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石井智宏のROH世界TV王座奪取と「WWEへの反撃」?

 2月19日の新日本・後楽園ホール大会「HONOR RISING:JAPAN 2016」は、新日本プロレスがアメリカ・ROHと本格的な提携関係に入ることの号砲的な大会だった。

(⇒ 2015年8月17日記事:2015・G1決勝戦 その1――新日本=ROH同盟と米マット界情勢)


 そのメインイベント・ROH世界TV選手権試合では、王者ロデリック・ストロングと石井智宏が対戦。

 アメリカのプロレスチャンピオン伝統の「のらりくらり戦法」をしのぎ、石井が新王者に輝いた。


 また第6試合のタッグマッチでは、ブリスコ兄弟(マーク・ブリスコ&ジェイ・ブリスコ)とカール・アンダーソン&ドク・ギャローズ組が対戦。

 ブリスコブラザーズが勝利を収め、敗戦後のアンダーソンとギャローズは非常にセンチメンタルな振る舞いとコメントを残す結果となった。

 もはや、アンダーソンとギャローズの新日本離脱とWWE行きが確定的であることはファンも知っている。

 しかしファンは、あくまで二人に対して暖かい。

(暖かい反応しか目立たない、と言った方がいいかもしれない。冷たい反応とは沈黙であり、声として聞こえることはないからだ。)


 さて、新日本から中邑真輔はすでに去り、アンダーソン&ギャローズももうすぐ去る。

 その代わりというわけでもないが、新日本はROHのTV新王者として石井智宏を北米に送り込む形になる。

 正直言って、これは意外な人選である。

 試合中にゲスト解説のKUSHIDAが言っていたように、石井のようなバチバチの突貫ファイトをする選手は、アメリカンプロレス界にほとんど例がない。(と思う。別にアメリカのプロレスの試合を全部見ているわけではないが……)

 石井型のファイトスタイルは日本でこそ珍しくないが、世界的には特異なジャパニーズ・スタイルと言えるのだろう。


 たぶん外国プロレスラーの多くは、あんなあからさまに体を痛めるようなファイトは好んでやりたがらない。

(怪我して欠場しても、日本のように給与や欠場手当が支給されるのではないはずである。)

 それはつまり、本音では石井みたいな選手と対戦したくないということだ。

 ここ最近、まるで新日本を狙い撃ちするかのように選手の引き抜きを行なっている観があるWWEも――

 石井智宏を引き抜こうとは、よもや思っていないだろう。

 しかし新日本は挑戦者に石井を選び、ROHはそれを受け入れた。



 日本マット界では、「ルチャ・リブレ直輸入」とか「アメリカンプロレス直輸入」とか呼ばれる大会がよく開かれる。

(かつてのユニバーサル・プロレスなどは、団体そのものがルチャ・リブレ直輸入を謳っていたものだ。)

 それと同じように、アメリカやメキシコにも「ジャパニーズプロレス直輸入」と呼ばれる大会を開く風土があるのかどうか、私は知らない。

(ただ、女子プロレスに関してはありそうである。)

 まして、ジャパニーズプロレス――すなわち石井流のファイト――を中心に据える団体が根付く風土と可能性があるのかどうか、それも私にはわからない。

 どうも、あんなファイトをやりたいと願うアメリカ人は、プロレスでなく最初からMMAしか目指さない気がするのである。
 

 今回の石井のTV王座戴冠は、単なる一過性の打ち上げ花火みたいなものかもしれない。

 それとも、日本流プロレスを北米に定着させようとする、新日本・ROH連合軍の意図的試みの最初の布石なのかもしれない。

 もし、そうであるならば――

 プリンス・デヴィット、中邑真輔、AJスタイルズ、カール・アンダーソン、ドク・ギャローズらのWWE移籍に比べ非常に地味でささやかではあるものの、新日本とアメリカの非WWE団体によるWWEへの「反撃」と取ることもできなくはない。


 しかし石井は、NEVER王座に続き、外国団体の王座まで獲得した。

 新日本において本間朋晃と並び称される「インディー出身の雑草」だった彼も、いつの間にかそういう選手になっていた。

 しかも今回は「北米向け」の選手に選ばれたのである。

 やはり、プロレス界の未来予測は「やるだけ無駄」――だがしかし、それでも未来は予測したいし、外れてもそれを嬉しく思ったりするものなのだろう。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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