スカパーテレ朝チャンネルの生中継で、11月5日・新日本大阪大会を見た。
いつもの例により、感想を短く書いていく。
(1) 時限爆弾は「高橋広夢」の帰還だった 数ヶ月前から新日本の大会の休憩時間前後に流されていた「時限爆弾」のカウントダウンだが、その正体は海外遠征中だった高橋広夢の帰還だった――
このことは、ファンの間では最大多数予想だったはずである。
「やっぱりか」との冷めた感覚が会場に流れてもおかしくなかったのだが、しかし実際は会場は歓声と歓迎ムードに包まれていたようだ。
この件には意外なことが2つあり、一つは広夢が海外遠征中のリングネーム「カマイタチ」ではなく本名で現れたこと。
もう一つは、1.4東京ドームでジュニア王座への挑戦表明を受けた新王者・KUSHIDA(BUSHIを下して王座奪取)の方にはっきりとしたブーイングが浴びせられたことである。
KUSHIDAへのブーイングについては、やはりBUSHIとの試合中に出した「マサヒロ・タナカ」なるナックルパートが直接の原因を成しているだろう。
プロレスファンは不合理かもしれないことに、毒霧を吐くより椅子で叩くより、拳で殴ることの方をはるかに深刻で悪質とみなす。 (しかしそれも、レスラーによる。天龍源一郎のグーパンチにブーイングを飛ばすのは、よほどの変人――本気でアタマのおかしい人である。)
さて、近年の新日本で「海外遠征から帰還した選手の初登場」がこんなにファンから歓迎されたのは、初めてのことである。
オカダ・カズチカは「顔じゃねぇ」と言わんばかりのブーイングを受け、
内藤哲也の「パレハ(友人)」としてスカルマスクを脱いだEVIL(渡辺高章)は「誰これ?」というような沈黙を引き起こした。
それが広夢ではそうならなかったのは、やはりオカダとEVILの先例のおかげである。
ファンはもう、海岸遠征から帰ってきた若手というのは「素晴らしい活躍を見せる選手」になるということを学習したのだ。 しかし高橋広夢、新日本では本名でやっていくのだろうか。
高橋という名字はすでに高橋裕二郎がおり、プロレス界全体を見れば高橋奈七永もいる。
私としては「カマイタチ」は必殺技の名前にして、リングネームは本名以外を使った方がいいと思うのだが……
(おまけに「広夢」という本名は、どうやったってベビーフェイスにしか見えない字面でもあることだし。
また“レインメーカー”オカダ・カズチカの必殺技が「レインメーカー」、EVILの必殺技が「EVIL」、ボーン・ソルジャーの必殺技が「ボーン・ソルジャー」というパターンは、新日本の新たな伝統になっているようだし。)(2) EVILのNEVER王座奪取・初ベルト獲得 柴田勝頼を破り、EVILがNEVER王座を獲得した。
この試合、予想どおりEVILがパイプ椅子を使って柴田をさんざん痛めつけて勝利したのだが――
(KUSHIDAがナックルを使ったのとは違い)会場の反応はむしろ暖かいとさえ言えるものだった。
普段からそういうことをしていれば、見る方も慣れてしまってそれをたいして悪いこととは思わない、という理由もあろうが、
やはり根本はEVILの戴冠をみんな願っていたのではないだろうか?(素直に言えば私もそうである。)
NEVERは「トップ戦線未満の中堅層のための王座」という側面があるが(一つの団体に何本もベルトがあれば、当然そういうベルトが出てくる)、EVILならもうそれを獲ってもいい頃だ――
ファンの大多数にそう思わせることができれば、もはや王座は獲ったも同然と言っていいのだろう。
(3) 内藤の「面白い仕掛け」は今回不発&1.4東京ドームで内藤vs棚橋のIWGPインターコンチ戦 (1)の時限爆弾と並んでファンの憶測を呼んでいたのは、内藤哲也の言っていた「11月上旬に面白い仕掛けを考えている」との言葉である。
しかしそれは今大会では明かされず、内藤の口ぶりからはこれから始まるワールドタッグリーグ戦で明かされるようである。
なお、今大会メインの内藤vsジェイ・リーサル(IWGPインターコンチネンタル王座戦)は、当たり前のようだが内藤の勝利。
(そりゃ、リーサルが勝ってもどうやって話を続けていくというのだ――どうやったって話が続いていくのが、世界の歴史とプロレスなのだが。)
しかし真のメインは、その後の「棚橋弘至による、1.4東京ドームでの内藤とのインターコンチ戦要求&内藤の受諾」だった。 正直私は、棚橋が次の東京ドーム大会で7年連続のメイン登場を実現させ得るとは、カケラも思っていなかった。
「思ってもいなかった」ということは、結局「そうなってほしい」との願望もなかった、ということだろう。それほど棚橋は今年、精彩を欠いていたということだろう。
だが、恥ずかしながら、今日になってハタと気付いた――
「内藤vs棚橋のインターコンチ戦」と「オカダvsケニー・オメガのIWGPヘビー戦」との2つがあるとき、何もなければ当然後者がメインとなる。
しかし、(おそらく内藤がそう主張するだろうように)もしどちらをメインにするかをファン投票で決めるなら、これは前者がかなり有利になるのではないだろうか? なるほど「オカダvsケニー」をセミファイナルに降格するのは、ファン心理としても忍びがたいものがあるには違いない――
だがそれでも、「内藤vs棚橋」に投票するファンの方が、たぶん多くなりそうだ――と、誰しも思うはずである。
そうなると「内藤の復讐」と「棚橋の連続メイン出場記録」を同時に達成するというように「話をつなげる」ことができるのだ。
これ、初めからそういうシナリオを考えて実行しているのだとしたら、実に見事なことではないか?
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