現在新日本プロレスは、G1クライマックスとスーパーJカップという2大シリーズを同時並行開催中である。
(スーパーJカップはトーナメントであり、全2日しかないが。)
G1は8月14日に、スーパーJカップは8月21日に決勝戦が行われるので、
8月は新日本にとってウハウハの月になるのだろう。
また見方を変えれば、前者はヘビー級、後者はジュニアヘビー級の選手が参加しているので、
会社の有する商品を有効活用しているとも言えるのだろう。
商品の回転率、設備の稼働率を上げて収益源を拡大するというのは会社経営の基本かつ鉄則であることを思ってみれば――
これは新日本が株式上場した場合、投資家の好感を得ることになるには違いない。
新日本としては、できることならジュニア版G1クライマックスを開催したいところでもあるのだろう。
ただ、昨年のG1で課題として挙げられていた「選手の負担軽減」というのはどうなったのか? 本日行われたG1第3戦(東京都・町田市立総合体育館)でも、特に後藤洋央紀vs石井智宏は、ものすごい消耗戦・壊し合いであった。
(石井智宏って、あんな試合ばかりどうして繰り返せるのかいつも不思議に思う。)
今年のG1も、別に選手の負担が減ったようには見えない。
どうやらこの課題は、なし崩し的にファンの間でも忘れられていくようである。 あるいは「選手にとってキツ過ぎるシリーズ」だからこそG1の権威と凄さが――イベントとしての商品価値が守られる。
そういうイメージを守っていくため、意図的に負担軽減しないことにしたのだろうかとも思う。 ところでスーパーJカップだが、7月20日に1回戦が行われた結果、8月21日の2回戦~決勝戦に進出した選手は次のとおりとなった。
●獣神サンダー・ライガー(新日本)
●タイチ(鈴木軍・準新日本)
●KUSHIDA(新日本)
●拳王(NOAH)
●田口隆祐(新日本)
●金丸義信(鈴木軍)
●ウィル・オスプレイ(新日本・CHAOS)
●マット・サイダル(アメリカ・ROH)
私はタイチの本給が、どこから出ているのか知らない。
たぶんNOAHから受け取っているのだろうとは思うが、それはつまるところ新日本が払っているのだろうとも思う。
そして上記の2回戦進出選手を見てみると、新日本所属か新日本参戦中・新日本傘下の者しかいないことに嫌でも気付く。 私は、スーパーJカップの醍醐味というのは「ふだん新日本に参戦しない選手が新日本のリングで戦うのを見る」ことにあると思うのだが、これではまるで新日本の普通のシリーズとさして変わらないように見える。(ただし、鈴木軍がついに“新日本に戻ってきた”ことにはなるかもしれない。)
それはあたかも、新日本のリングで輝きたければ(1回より多く試合したければ)新日本自体かその傘下に入らねばならないとでも言わんばかりである。
が、それも当然と言えば当然のことだ。
なんで新日本が開催する大会で――今回のスーパーJカップは新日本とNOAHの共催であるとのことだが――、他団体の選手の名を挙げてやる義理があろう。
しかし、まさにその「義理」を外れたことこそが、ファンの期待でもあったはずだ。
その意味で今回のスーパーJカップは、いささかファンの期待を裏切った観があるのではないだろうか? 今回、1回戦突破が成らなかった選手らは、次のとおり。
●eita(ドラゴンゲート)
●青柳優馬(全日本プロレス)
●石森太二(NOAH)
●グルクンマスク(琉球ドラゴンプロレス)
●原田大輔(NOAH)
●BUSHI(新日本 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)
●ティタン(メキシコCMLL)
●梶トマト(KAIENTAI DOJO)
このうちNOAHとKAIENTAIは、スーパーJカップへの出場権を賭けて自団体内でトーナメントを行なっている。
このことは、(あまり言われないことだが)自団体が新日本より「下」だということを認めたのと同じ―― そう思われて当然だと思うのだが、みなさんどうだろう?
たとえば馬場全日本ならそんなことは絶対しなかったろうし、また現在の大日本プロレスなども、まずやらないはずである。
NOAHが新日本の傘下だというのは現状そのままだからいいとして(?)、また共催者なのだから当然だろうと言えるとして、KAIENTAIはそれでいいのだろうかとも思う。
しかしそう言えば、KAIENTAIのトップであるTAKAみちのくが鈴木軍で鈴木みのるの下に付いているということは、KAIENTAIそのものが鈴木みのるの下であるということになる――
にもかかわらず、なぜかそう評する人はいない。 どうもプロレス界における団体関係というのは不思議である。
また、雑感ついでに言うと、なぜDDTからスーパーJカップに参戦するとの噂さえ上がらなかったのだろう。
WRESTLE-1では黒潮“イケメン”二郎が参戦をぶち上げていたが実現せず――しかしその代わり、カズ・ハヤシや近藤修司が参戦することにはならなかったのだろうか?
スーパーJカップは「プロレス界のジュニア選手のオールスター戦」とのイメージもあると思うのだが、現実はかなり範囲の限られた(もっと言えば「貧弱な」)ラインナップになってしまった―― そう感じるプロレスファンも多いと思う。
こんな感じ方を、8月21日の2回戦・決勝戦で吹き飛ばしてくれればよいのだが……
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今日で、G1前半戦が終わりましたが、今年は初戦で本命と言われた選手(オカダ、棚橋、内藤、柴田)が敗れるという、例年にも増して大混戦ですね。
初参戦の選手が多くて、興行的には厳しい分、いかに両国3連戦まで勝敗レースを誘導するか、マッチメイカーの腕の見せ所ですね。
ところで今年のG1、選手の怪我がすごく多い感じがします。
肩などにテーピングをしてる選手の多い事。
本間選手やYOSHI-HASHI選手の新技も含め、垂直落下式の投げ技を決め技にする選手が多い事も、影響しているのでしょうか?試合を見ていて、とても痛々しいです。
これも「新日本プロレスワールド」に契約したおかげで、勝敗表だけではわからない、実際のリーグ戦でのレスラーたちの身を削るようなファイトを見る事ができて見る側としては、良かったとは思います。
日程上、移動と開催場所の設定は、来年以降、見直しが必要ではないかと思います(岐阜の翌日に高松とか厳しいですね)。
レスラーは一生懸命戦っているので、少しでも良いコンディションで試合させてあげたいです(特にマイケル・エルガンと石井智宏が絡んだ試合は、すごい消耗戦になります)。
さてスーパーJカップも、1回戦をLIVE観戦できたのですが、1回戦はセミやメインの試合など、ノア勢VS新日本勢、そして新日本勢が勝ち上がるという感じでした。
本戦に勝ち残った選手は、鈴木軍以外は、新日本勢および常連外国人ばかりで、ちょっと意外性が足りないですね。ベストオブザスーパージュニアシリーズと、代わり映えがしないというか。
今回のスーパーJカップ、この記事を読んで知ったのですが、新日本とノアの共催なんですね。
これでは他団体の選手の出場枠は狭くなるし、1回戦で姿を消すのも止むなしかもしれませんが、せっかく7年ぶりの開催なので、普段見る事のできない、もっといろんな団体の選手が見たかったです。
イケメンとかDDTの選手も見たかったですね。オールスター感が無く物足りないです。
長文失礼しました。