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副業禁止は明白な憲法違反ではないか? その3 集団的自衛権と先制予防自衛権②

 このままでは攻撃されると明らかにわかっているとき、先制攻撃してはいけないのか――

 これは、現代の刑法をはじめとする犯罪対策の世界では明白に否定されている。「してはいけない」とされている。

 「こいつは犯罪を犯す怖れがある、と判断する」からと言って、逮捕拘禁することは許されない。



 「爆破予告」も「児童ポルノ所持」も、現実に爆破や児童姦を犯しているわけではない。

 「凶器準備」したからと言って、実際に凶器を使って人を傷害したわけではない。

 しかし、だからこそ、それらをすでに「犯罪」だとしているのである。


 犯罪を現実化する前に逮捕してはいけない前提があるからこそ、それらを犯罪の枠に入れて「実行を予防」しようとするわけだ。 

(もっとも「爆破予告」の場合は、現実に威力業務妨害に繋がっている。だから厳密には「予防」とは言いがたい。)


 では、どこかの国がミサイルをわが国に向けたからと言って、国境に軍を集結させたからと言って、それを「犯罪」ならぬ「開戦行為」の枠に入れるべきだろうか。
 
 これは集団的自衛権を認めるか否かより、ずっとずっと難しい問題と言える。


 いったい開戦行為とみなせる「明白な危険」とはどの程度の事態を指すのか、本当にそんな「怖れ」があるのか、どうやってどう判断するのか。

 そしてまた集団的自衛権と同様、この先制予防自衛権にも、侵略したい側が頻繁に口実に使ってきたという暗い歴史があるのはもちろんである。


 私は、集団的自衛権と違い、自国に先制予防自衛権を認めないことに賛成する。

 それは「我々は絶対に自分から仕掛けることはない」という全世界への宣言であり、名誉ある自己束縛と思うからである。

 しかし当然、もしいよいよ本当に攻撃を受けたなら、その相手国をいかなる手段でも(核でも細菌でも)撃滅・絶滅させることに賛成する。

 相手国の一般国民には気の毒だが、最初からそう宣言しておけば相当の抑止効果も期待できよう。 




 そしてここで話を戻し、副業を禁止しそのことを支持もさせる理由――

 前記事「②予防的理由:自社情報の流出や、自社での勤務がおろそかになることを予防する」を考えてみよう。

 副業をすれば、自社情報が流出しやすくなる「かもしれない」。

 自社での勤務がおろそかになる「かもしれない」。

 これは「相手国が国境に軍を集結させている、だから開戦と見なしてよい」と考えるより、はるかに根拠薄弱である。

 こんな「かもしれない=だから先制または禁止する」が罷り通るのなら、世の中にはたちまち「犯罪の怖れがある者の逮捕」が続出する。(そして「密告」も増える。)



 副業に手を染めることは、はたして「児童ポルノ所持」「凶器準備」と同程度の危険があるのだろうか。

 それ自体を「犯罪」の枠に入れるほどだと――それをやったら「流出」したり「おろそかになっ」たりしたも同然のことなのだと、判断するのが妥当なのか?

 むろん私は、そんなことはないと思う。

 これを認めるのは、まさしく「オイコラ警察」(怪しいというだけで庶民をしょっ引ける警察)の存在を肯定するのに等しいと思う。
 

 「かもしれない、だから予防しよう」、そういう考えが正しい、と思うのは、先制予防自衛権の肯定である。

 私はそういう立場を選ぶ/選びたい人がいることを否定しないし、そういう人がいなくなるとも思わない。

 しかし、その立場にははっきり反対する。

 もし本当に副業が原因で情報流出や業務懈怠が生じたなら、そのときこそ(初めて)断固たる処分を下すべきだと思う。

(しかし、その因果関係が真だと証明するのは非常に難しいことである。)


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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