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再論・ササダンゴマシンのツイート謝罪とレスラー=会社関係,プロレスと社会における寛容さ

 先日の記事「DDT・ササダンゴマシンの謝罪とプロレス経営戦略」についてコメントをいただいた。

(⇒ 2016年9月4日記事:DDT・ササダンゴマシンの謝罪とプロレス経営戦略)

 コメント欄で返信するには長すぎることになってしまうので、今回の記事でそれに代えたい。

 まずは、いただいたコメントから。


(引用開始)*******************************

【コメント】

”団体”ではなく”ササダンゴマシン選手本人”を支えているのが中年男性層という趣旨の発言です。

決して団体や業界における女性ファンの存在を軽視している内容ではありません。

細かい違いではありますが、ニュアンスが随分と変わってしまうと感じたのでコメントさせていただきました。

ちなみに元はYahooのインタビュー記事で、その一部を切り出してツイートしたのが発端です。

2016-09-14 13:57


(引用終わり)*****************************


 そしてネットで検索してササダンゴの元ツイートを探したところ、見つかった。


(引用開始)*******************************

【ササダンゴの元ツイート】

 プロレス界で言えば、世間ではプ女子だなんだと注目されていますが、それは私が届かせたい相手ではありません。

 そもそも、広告代理店やテレビ局が作った幻想ですよ。

 一人当たりの消費量、支出額で僕を支えてくれるのは30代、40代の男性。

 黄色い声援は硬貨、男性の声援は紙幣。


(引用終わり)*****************************


 また、このツイートの元になったyahooのインタビュー記事は、次のアドレスである。

(⇒ Yahoo!ライフマガジン編集部 2016年8月29日記事:いま、プロレスで熱くなる! プロレス界の「煽りパワポ」名人直伝! 心に響くプレゼンの極意) http://lifemagazine.yahoo.co.jp/articles/2530


 全部を読んでみると、確かにササダンゴが語っているのは自分のことだけ、と取れないこともない。

 しかし、元ツイートの「プロレス界で言えば~そもそも、広告代理店やテレビ局が作った幻想ですよ」というのは、やはり自分だけでなくプロレス界全体のことを語っているように読める。

 「プロレス界におけるプ女子というのは、広告代理店やテレビ局が作った幻想ですよ」と私には読める。

 ただそれでも、これは女性ファンを貶める発言(書き込み)だと難じる気にはなれない。

 プロレス界つまりプロレス団体の主収入源が30代と40代の男性であり、女性ファンは副収入のようなものである――

 だから自分はその主収入源の方をターゲットにしていく、と決めるのは、別におかしくもなんともない(そして、間違っているとはなおさら言いがたい)「自分の経営方針」である。


 むしろ「私は老若男女問わず、見てくださるお客様全てにアピールしたい/喜んでいただこうと思っています」などと「本気で」書き込む方が、ずっと八方美人的で無策とさえ言ってよいほどだと思う。 

 さて、もしこの元ツイートが、あくまでササダンゴ個人について――DDTのではなくササダンゴ個人の方針を書いたものに過ぎないとすれば、なぜDDTは会社としてお詫びしなければならないのだろう。


(引用開始)*******************************

【DDT公式サイトより】http://www.ddtpro.com/ddtpro/41121/

ササダンゴ・マシンのツイートに関するお詫びとお知らせ

2016年8月31日

 この度、スーパー・ササダンゴ・マシン選手がTwitterで、DDTの信用を著しく貶めるような誤解を招くツイートをおこないました。

 また、弊社代表取締役社長・高木三四郎は当該ツイートを不用意に拡散し、それがDDTの総意であるかのような誤解を皆様に与えてしまいました。

 株式会社DDTプロレスリングとしてはこの件を受けて、ササダンゴ・マシン選手の9月分参戦大会のギャランティーを50%カット、高木三四郎の9月分報酬を20%カット致します。

 ファンの皆様には今回の件でお騒がせしたことを深くお詫び申し上げます。

 また、ササダンゴ・マシン選手から申し出があり、NωAのマネジャーを辞任することとなりました。「DDTドラマティック総選挙2016」ユニット部門もササダンゴ・マシン選手は出馬辞退となり、NωAは大石真翔選手、勝俣瞬馬選手、MAO選手の3人でのエントリーとなります。

 DDTといたしましては、今後もファンの皆様に楽しんでいただけるプロレスを提供できるよう、より一層努力してまいります。引き続き応援の程、よろしくお願い申し上げます。

(引用終わり)*****************************


 これも読みようによっては、DDTが深くお詫びするのは「代表取締役社長の高木三四郎が当該ツイートを不用意に拡散し、それがDDTの総意であるかのような誤解を皆様に与えて」しまったからこそだ、とも読める。

 もし高木社長が拡散していなければ、DDTはお詫びしただろうか。

 もしこれが外国企業であったら、たとえばWWEであったら、次のような声明(「お詫び」ではなく)がリリースされたのではないかと思う。


(仮想声明)*******************************

 この度、スーパー・ササダンゴ・マシン選手がTwitterで、DDTの信用を著しく貶めるような誤解を招くツイートをおこないました。

 当社はこの件を受けて、ササダンゴ・マシン選手との契約を解除いたしましたことを報告します。

 当社は、当社の理念と著しく反する言動をおこなう選手に対しては、厳然たる態度で臨むことを皆様にお約束します。

*******************************************  



 ササダンゴに限らず、「社長レスラー」「役員レスラー」でないレスラーは、全て個人事業主である。

 我々は或るレスラーが「NOAH所属」だとか「NOAH入団」「NOAH退団」と言い習わしているが、しかしレスラーはNOAHの正社員で給与を受けているのではない。

 あくまで個人事業主として、よその会社(NOAHとか、新日本とか)と一定期間の出場契約を交わしているだけだ。

(建設業界でいう「一人親方(ひとりおやかた)」と同じである。だから高木三四郎がカットされるのは「(役員)報酬」で、ササダンゴがカットされるのは「給与」ではなく「ギャランティー」なのだ。)


 しかし日本においては、棚橋弘至や獣神サンダー・ライガーが新日本の「正社員」でない、という意識はかなり薄い。

 そういうのは「冷たい」見方ではないか、と我々は感じるのである。

 そして、個人事業主であるレスラーが法人であるプロレス会社と契約していることを、雇用関係と「見なすべきだ」とさえ思う。

 だから、個人事業主であるササダンゴが物議を醸す(しかし、彼自身の明確な経営・商売戦略であることには間違いない)ツイートをすれば、契約解除しました/ギャラ半減としましたと声明するだけでなく、会社としてお詫びすることにもなる――

 そうしないのはけしからん上に不道徳でもある、ということにもなる。


 あんまり話を大きくしようとは思わないのだが、この手の「繋がり」を重視する(当然のように設定する)というのは――

 日本の美風と言うべきなのか、風土病と言うべきなのか?


 先日サムライTVで放送された9月3日・DD新宿FACE大会では、冒頭にササダンゴがリング上で謝罪していた。(“プロレスメンタリスト”男色ディーノが隣にいた。)

 もちろん罵声を飛ばす者はなく、なごやかで笑いもあり、女性ファンの「がんばれ!」との声援も飛んでいた。

 プロレスファンは、たいていのことは許してくれる。(そういう人しかカネを払って会場に見に行かないから、と言えばそれまでだが。)

 この点は、プロレスが似ていると言われる「人生」や「現実社会」とは、大きく異なる寛容さである。

 そして私は、プロレスがそんな寛容さを持っていることは、どちらかと言えばいいことでありプラスの方が大きいと思っている。


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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