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DDT・ササダンゴマシンの謝罪とプロレス経営戦略

 8月31日、DDTが会社として謝罪を行なった。

 スーパー・ササダンゴ・マシン(マッスル坂井)がツイッターで“DDTの信用を著しく貶めるような誤解を招く”ツイートをし、それを高木三四郎社長が不用意に拡散したことについての謝罪である。

 ササダンゴは9月分参戦分のギャランティーを50%カット、高木三四郎も9月分報酬を20%カット、

 さらにササダンゴは男性レスラーアイドルユニット「NωA」のマネジャーを辞任、「DDTドラマティック総選挙2016」のユニット部門でも出馬辞退し、NωAは大石真翔・勝俣瞬馬・MAOの3人でのエントリーとなるという。

 最近のDDT大会での定番名物となっていたササダンゴのプレゼンも、たぶん何回かは自粛することになるのだろう。


 ところで私はこの問題のツイートは見ていないのだが、それと同趣旨のササダンゴのインタビュー記事を何かでつい最近読んだ。

 しかし情けないことに、どこで読んだかどうしても思い出せないのである。

 やむなくウロ覚えで書くと、次のような内容だったと思う。


●プロレス女子とか言われているが、プロレス団体を支えてくれているのはやはり中年の男性ファン。これはちゃんと調査してわかっている。

●プ女子の落とすカネは硬貨、中年男性ファン(中核ファン)の落とすカネは紙幣に当たる。(もちろん後者の方が価値が高い)



 このツイートに限らず、最近のササダンゴはプロレスメディアにも一般メディアにも一番露出の多いレスラーとなっている。

 『週刊プロレス』でも『KAMINOGE』でもネット記事でも、彼のプレゼンについてと彼自身の語るプロレスマーケティング戦略が何度も掲載されている。

 まさしく当代一の“売れっ子レスラー”のようである。


 私は、今回のササダンゴの発言(ツイート)がおかしなものだとか不適切なものだとは思わない。

 ちゃんと調査したのであれば、中年プロレスファンこそプロレス団体の真の収益源であるというのは事実だろうし、それを重点ターゲットに戦略を策定・実行するというのはごく当然のことである。

 しかしただ、それを公に言ってしまったのはやはりミステイクだった。

 そのことは、「プ女子の価値は中年男のファンより低い」という内容を、はたしてDDTの会場のプレゼンでやってしまえるものなのか、と考えれば容易にわかる。

(ササダンゴなら、それを面白おかしくウケるように伝えられたのではないかとも思うが。)

 
 新日本の木谷オーナーは、「全てのジャンルはマニアが潰す」及び「オカダ・カズチカ2億円プロジェクト」(オカダを2億円かけて大スターにする)を公言し、多くのファンの反発を招いたことがある。(とはいえ、過半数が怒ったのかどうかもわからない。)
 
 思うに、経営者とか、確固たる経営戦略・経営理念を心の裡に持っている人というのは、やはりそういうのを周囲に言いたい/アピールしたいという衝動があるのだろう。

(高木社長がササダンゴのツイートを当初拡散したのも、むろん“DDTには経営戦略があるぞ、経営戦略を考えてる人材がいるぞ”とアピールしたい衝動があったからに他ならない。)


 それは自然な衝動であり、作家がものを書きたいという衝動と同種のものでもあるだろう。

 だが時にそういうのは、忍びがたきを忍び、抗いがたきを抗うべき自制心の問題にもなってしまう。

 あのあまりにも有名なフレーズ――室町時代の能役者・世阿弥が『風姿花伝』で書いた、「秘すれば花」というやつである。



 とはいえ今回の件は、またまたササダンゴのいう中年男性ファン――

 “日頃の仕事でプレゼンなんかをやっているサラリーマン”たちの共感を呼び起こすものなのではないか、とも思う。


 彼らの所属する会社にはもちろんホンネが、“貧乏人なんか相手にしたくない。ウチは富裕層をターゲットにやっていく”といったホンネがあるはずであるが、

 世間に向けては“皆様に満足していただけるように”というタテマエを公言していなくてはならないからである。

 しかしホンネを公言すれば、不適切として叩かれ謝罪しなくてはならない。



 プロレスは社会の縮図である、という格言を、本件はまた証明する形になった。

 しかしよく言われるように、プロレスファンはあくまで優しい。そして世間の一般人と同様、すぐに忘れる。

 数ヶ月後(そんなにもかからないか?)にはまたDDTの会場で、ササダンゴの面白いプレゼンにプ女子も中年男性も一緒に笑っていることだろう。 

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コメント

[C79]

”団体”ではなく”ササダンゴマシン選手本人”を支えているのが中年男性層という趣旨の発言です。
決して団体や業界における女性ファンの存在を軽視している内容ではありません。
細かい違いではありますが、ニュアンスが随分と変わってしまうと感じたのでコメントさせていただきました。

ちなみに元はYahooのインタビュー記事で、その一部を切り出してツイートしたのが発端です。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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