Entries

夫婦別姓について その3 希少姓(苗字)の保護、という視点

 日本は、世界で最も苗字(姓)の種類の多い国らしい。

 その中には「こんなのが本当にあるのか」と疑いたくなるようなものもある。

 ネットで「難読苗字」などと検索すればザクザク出てくるので例示はしないが――

 最近ネットで見た「戦前の難読苗字番付」からわずかに引用すると、次のようなのがある。

●公使(くらむ)

●九足八島(ろくろみ)

●日日(たちごり)

●一寸八分(かまつか)

●飲酒盃(いさはい)

●善知鳥(うとう)

●十八女(わかいろ)

●丁字(よろこび)

●龍神(わだつみ)

●歌枕(かつらぎ)

●子子子(ねこじ)

●十二月晦日(ひづめ)

●四十八願(よいなら)

●牛糞(ごこい)



 正直「これは捏造ではないか」「架空じゃないか」と思わないでもないが――

 しかし、捏造にしては到底思いつかない読みを当てているところに信憑性も感じてしまう。

 ところで、上記の姓の中には2015年現在すでに絶えてしまったものも含まれていよう。

 ただでさえこういう姓は希少であり、全国に数世帯しかいないものもあるだろう。

 そして近年では、そういう家庭に一人か二人しか子がいない、しかもその全員が女の子である、という事態もありふれたものと思われる。

 つまり夫婦強制同姓制度が続く限り、この人たちの姓は早晩絶滅する可能性が極めて高い。



 もちろん、一度失われた姓は戻ってこない。

 現行制度でも「氏の変更」「名の変更」は家庭裁判所への申請でできるのはできる。

 しかしそれが許可されるには「相当の理由」が必要であり、「氏の変更」は「名の変更」よりはるかに難易度が高いとされる。 

 むろん相当の理由があったとしても、わざわざ難読苗字への変更が許可されることはないだろう。

(この点、私は詳しくないが、たぶん「どんな苗字に変えてもOKよ」というわけではないはずだ。)

 現代では昔のように新しい姓を創ること――「立姓」「建姓」はできないのである。


 私は、彼らの姓が絶滅するのを惜しむものである。

 ずっと受け継がれていってほしいと思うものである。(この際、彼ら自身がどう思っているかは無視させてもらう。)

 夫婦強制同姓が守るべき日本の伝統だと言うなら(私はそうは思わないが)、こっちの方がよほど守るべき伝統だと思う。
 
 これこそが万世に伝えたい歴史遺産であり、夫婦強制同姓制度の重みなんぞとは比べものにはならないと思う。



 いつの日か「九足八島(ろくろみ)」首相が誕生し、「牛糞(ごこい)」博士がノーベル賞を取る。

 そこまで行かなくても、現にそういう人が我々と同じ時代を生きている。

 これはロマンの一種であり、ある種の感動、ある種の(社会の)豊かさを覚える人は少なくなかろう。



 苗字は、いったん廃絶すればそれで終わり。

 これに比べれば家族の絆など、いつでもどうやってでも取り戻せると言って過言ではないのである。


このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://tairanaritoshi.blog.fc2.com/tb.php/224-70f1c518

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

FC2ランキング

FC2オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

FC2アクセスカウンター

日本ブログ村・人気ブログランキング アクセスランキング

ツイッターウィジェット

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR