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プロレスと「差別」その9 最重要問題:プロレスラーは嘘をついているのか?

 しかしながら、プロレスが蔑視され低く見られる最大の要因は、やはり「八百長」であり「インチキ」な「ショー」と思われていることである。

 先にも触れたが、現代人は「おまえはショーをバカにしてるのか。劇団員とか俳優を低く見てるのか」と聞かれても、素直に「はいそうです」とは答えない。
 テレビに出ている人を「電波芸者」「タレント学者」と腐したとしても、じゃあ芸者やタレントは「下」だと思ってるのかと聞かれれば、いやそれは違うと答える。

 職業差別は悪いことだと確かに心から思っているし、この自分が「上から目線」と言われたくはないからである。
(「上から目線」という言葉は、現代の日本において最高に近い致命度を持つ「非難」の言葉である。言われた相手は反論もおぼつかず、いや違いますと否定するしかなくなってしまう。)

 おそらく彼らは、卑しいのは芸者やタレントそのものではなく、ジャーナリストを名乗ってるくせに芸者みたいに振る舞うことが卑しいのだと言うだろう。
 学者のくせにタレントみたいなことをするのがおかしいのだと言うだろう。

 そしてプロレスについては――ショーが卑しいというのではなく、プロレスがショーだからダメなのでもなく、プロレスラーが真剣勝負(試合の勝敗が決まっていない/作りがない)を名乗っていながら本当はそうでないからおかしい、嫌いなのだと言うはずである。

 これがプロレス批判の核心であることを疑う人はいないだろう。
 またこれが、プロレスラーとプロレス業界に対する最大級の告発だということも間違いない。

 端的に言って、プロレスは嘘の世界であり、プロレスラーは嘘つきだと思われている。

 もし、プロレスの勝敗が初めから決まっているとすれば。
 もし、試合をこういう展開にしてああいう結果に持っていき、こんな展開にしていこうと初めから決めてあるとすれば。

 プロレスラーが試合前のインタビューで言う「絶対勝ちたいと思います」「いい試合でなく、勝つ試合をしたい」「ぶっ潰してやるよ!」などの言葉は何なのだろう。
 試合後のインタビューで「悔しい」などと言いながら、あるいは無言で涙するのは何なのだろう。

 あれは全て嘘なのか。リングを叩いて悔しがるのも演技なのか。

 もしそうであれば、これはもう蔑視されて当然だろうと誰もが思う。
 世間に認められるなど思いもよらず、低く見られて当たり前じゃないかと万人が感じる。
 そして、だからこそプロレス界もプロレスファンも、そんなことを認めない/認めたくないのである。


 もとより私はただの一般人であり、プロレスの内幕を知っているわけでは全然ない。
 だからプロレスの正体がショーであり真剣勝負などではない、と断言はできない。

 だが、暴露本はもとより元プロレスラーの自伝(特に外国人)なんかを読んでいると、それが正しいのだろうと思わざるを得なくなってくる。
 とにかく、状況証拠が圧倒的なのである。
(しかし、本当にそうなのだろうかと疑問に思う点もある。いわば「裂け目」を見るような気がする時もある。これは後日、おいおい書いていくことがあるだろう。)


 プロレスは結末の決まったショーである。それが真実であるとする。
 しかしプロレスは、そのことを認めないうえに否定する。
 これはまぎれもなくウソつきの所行であり、世間のまっとうな感覚からは決して認められない態度である。
 プロレスファンでさえプロレス以外のものがこんな態度を取ったとすれば、罵倒し非難し嫌いになるに違いない。

 これを正当化あるいは弁護することは、まず不可能だと私は思う。
 そしておそらく、そんな方法は誰も考えつけないと思う。

 よって、プロレスの「真実」を保ったままプロレスを続けていこうと/守っていこうとすれば、(嘘をつきとおし続けることを除き)対策は一つしかない。
 言わずと知れた「カミングアウト論」である。


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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