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週刊プロレスの若手育成論に異議 その3 女子プロレスはどうなのか? 多産多死戦略と少産少死戦略

 また、プロレス界における新人には“溜め”が必要である、という論について何より真っ先に感じるのは――

 だったら女子プロレス、特にスターダムなんかどうなるのか、という疑問である。

 何度も言って恐縮だが、NOAHの熊野準はデビュー以来2年4ヶ月負け続けてきた。

 これは、愛川ゆず季の全現役期間にほぼ相当する。(2010年10月31日-2013年4月29日)


 女子プロレスにおいては、デビュー数ヶ月の選手がトップ戦線に食い込んだり王座戴冠したりするのは、さして珍しいことではない。

 “溜め”なんてあったものではないし、そんなものは邪魔とさえ言わんばかりに思えるほどだ。

 今回の佐藤編集長の巻頭特集に、女子プロレスの「女」の字も出てこないのは、決して分量の関係で書けなかったのではない。

 たぶん「内容的に書けなかった」のである。



 女子プロレスが男子に比べて比較にならないほど新人の躍進度合いが高いのは、もちろん女子選手の現役寿命が短いことによるだろう。

(必ずしもそうとばかりは言い切れないが……)

 しかし同じプロレスラーである以上、男子に溜めが必要なら女子にも必要なはずである。

 それがほとんどない、ということになれば――

 我々は力道山ばりに、「女子プロレスはまともなプロレスではない。本物のプロレスと一緒にしてくれるな」と思うべきなのだろうか?



 デビューからまだ間がない新人を、トップ戦線に踊り出させる。

 これだけ聞けば、まるで「ヒヨっ子パイロットを次々最前線へ投入する」旧日本軍のように思え、いいイメージを持てないのは当然である。

 じっくり時間をかけて経験を積ませ地力を伸ばし、初めて檜舞台に出場させる――それが新人育成のあるべき姿だということには、ほとんどの人が「それはそうだ」と賛成するだろう。

 しかし私にはこれ、「悪いやり方」と「良いやり方」というよりは――

 生物界における「多産多死」戦略と「少産少死」戦略の違いなのではないかと思う。


 魚類・甲殻類は大量の卵を産みながら、そのほとんど全てが食われてしまい、一握りの生き残ったものが子孫を繋ぐ。

 一方で人間などの哺乳類は少ししか子を産まず、その代わり死亡率も少ない。

 これは、どちらが優れているかというものではない。

 魚類も甲殻類も繁栄しているし、哺乳類もそうである。(ただ、どちらが絶滅しやすいかといえば、哺乳類の方だと思うが。)



 思うに、スターダムは多産多死戦略の代表格である。

 NOAHはその反対、少産少死戦略の一例である。

 おそらく今の日本のプロレス界は、多産多死戦略の方が適した環境にあるのだろう。


 そしてZERO-1の磐城利樹(2015年5月5日デビュー)が同年9月23日にUNヘビー級王座を奪取するという椿事(KAMIKAZEに対し反則勝ち)、

 またWRESTLE-1の芦野祥太郎(2015年2月13日デビュー、同年12月18日~翌年3月12日負傷欠場)が今年6月8日にWRESTLE-1チャンピオンシップに挑戦(王者KAI)するという事実は――

 DDTや女子プロレス以外の他団体も、環境に適応して「若手を早々とトップ戦線に引き上げる」やり方にシフトしてきた現れではないか、

 またそういうやり方にメリットがあることに気付いた証ではないか、と思える。


(芦野の王座挑戦は、DDT社長でWRESTLE-1のCEOでもある高木三四郎の方針ではないかとも勘ぐりたくなってくる。)


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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