Entries

7.24両国譚・短感 大日本は新日本を超えるか

 大日本プロレス7.24両国国技館大会(両国譚)を、サムライTVの生中継で見た。

 一言で言って、素晴らしい興行だったと思う。

 昨年の両国譚(第1回)でも「NOAHに代わって日本武道館大会を開催できるのは、大日本かもしれない」と記事を書いたのだが――

 
(⇒ 2015年7月21日記事:大日本「両国譚」短感)


 もしかしたら大日本は、新日本さえも超える可能性があるのではないかと思ってしまった。

 まず第4試合のタッグマッチ、「中之上靖文&宇藤純久 vs 鈴木秀樹&野村卓矢」だが、この組み合わせならどうしたって鈴木と中之上の絡みが主体になるだろうと思う。

 ところがどっこい、主役は宇藤と野村、特に野村の敢闘が著しかったのである。

 野村は今年4月5日デビューなのだが、もし知らなければ誰が彼がデビュー4ヶ月未満の新人だと思うだろう。


 どうも新人育成力(それとも選抜力なのだろうか)にかけては、大日本は日本のプロレス界の中でも群を抜くように感じる。

 また、デビュー4ヶ月未満の選手をこのタッグマッチに入れるというのも、まるで女子プロレスのような「促成栽培」だと言えるかもしれないが、やはり英断だと思う。

 これならば「プロレス入りしたがっている、誰とも知れぬ新人候補」も、他の団体よりは大日本に入りたいと思うだろう。

 少なくとも私にとっては、大日本の未来は明るいものと見える。


(⇒2016年5月15日記事:週刊プロレスの若手育成論に異議 その2 新人活躍度と団体繁栄度の相関関係)


 そして圧巻だったのは、セミファイナルの世界ストロングヘビー級選手権試合――

 王者・岡林裕二と挑戦者・神谷英慶の決戦であった。

 勝利して新王者となった神谷にしても、まだ24歳・デビュー4年3ヶ月に過ぎない。

 これは何だか、24歳でIWGPヘビー級王者となったオカダ・カズチカ(2012年2月12日「レインメーカー・ショック」)を思わせる若年での戴冠である。

 しかしオカダがその時点でキャリア8年であったのに比べ、さらに半分も短いキャリアでの戴冠にもなる。

(ただし、DDTの現KO-D無差別級王者の竹下幸之介は、21歳・キャリア3年9ヶ月で戴冠している。)


 プロレス界には、間違いなく新しい風が吹いている。

 それは、「プロレスは10年やってやっと一人前」とのイデオロギーに基づけば、あってはならない軽佻浮薄なことのはずである。

 だが事実として、こうしたキャリア5年未満の選手が次々戴冠していること――

 そしてそういう団体の方が「勢いがある」と見なされていることは、否定できないのではあるまいか?


 試合内容について言えば、岡林のラリアットはまさに殺人ラリアットである。

 ラリアットと言えば「あんな棒みたいに突き出しただけで/軽く当たったとしか見えないのに、あんな派手に倒れるかよ」と思うことも多々あるのだが、岡林のはそんなことはない。


 あれを喰らってまだ立ち上がれるのが不思議、と素直に思えるほどモロに強烈に当たっている。

 むろん、神谷の耐久力もまた賞賛に値する。

 私はこの試合が今大会のベストバウトであり、今年のプロレス界でのベストバウトではないかと感じる。

 仮にこの試合の結末・流れが初めから決められたものだったとしても、そんなことはどうでもよい。試合の価値を低めるものでは全然ない。

 こんなのを見せられれば、そんなこと言ってプロレスをバカにするのがバカバカしく思えてくるに違いない――

 そう思える一戦であった。


 そしてまたメインイベント、デスマッチヘビー級選手権試合「王者・伊東竜二 vs 挑戦者・星野勘九郎」は、セミファイナルとは対照的に星野が41歳で初戴冠という結果になった。

 この対照の妙、全試合終了後に星野と神谷がガッチリと手を組んだシーンは、見る者に感慨を催させたことだろう。


 実況では神谷も星野も共に「不器用」と何度も呼ばれていたが、私は神谷についてはそんなに不器用とは思わない。

 しかし星野については、確かに見るからに不器用だと思う。

 星野は「高校時代に野球部で、最後の試合で最後に放ったヒットを心の支えにしてきた」そうである。

 こうした「過去の成功体験」を人生の支えにする、というのは、見方によっては「過去の(ちっぽけな)栄光にすがる」と揶揄されてもおかしくないものだ。

 しかし実際にそういうことはあるし、そういう人も実際にはかなり多くいると思う。

 いや、誰しもがなにがしかの「過去の栄光/過去の幸福体験」を思い出しては生きているのが常態ではないだろうか?



 人によっては、メインイベントとセミファイナルのいずれもが新王者誕生の「ハッピーエンド・感動物語」になったことを、「できすぎ」とか「クサい展開」と思うかもしれない。

 両国という大舞台での演出じゃないかと感じるのも、ある意味自然な感情である。

 だが、演出のない人生なんてあるのだろうか?

 殺人ラリアット・殺人バックドロップを喰らうのも、コンクリートブロックを叩きつけられるのも、それでも試合を続けるのも、恐ろしいまでの「演出」である。

 そういう「演出」で、大日本はもしかしたら世界最高峰のものを見せている――

 大日本の会長・グレート小鹿が言っているように、いつか本当に大日本が新日本を凌ぐことも、決して夢物語ではないと感じた大会であった。


このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://tairanaritoshi.blog.fc2.com/tb.php/304-d12230a7

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

FC2ランキング

FC2オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

FC2アクセスカウンター

日本ブログ村・人気ブログランキング アクセスランキング

ツイッターウィジェット

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR