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ダークサンタ ~聖夜(クリスマス)の復讐者~

 クリスマスイブ及びクリスマスがやってくる。

 それは戦後日本に定着した一大商業イベントであり(間違っても宗教イベントではない)、

 非公式ながら民間制定の「恋人の日」という祝日にもなっている。

 この現代の近代国家においても、キリスト教の土俗化は大規模に起こりうることの最大例と言っていいだろう。


 ところで話は急に変わるが、テロや大量殺人事件はなぜか「記念日」にはあまり起こらない印象を受ける。 
 
 それは、そうした記念日には当局の警戒が特に厳しくなるからだという理由だけでは説明できないように思える。

 だって、いかにもありそうではないか――

 「恋人がいつまで経っても持てないことについに激発した男が、繁華街で恋人たちを殺傷する」などという事件は。

 「恋人たちで賑わう施設(建国記念日の行事でもよいが)を狙って、一発大量殺人をかます」などというテロは。


 おそらくそれは、小説的映画的発想なのだろう。

 もし小説や映画を作ろうとすれば、そういう設定に必ずしたくなるものである。


 しかし現実には個人的犯罪はおろか組織的テロですら、記念日・祝日には関係なく決行されているように思える。

 やはり、個人的犯罪なら「いよいよやる気になる/やらないではいられなくなる時期」、テロなら「成功に持って行けそうなタイミング」が、記念日と重なることはなかなか難しいのだろう。 

 猟奇大量殺人のメッカであるアメリカですら、「クリスマスにやる」ことを目的の一つとした事件の話は全然聞かない。

 屈折した非モテ男が銃で恋人たちを脅し、ヒドいことをして残忍に殺害するという手口は、いかにもありそうで小説のネタにもなりそうだが――

 しかしそれは、アメリカなど本場の欧米諸国では、クリスマスは決して恋人の日などではないことを示しているのかもしれない。



 だが、日本ではどうか。

 恋人の持てない男が繁華街や観光スポットで恋人たちを無差別殺傷する、という事件には、けっこうな心理的リアリティがありそうである。


 そしてもし本当にそんなことが起これば、それがどんなに凄惨な事件であろうと、

 きっと爆笑を呼び起こすのではないかと思う。(特にネット上で)

 このブログでも何度も書いてきたが、結局のところ現代の日本では、どんな事件もニュースネタとして消費され楽しまれる。

 ニュースに対して「憤り」を感じることも「楽しみ」の一つである。

(わざわざ「憤り」や「問題意識」を感じたい目的でニュースチェックをしている人も世の中には多いのだ。)


 モテない憤りで恋人たちに殺意を抱く。

 それは納得できる心的理由ではあるが、同時に爆笑・失笑をも引き起こす。

 日本にも殺人者の心理を描く創作物はゴマンとあるが(そう、殺人者は人気者なのだ)、こうした「クリスマス殺人」を真面目に描いたものはない。

 それは、どうやってもジョークに受け取られるとわかっているからだろう。


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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