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またイスラム国か。米カリフォルニア州の銃乱射事件

 本当に、「またイスラム国か」である。

 12月2日、アメリカ・カリフォルニア州サンベルナルディノ市の障害者福祉施設を借り切って、郡保健局が歳末パーティーをしていた。

 それに参加していた当の郡保健局職員であるサイード・ファルーク(28)が、同僚と口論して会場を中座。

 自宅で妻タシュフィーン・マリク(27)とともに重武装のうえ会場へとって返し、銃を乱射し14人を射殺したのである。

(2人は逃走中、警察との銃撃戦で射殺された。)


 FBIは、この事件をテロと断定した。

 妻タシュフィーンは犯行直前、ネットにイスラム国指導者アブーバクル・バグダーディへの忠誠を示す書き込みをしていたという。

 また夫婦の自宅ではパイプ爆弾及び銃弾3000発以上が見つかり、その逃走車両にも銃や1600発以上の銃弾が積まれていたという。

 そして夫ファルークは、複数のテロ容疑者・テロ組織と接触していた形跡があるらしい。

(その一つが、シリアで活動するアルカイダの一派「アル=ヌスラ戦線」との報道もある。)



 この救いのない事件で強いて救いを探すとすれば、襲ったのは障害者施設でも、殺した相手が障害者でなかったことくらいだろうか。

 さすが凶悪なテロリストでも、障害者を殺すのは気が引ける――

 また、そんなことしたらさすがに猛反発を食らうぐらいのことはわかる頭を持っていよう。

 
 しかしこれ、夫婦が何らかのテロ組織と関わりがあったのは事実だとして、本当にイスラム国その他テロ組織の指令でやったことなのだろうか?

 アメリカで銃弾4600発が何ドルするのか知らないが、そしてアメリカには銃愛好者がたくさんいるのだが、たぶん大量備蓄の部類には入るのだろう。

 またパイプ爆弾は自作したに違いないが、そんなことをするのはやはり「潜伏テロ要員」だったのではないかと疑って当然である。


 とはいえ、何でまた障害者施設における(自分の)職場パーティーを狙ったのか?

 テロ組織の指令とは、「どこでもいいから、いつでもいいからとにかくテロしろ」というような、いい加減なものだったのか?

 これだけ銃弾を溜め込んでいれば、警察や軍の施設とは言わないまでも、もっと賑わう繁華街を狙った方がいいはずである。

 地元ショッピングセンター・学校へ乗り込んだ方が、殺傷人数もインパクトもより大きくなったのではないか。


 そしてまた、こんな単発のテロをしたからってそれが何に繋がるのか?

 潜伏テロリストは他にもいるのだろうから、彼らと一緒に同時刻に違う場所で一斉にやればいいのである。

 私ならそう指令する。(とは言っても、じゃあその次にどうするのかは答えられない。)



 ろくにネットをググりもせず印象だけで言うのだが、これは「イスラム国への心酔者のバカ2人が、指令もなしで勝手に暴走してやらかした」事件だと思う。

 熱烈なイスラム国シンパ(ファン)がいて、いつかその一員としてデカいことをしたいと熱望しながら日々の仕事をこなしてきた。 

 しかしそんな気持ちでいたのでは、職場の仕事なんてつまらないクサクサしたものに決まっている。当然不満や鬱憤が募る。

 それがたまたまパーティーで同僚と口げんかになり、いよいよ堪忍袋の緒が切れた夫は自宅へとって返す。

 やはりイスラム国シンパである妻も、また決意して夫に従う。

(妻が夫を愛していた、またはイスラム界における理想的「従順妻」だったことは確かに思える。)


 「いつかやりたかったデカいこと」の「いつか」は、自分のキレたその時だったのである。
 
 今後の捜査がどう展開するかはわからないものの、「イスラム国への心酔+職場への不満・鬱憤」の組み合わせで生じた事件である確率は、かなり高い。

 もしイスラム国やアル=ヌスラ戦線の指令だったとしたら――

 それは恐るべきテロ活動と言うよりはむしろ、ヤキの回った破れかぶれの有様を表しているのではないだろうか?

(「だから、この事件を、どう次につなげるんだよ」という話である。)



 銃乱射事件自体は、アメリカではよくあること・日常茶飯事のニュースである。

 これは皮肉ではなく、本当に隔月くらいのペースでそんなニュースを目にしている。

 その一因として、「事件が大きく報じられるからオレもやろうという気になる」人間心理が考えられる。

 よく言われる「メディアが或る人の自殺を報じると、他の人の自殺も増える」と同じ現象である。

 今回の乱射事件も、「今が旬のイスラム国のテロ活動に影響された、鬱憤の溜まった個人」の所行だと私は思う。


 また逆に、テロというのはイスラム国自身でさえ制御できない大きな雰囲気・ムーブメントと化している、と言えるのかもしれない。



 それにしても気の毒なのは、イスラム国とは無関係なイスラム系の市民・従業員たちである。

 サイード・ファルークとタシュフィーン・マリク。

 このイスラムっぽい名前だけで「イスラム国の犯行だ」と断定した人は、日本人にもアメリカ人にも多かったはずだ。


 それはまあ、イスラム系は偏見に晒されることだろう。それは当然の成り行きである。

 みんながみんなそうじゃない、我々は寛容でなければならない、という声は、こんなことがあれば簡単に薄まってしまう。

 寛容なのは危険であるばかりかバカでもある、との雰囲気が広まるのは避けられない。


 それを防ぐためには、全世界のイスラム教徒はいよいよ「異端討伐」の立場を鮮明にすべきではないだろうか?

 しかしながら不幸なことに、イスラム界にはキリスト教(のカトリック)におけるローマ法王のような存在がいない。

 イスラム国を異端認定し、その討伐を号令するような「正統」イスラム教の首長がいないのは痛い。

 イスラム教においてローマ法王に相当するのは「カリフ」なのだが、まさにそれはイスラム国首領・バグダーディが名乗っているのである。

 日本人(私もだ)やアメリカ人にはピンとこないかもしれないが、SNSの活用よりも何よりも、実はこのことがイスラム国に最も大きな「魅力」「権威」「広報効果」をもたらしているのではないだろうか?


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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