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内藤哲也の戴冠とファン心理制圧

 INVASION ATTACK2016のメインイベントは、


【第9試合(IWGPヘビー級選手権試合)】

 オカダ・カズチカ  ×王者陥落
  vs
 内藤哲也  ○新王者に



 で、内藤哲也の勝利及び王座奪取であった。

 この結果と試合内容(セコンドの乱入による)は、多くのファン――たぶん7割くらい――が予想していたことだと思う。

 一言で言えば、新日本という会社もファンも、変化を求めているのである。


 そろそろ新風を吹き込むべきだと思っていたのであり、それはつまりオカダが王者でなくなることを意味している。

 そしてオカダが負けるなら、それは正面切っての正々堂々の勝負ではなく、セコンド乱入をはじめとするイレギュラーで「負けても仕方ない」経緯でなくてはならない。

 オカダの強さを落とすわけにはいかないからである。


 いや、しかし、真田聖也の唐突な乱入は驚きであった。

 いくら何でもこれまで予想していた、と強弁するファンは厚顔無恥と言うべきだろう。

 これには何の前触れもなかった。真田が新日本の大会にやってくるということ自体、プロレスファンの念頭になかったはずだ。

 ただ、彼がドクロのマスクを脱いだとき、観客の反応は「内藤のパレハは渡辺高章(EVIL)だった!」のとき(2015年10月12日・新日本両国国技館大会)とほとんど同じだったのには少し「グッ」と笑ってしまった。

 すなわち、「え、誰?」という戸惑った感じである。

(真田が髪型さえ変えていなければ、もう少し「わーっ」という反応だったと思うのだが……)

(⇒ 2015年10月12日記事:10.11仙女と10.12新日本 その1 メインを食う話題)

(⇒ 2015年10月14日記事:10.11仙女と10.12新日本 その4 「内藤のパレハは渡辺高章」と新日本の自給自足)


 しかし何にせよ、見事な情報秘匿である。

 これほど唐突で脈絡のない乱入と軍団加入というのは、プロレス史上でも珍しいのではないだろうか?


(ちなみに、真田のロス・インゴ軍加入については、試合後も内藤はじめ誰からも何の説明もなかった。一夜明け会見で話されるのかもしれないが。)

 IWGP戦でもGHC戦でも、今回と似たような「乱入・台無し」試合は何度か見たことがあるような気がする。

(最近の鈴木軍のやり口も似たようなものだ。)

 しかし実況解説陣が驚いていたように、それで勝った方がこんなに歓声とコールを浴びるのを見るのは確かに初めてである。

 それはやはり、ロス・インゴ軍はああいう戦法を取るものだということをファンに印象づけてきた賜であるとともに――

 とにかく「棚橋・中邑・オカダ」時代からの変化を求めるファンの期待を、“オーナーにも異議申し立てする本音キャラ”内藤哲也が見事な受け皿となって受け止めた証でもある。

(そしてたぶん、中邑が抜けていなくても内藤の戴冠はあっただろうと思われる。)


 内藤の次の相手は、どうやら石井智宏のようだ。

 このこと自体、早くも新日本の新しい風景と言えば言える。

 石井がIWGPヘビー級に挑戦するなんて、そんなイメージはファンの間にもなかったはずである。


 内藤がIWGPヘビー級王者となるのは予測できたが、その後の未来は確かに“予測不能”っぽい。

(とはいえいずれ、オカダが返り咲くはずだが……)

 来年の1月4日、東京ドームのメインは誰と誰が戦うのか――

 それは、今の我々が思いもよらない組み合わせなのかもしれない。

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[C52] 内藤戴冠を支持するプロレスファンの浅はかさ

内藤戴冠によって、5月のレスリングどんたくでの石井との初防衛戦、続く前半戦の天王山である7月の大阪城ホールでのオカダカズチカとの再戦、そしてG1へなだれ込むという一連のストーリーが見えてきました。

IWGPヘビー級王座戦線は、棚橋、AJ、オカダの3強時代から、オカダ、内藤のライバルストーリーへと、見事に方向転換に成功したと思います。
ただ、二人のライバルストーリーだけでは、息詰まるのが早いので、IWGPヘビー級王座戦線に、もう一組は絡んできて欲しいものです。
バレットクラブは、リーダーのケニーオメガが、IC王座を保持しているので、ヨシタツに期待したいのですが、彼の関心はバレットクラブに向いているので、ここはやはり鈴木軍にノアから凱旋してもらって、新日本マットをかき回して欲しいものです。

