歳女性が、31歳で身長186センチ・体重90キロの若い女性に勝てるわけがない――(しかも会見で両者が睨み合う写真を見る限り、その身長差はカタログデータ以上のものがあると感じる。)
ただ、神取には幻想がある。戦歴がある。
元ビューティ・ペアのジャッキー佐藤をボコボコにした神奈川県・大和車体工業体育館大会(今から30年も昔の1987年)、
北斗晶との伝説的な戦い(女子プロレス極盛期=「対抗戦時代」の1993年)、
史上初の女子総合格闘技大会「L-1」に参戦し、グンダレンコ・スヴェトラーナ(柔道でソ連・ロシア代表)に敗れて準優勝(1995年)、第2回大会で優勝(1998年)、
天龍源一郎に顔面をボコボコにされたあの試合(2000年)…… およそ女子プロレス界で、彼女ほど「後世に語り継がれる出来事」を演出してきたレスラーは珍しい。
「名勝負製造器」という言葉があるが、彼女の場合は「伝説製造器」である。 神取は9月のRIZIN大会でガルシアの試合を見て、「全然勝てる」と言ったそうだ。
会見にあのプロレス用の和風ガウン(非常に重そうである)を着て出席したことといい、プロレスラーはそんなことを言うものだ、と片付けるのはたやすいが……
ひょっとしたらひょっとすると、神取がガルシアに本当に勝利するという驚天動地の出来事を、我々は会場かテレビ上で目にするのかもしれない。
そんな「幻想」を抱くのも、またよし。
しかし
RIZINって、どうも「女子格闘技の祭典」になりつつあるような気がするが、それもまたよしと思うべきなのだろう。
【蛇足】
神取忍がRIZINに参戦するということは、LLPW-XがRIZINに参戦するということである。
そうなると、井上貴子やブリバト(SAKI&MIZUKI)、遠藤美月らはセコンドに来るのだろうか?(ブリバトは、最近活動している気配を感じないのだが……
もしアイガーなんかがあの格好とメイクでセコンドに来ようものなら、私はシャッポを脱ぐ。)
LLPW-Xっていったいどうやって経営が成り立ってるんだろう、という疑問は女子プロレス界の七不思議の一つだと思うが、おそらくあの会社は神取忍の個人商店のようなものなのだろう。
神取のRIZIN参戦によってLLPW-Xの活動にどのような影響が出るか、数少ないに違いないLLPW-Xウォッチャーにとっては、それも注目点かもしれない。
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