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G1オメガ優勝―WWEへの宣戦布告または新日本の海外雄飛

 8月14日の新日本・G1クライマックス決勝戦は、ケニー・オメガが後藤洋央紀を破り、史上初の外国人優勝を決めた。

 そして今年も、試合後に「事件」が起きた。

 昨年は棚橋弘至が優勝旗を振り回しているとその棒が折れるという椿事が起きたのだが――

 今年は、新日本移籍以来ずっと日本語を封印していたオメガが、ついに日本語を解禁したのである。

 突然「おまえら、わからないだろ」と言って会場の笑いを誘い、「オレのホームは日本。オレのホームは新日本。だから、そっち(WWE)には行かない」と言って歓声を浴びたのだ。

 しかしバックステージでのコメントではまた英語オンリーで通し、私には何を言っているか断片的にしかわからなかったのだが、8月15日付けスポーツナビ記事によると――


●バレットクラブからあっさりロス・インゴナブレス・デ・ハポンに鞍替えしたファンを、「恥を知れ」と痛烈批判。

●日本人レスラーは最も強いハートを持っており、リング上で死ぬ気だが、自分は死にはしない。カネと名声と女が欲しいから。オレは彼らのハートを食って精神を砕いてやった。

●しかし、後藤との試合中に次々と元仲間たちの技を繰り出したことについては、回答を拒否。



 との内容だったらしい。

 なお、オメガが繰り出した技とは次のとおり。


●飯伏幸太のシットダウン式ラストライド、フェニックススプラッシュ

●プリンス・デヴィット(現フィン・ベイラー)のブラディ・サンデー

●AJスタイルズのスタイルズ・クラッシュ



 この3人は、全員がWWEへ行っている(飯伏も所属こそしていないが、クルーザー・クラシック・トーナメントに参戦している)。
 
 そしてAJスタイルズ、カール・アンダーソン、ドク・ギャローズの主力3人が抜けたバレットクラブは――

 確かに、内藤哲也率いるロス・インゴ軍に完全に食われていた。

(それを言うなら、CHAOSもずいぶん影が薄くなったように思うが。)

 オメガがファンの節操のなさを批判する気持ちになって当然だろうが、しかし昔からファンとは、ありがたくも薄情で移り気で残酷なものとされている。

 結局、ファンが好きなのはユニットではなく選手個人なのだから……



 しかし、WWEに行ったかつての仲間たちの技をあえて連発する有様は、まるでバトル系漫画の最終回か、ある種のロールプレイングゲームのラスボス戦を見るかのようであった。

 あれに込められたメッセージは――

 WWE移籍組への惜別なのかオマージュなのか皮肉なのか、はたまたファンに向けられたものなのか、それともそういう風に思わせるためにやったことなのか、オメガがコメントを拒否した以上わからない。

 また、日本語で「WWEには行かない」と大観衆の前で宣言したことについては――

 まるで新日本という会社が、オメガの口を借りて全世界にアピールしたかのようにも感じられる。


 ただ、あれほど公然と「WWEには行かない」と断言したからといって、絶対にオメガがWWEへ行かないと思い込むのも早計だろう。

 WWEに行く(日本人でない)選手というのは、その直前でも「何のことだ?」「誰がそんなことを言ってるんだ?」とシラを切るのが通例だからである。

(カール・アンダーソンらもそうだったのは、まだ記憶に新しいはずだ。)



 WWE外で最高の選手との世評を確立すれば、いざWWEに自分を売り込むときに高く売れる。

「絶対にWWEには行かない」と思われていた選手がWWEに来れば、大きなサプライズとなる。

 そういう計算がオメガにあったとしても、それはレスラーという純然たるプロフェッショナル個人事業主にとって当然のことである。


 いやはやそれにしても、オメガの喋りはものすごく早口で、抑揚があり、流暢である。

 この人、引退してもマネージャーやスポークスマンとして充分にやっていけるのではなかろうか。


 そしてこの、英語でのマイクパフォーマンスができるという点――

 「WWEに取られないように、英語のできないスターを作らなきゃ(笑)」と言っていた新日本の木谷オーナーにとっては、非常に貴重な存在である。


(⇒ 2015年10月5日記事:新日本のブルーオーシャン その3 対WWE戦略と英語)

 所属選手が英語ができなければWWEに移籍しようとは思わないかもしれないが、しかし新日本が海外に打って出るに当たっては間違いなく足かせになる。 

 やっぱり、何を言っているかわからなければ「聞こう」「聞きたい」「見てみたい」とは思いにくいものである。

 その点、今はまだ新日本に留まる気であろうオメガがトップ戦線にいてくれれば――

 あれほどの試合を連日敢行できる選手がいてくれれば――

 それは海外展開にとって有利になろうというものである。

 G1史上初の外国人王者誕生という事実には、そんな意味合いもあるのかもしれない。


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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