ともあれ、今回の内藤戴冠のファンの歓迎振りは異常だと思います。
それは、記事で指摘されているように、ファンが変化を強く望んだことの表れでしょうが、内藤支持の要因は、木谷高明オーナーの「オカダカズチカ2億円育成計画」に対するファンのアレルギー、もやもやとした気持ちを、団体の中で内藤だけが公に反発したことで、ファン心理を上手く突いたからでしょうね。

私が思った以上に「オカダカズチカ2億円育成計画」に対するファンの反発が強いのは意外で、あまり歓迎できない傾向です。
プロレスファンは、昔からプロレスラーに清貧を、お金より義理人情を求めます。
全ての原因 (諸悪の根源)は、ターザン山本「週刊プロレス」による天龍のSWSバッシングにあります。
あの時、ターザン山本「週刊プロレス」は「天龍は金で動いた、多額のギャラに釣られて馬場さん全日本プロレスを裏切った」という論調を張り、ファン心理を世論操作しました。
それ以降、プロレスラーにとってギャラの話は禁句になりました。

しかし、時代は流れて、新日本プロレスはブシロード体制になったことで経営が健全化しましたし、プロレス女子と呼ばれるファン層も変化 (と言うか、一般層への広がり)してました。

スター選手が高額のギャラを手にすることは、プロレス界の世間に対する認知度の向上のためには、歓迎すべきことだと思いますし、プロレスラーの待遇改善は、急務の課題です。

かつてプロレスラーは、魅力ある (稼げる) 職業でした。
一攫千金を狙って、各界のスポーツエリートが、プロレスラーという職業を選択しました。

大相撲における力道山、天龍源一郎、アマレスにおけるジャンボ鶴田、長州力、プロ野球におけるジャイアント馬場、柔道における坂口征二らが、それに当たります。

しかし、第二次プロレスブーム (馬場全日本と猪木新日本) 以降、アマレスを除けば、他のスポーツから夢を持ってプロレスラーになるという人は激減して、プロレスラーになりたい人、根っからのプロレスファンがプロレスラーになるようになりました。
大仁田厚FMWそしてユニバーサルによるインディーの登場によって、プロレスラーになりたい人は、誰でもプロレスラーになれる時代になりました。
たしかにそこからは、グレートサスケやハヤブサやウルティモドラゴンという逸材は登場しましたが、彼らはあくまでジュニアヘビー級であり、プロレス界の本流とはなりえませんでした。
そしてメジャー団体も含めたプロレスラーの小型化が、深刻な問題として浮上することになります。

新日本プロレスもプロレスラーの小型化からは免れず、ここ数年のヤングライオン出身者を見れば、内藤、裕次郎、YOSHI-HASHI、EVILらは、体重こそヘビー級ですが、体格はジュニアヘビー級です。

オカダカズチカは、そんな新日本プロレスに現れた久々の大型選手であり、昨年11月15日の天龍源一郎引退試合の相手を見事に務め上げたことで、天龍源一郎からプロレス界のリーダーとしてのバトンタッチを受けて、今後15年から20年間は、プロレスというジャンルを背負う象徴となるべき逸材です。
そんなオカダカズチカをWWEが放って置くわけがなく、今後、オカダカズチカに対するWWEのアプローチは強くなることでしょう。
日本のプロレス界にとって、オカダカズチカをWWEに引き抜かれることによる損失は、2億円では済みません。絶対に避けなければいけません。

対WWE、対世間という観点からも、オカダカズチカの認知度向上は急務です。
オカダカズチカは、ブシロードのカードゲームのCMキャラクターに採用されたことで、低年齢層の認知度は上がっていると思いますが、一般層への認知はまだまだです。この辺は、スイーツ真壁の方がよっぽど有名でしょう。
オカダカズチカを有名にするためには、「2億円育成計画」は妥当な戦略であるし、プロレスファンは歓迎すべき施策なのです。
しかし実態はどうか。
旧来のプロレスファンの反発は思った以上に強く、その結果が、変化を求めるライト層を含めて、圧倒的な内藤支持につながったと思うます。

こんなことでは、WWEに日本のプロレスが飲み込まれる可能性すら否定できません。
プロレスラーだって商売です。
より良い待遇を求めるのは当然です。

昨年の全日本プロレスの相次ぐ主力選手の離脱の際に、選手からは
「団体を離れるのは、主義主張や方向性の違いではなく、あくまでギャラの問題だ」
というカミングアウトととも取れる発言が相次ぎましたし、昨年発刊された「真説・長州力」という本の中で、長州力はインタビューに答えて
「 (プロレスラーが団体を移籍するのは) 結局、お米(ギャラのこと) なんです。」
という革命戦士らしからぬ本音を激白しています。

プロレスラーの意識改革は済んでいます(と言うか。昔から変わっていない)。
後は、プロレスファンの意識改革が必要だと思います。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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