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新日本新章 ~オメガのIC戴冠と棚橋の敗北~

 2月14日バレンタインデー。

 新日本・アオーレ長岡(新潟県)でのIWGPインターコンチネンタル(IC)王座戦は、ケニー・オメガが棚橋弘至を下して王座に就く結果で終わった。

 放送席は「言葉がない」とのことだったが、実のところこの結果は意外なものとは言えないだろう。

 棚橋が勝ってIC王座に就けば、新日本のこれまでの流れから中邑真輔が抜けただけ――

 オカダ・カズチカ、棚橋弘至、中邑真輔の三頭(トロイカ)体制から中邑が抜けた二頭体制になるだけである。


 そして棚橋はもはや、いくら負けてもその地位の揺らぐことのない域に(ファンの意識の中で)到達している。

 であれば、中邑に代わる第三、第四の主要キャラクターを作った方が得策というものだ。

 それがマンネリを防ぐ道であり、それこそストーリー展開に幅と彩りを持たせる手段と言える。


(⇒ 2016年2月7日記事:NOAH「第三の爆弾」とストーリー構成「三国志の定理」)


 ケニー・オメガは今回がヘビー級王座初挑戦。

 彼がかつて飯伏幸太(欠場中)と並ぶDDTのエースかつスターであり、日本プロレス界における強豪レスラーであることを疑うファンはあまりいない。

 そうは言っても、「あの」棚橋に一発で勝つとするにはそれなりの説得的な理由がなければならなかった。

 その理由が前哨戦での棚橋の「右腕破壊」であり、試合中のセコンド乱入でもあった。

 これはこれまでのプロレス史で何度も何度も使用された、ごくオーソドックスな理由付けである。



 今回の試合の冒頭、オメガはバレットクラブ仲間のセコンド2人(コーディ・ホールと高橋裕二郎)を退去させた。 

 しかしもちろん、大方のファンは「(セコンド乱入の)フラグが立った」と思っただろう。

 果たせるかなセコンドは再度乱入した。しかもヤング・バックスの2人もである。(最初からリングの下に潜っていた。)

 マイケル・エルガンが棚橋の救出にやって来たのはともかく、こうした乱入は新日本を見続けてきたファンには完全に予想のうちだったと思う。


 重要なのは、中邑の抜けた新日本は否応なしに「新章」へ突入せざるを得なくなったこと――

 いまやほとんど新日本の傘下団体と思われているNOAHにおいて「方舟新章」時代が来たように、本体の新日本自体も新時代に直面することになったことだろう。


 もし中邑が今年も新日本に留まっていれば、我々はまた「棚橋vs中邑」の“頂上決戦”を繰り返し見せられていたかもしれない。

(⇒ 2015年8月20日記事:2015・G1決勝戦 その3――棚橋VS中邑、もはや形而上学的対決?)


 中邑がスター(中心選手)であればあるほど、彼がドル箱主力商品であればあるほど、それに長々と頼る/頼りたくなるのは個人も企業も一緒である。

 しかしむろん、そうすることは新時代への適応を遅らせる結果になる。

 このことが重々わかっていてさえも、それでも頼り続け・使い続けたいのが人間のサガというものだ。



 だが、中邑は新日本を去った。

 これは新日本にとって打撃ではあるが、一面では依存体質(及び心理)の強制的な打ち切りにもなる。



 おそらく「新日本新章」の進展に当たり、棚橋の姿は次第に後景に退いていくだろう。

 今年、棚橋は40歳になる。対してオカダ・カズチカはまだ29歳にしかならない。

 今の新日本は、棚橋を筆頭とする「本隊」、オカダがトップの「ケイオス」、オメガがボスの「バレットクラブ」、内藤哲也が中心の「ロス・インゴベルナブレス・ハポン」の4勢力で構成されているが、

 やはりこの中でオカダと並ぶ中心となり得るのは、内藤哲也(今年34歳)と目される。(つまり、彼が40歳になるまでである。)

 予想が難しいのは、棚橋に代わる本隊のトップが誰になるかである。


 ともあれ、日本プロレス界の最大勢力である新日本が新章に突入したことは、プロレス界全体に大きな影響を及ぼさずにいない。

(アオーレ長岡大会の客入りは地方大会にも関わらず素晴らしく見えた。NOAHや全日本が痛ましく思えるほどである。)

 そして次に新日本が新章を迎えるのは、棚橋弘至が引退するときなのだろう。 

 それとも「超大型新人」岡倫之あたりが、一足早く新・新章の幕を開けるのだろうか?

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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