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NOAH「第三の爆弾」とストーリー構成「三国志の定理」

 前記事の(3)――

 丸藤正道が杉浦貴(鈴木軍)に敗れGHCヘビー級王座陥落。
 潮崎軍(仮)だった金丸義信が「第2の時限爆弾」として裏切り、鈴木軍に加入。(1月31日)


 について。


 この横浜文化体育館大会、2月5日(金)に日テレジータスで放送があったのだが、録画し忘れてしまい見ていない。

 しかし「週刊プロレス NO.1834(2月17日号)」で大会の様子を読むと、またしても鈴木軍の乱入・妨害によって丸藤は敗れた。

(なんか、同じことを繰り返している印象である。)


 金丸はセミファイナルで潮崎豪を裏切り、その動機は「金と力が欲しいんだよ。アイツのお守りなんかしてられない」ということらしい。

 私は、鈴木みのるの埋伏した「第二の時限爆弾」とはマイバッハ谷口ではないかと以前の記事に書いたが、やはり外れた。

 しかし金丸だったとは、確かに意外で穴馬な人選である。

(⇒ 2016年1月21日記事:最近忙しい/NOAHの時限爆弾は誰か)


 マイバッハは裏切るどころかマスクを脱ぎ、鈴木と金丸にボコボコにされる潮崎を救出。

 ついに素顔と感情を剥き出しにして谷口周平に戻り、「かつての面影はなく凄みが出ていた」と週プロ記事には書かれている。


(ただ、マイバッハ谷口の「覚醒」というのもまた、これまで何度も聞いてきた/読んできた話ではある。)

 そして潮崎は、王座陥落した丸藤と握手した。どうも(早くも)NOAH正規軍入りする模様のようだ。


 さて、プロレスファンは長らく、「NOAHは試合内容で魅せる団体」というイメージを持ってきた。

 NOAHはWWEのようなドラマ的ストーリー構成で気を引くのではなく、あくまで試合のクオリティの高さで勝負する、との評判を保ってきた。


 しかしここ1~2年の展開を見ていると――

 私には、試合内容で魅せているのはむしろ新日本ではないかと思われる。



 単純に新日本の方がNOAHよりも選手数が多く、バラエティに富んだ試合内容を見せている。

 NOAHもダメ試合ばかりというわけではないが、総じて単調な似たり寄ったりの試合が多いように思う。

 むろん異論があるのは承知の上として、試合内容のクオリティは新日本の方が上ではないかと感じるのである。

 そして逆に、最近の新日本はユニット抗争を代表とする「ストーリー展開」の色はごく薄く、そんなたいしたストーリーは提供していないように思える。



 今のNOAHは、どちらかというとドラマ的ストーリー展開で客・ファンの興味を引き付けていると思う。

 「選手層が薄くなったからそうせざるを得ないのだ」との言い方もできるが、しかしこうした変容は必ずしも凋落の象徴ではない。

 それは長い団体の歴史の中ではそういうことも起こるだろう。

 ただ気になるのは、そのストーリーというのが「次は誰が裏切るか」という興味に集中していることである。

 杉浦貴がまず裏切り、次に金丸義信が裏切った。では次は?


 『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で「キラークイーン第三の爆弾」というのがあったが――

 「鈴木軍第三の爆弾」は誰か?といった類いの「興味の引き延ばし方」は、それこそ三つ目まであたりが適度な限界だろう。 


 また、マイバッハ谷口が、潮崎豪が「ついに」NOAH正規軍に結集したということは、ついに「NOAH軍 vs 鈴木軍」の2極対決が明確化したことにもなる。

 これは対立構図を明確化・シンプル化する意味ではいいことなのだが、しかし話の広がりを作る面ではやや難しくなってきた。


 NOAHは鈴木軍に対抗するため、それまでの軍団(ユニット)を解散し一本化した。

 しかしそこへ昨年末に潮崎豪・金丸義信の「潮崎軍(仮)」(はぐれ全日軍団)が入ってくることで、「NOAH軍、鈴木軍、潮崎軍」の3勢力ができたかに見えた。

 ところがここで、「NOAH軍、鈴木軍」の2勢力しか残らなくなったわけである。


 これはNOAHの勢力図が、「三国志」的なるものから「項羽と劉邦」(楚漢対決)的なものに変化したことを意味する。

 そして(日本において)どちらが人気があるかと言えば、それは圧倒的に前者――三国志の方なのである。


 勢力が三つあることで、様々な絡みや組み合わせを作りやすくなる。(また、見いだしやすくなる。)

 これが四つ以上になると、複雑すぎてついて行けない気味も出てくる。


 三国志の人気の高さは、プロレスだろうと小説だろうとビジネスだろうと、

 何らかのストーリーを作る上で「三つの勢力・人物・要素」を核とすること、土台にすることが最もウケがいいことを示しているのではないだろうか?

 これは、ストーリー構成における「三国志の定理」と言ってよいと思う。



 試合内容よりむしろ、ストーリーで魅せることに舵を切った(かに見える)NOAH。

 「次は誰が裏切るのか」そして「単純な2極構造」に収斂したストーリーを、これからどう変化させていくか。

 NOAHその他のプロレス団体の苦闘・悩みは、世のあらゆるレベルのクリエイターの参考になりそうである。 

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[C47] ノアは、WWE NEXT のような立ち位置に?

新日本プロレスが、ついに、ノアを傘下に収めたことを公にしました。

今後のノアの立ち位置としては、新日本の2軍というと聞こえが悪いですが、WWE で言うところの、WWE NEXT のような立ち位置になるのでしょうか?

新日本プロレス傘下に入ったことが公になったことで、これからは、選手交流も活発化すると思われます。

以前のノアは、新日本第三世代の派遣先となっていましたが、昨年からは、鈴木軍が派遣されて、鈴木みのるが、MVP 級の獅子奮迅の活躍で、たった一人で、ノアを牽引しています。

今後は、新日本本隊では、持て余し気味の、ジュニアヘビー級の選手が、ノアに大量に派遣されるように思います。

ちょうど、現在のノアは、ジュニアヘビー級が、充実しているので、ちょうど良いと思うのですが、どうですか?

[C48] 鈴木軍の新日復帰は近い?

新日本は、これまでも、第三世代の永田裕志にGHC王座を戴冠させたり、小島に丸藤の持つGHC王座に挑戦させたりしました。 続いて鈴木軍を派遣して、鈴木みのるは、MVP級の獅子奮迅の闘いでもたった一人で、ノアを牽引してきました。中邑真輔、AJスタイルズ、飯伏幸太ら主力をごっそりWweに引き抜かても、揺るがない地盤を固めました。 しかし、早急な選手の補給は追い付かず、第三世代をNEVERタイトル戦線に引っ張り出していますね。

先日、丸藤は、「鈴木軍との抗争を引き上げて、世代交代の闘いにシフトしたい旨の発言をしました

ノアにおける世代交代の闘いとは、丸藤から中嶋勝彦へのバトン継承を指し、そこに鈴木軍の入る余地はありません。

そうなってくると、鈴木軍の新日本復帰も、そう遠い話でもないかもしれませんね。

[C49] ムームー様

ムームーさん、お久しぶりです。返信遅くなり済みません。コメントについては明日以降、考えをまとめて書きたいと思います。ひとまずは返信まで。
  • 2016-03-21 23:54
  • 平 成敏
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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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