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安川悪斗、引退発表

 本日、安川悪斗が会見を行い、12月23日のスターダム後楽園ホール大会で引退することを発表した。

 今年のプロレス界最大の問題試合(凄惨マッチ)であるvs世Ⅳ虎シングルマッチは、2月22日・後楽園ホール大会でのこと。

 世Ⅳ虎は6月14日、やはり後楽園ホール大会でリング上から挨拶のうえ、引退した。

(しかし、予定されていた10カウントゴングは行われず。)

 ※この試合については、本ブログ「2015年3月」の記事をお読みいただきたい。



 安川悪斗は左眼窩底骨折と両眼網膜震盪症の重傷を負ったが9月23日の後楽園ホール大会で復帰、元気な姿を見せていたものの――

 復帰戦直後のインタビューで「復帰して、あとやり残したことは一つ。ケジメを付けさせてください」と、引退を示唆する言葉を口にしていた。

 それでもしばらくはそんなセリフもなかったかのように試合に出続けていたのだが、ついに今回の会見となった。


 これについての報道(全てスポーツ新聞である)を読んで感じたのは――

 いかなる意見があるにせよ、彼女が相当の根性を持った女性だったことである。

 まず、東スポweb12月1日記事から引用しよう。



(引用開始)*******************************


 安川:

 12月23日の後楽園大会で正式に引退します。

 私は引退するためにリングに戻ってきたようなもの。

(9月23日の後楽園大会で)復帰する前にドクターストップがかかっていて、復帰もできないままフェードアウトかな?と思ったこともあった。

 網膜しんとう症の方は回復しましたが、眼窩底を骨折した左目の視力が落ちてしまったんです。


 ――左目の窩底骨折と両目の網膜しんとう症は世IV虎戦で負った


 安川:

 もともと右目は白内障で見えず、昨年夏に人工レンズを入れた。

 少しだけ立体的に見えるようになったけど弱視なのは変わらなかった。

 ずっと左目に頼っていたんですが、その左目が折れてしまい、視力と距離感が残念ながらうまく戻りませんでした。



(引用終わり)*******************************



 元IGFの鈴木秀樹もそうなのだが、初めから片目が見えないということは立体視ができないということである。

 そしてもう片方の目まで眼窩底骨折し、視力と距離感が戻らないまま(2ヶ月弱とはいえ)試合を戦っていたという。


 また東スポwebの同日付け別記事には、こう書かれてもいる。


(引用開始)欠場中の夏ごろには視力が戻らないことが分かっていたという。

   「もしかしたら戻るのでは」とわずかな期待を込めて9月23日の後楽園大会で復帰したが、回復することはなかった。
(引用終わり)


 そんなことができるのはプロレスだから。真の格闘技ではそうはいかない、という人もいよう。

 もちろん私は、彼女に今どんな風に物が見えているのかはわからない。

 それは、視力0.1の人がメガネを外した状態よりさらに悪いのではないかと想像するのみである。

 (加えて立体視ができないのだ。)



 視力が戻らないのは復帰前からわかっていた。

 しかし「ひょっとしたら戻るのでは」と思いつつ、プロレスの試合を戦っていた――


 もしかしたら対戦相手間や団体内で、彼女の左目を決して狙わないよう申し合わせ・打ち合わせができていたのかもしれない。

 そういうのを真の戦いとは言わないのかもしれない。

 だがそれでも、私なら怖くて試合などできないと思う。視力が戻らないとわかった時点ですぐに引退する気になったと思う。

 いくら申し合わせがあったって、リング上・リング下では何が起きるかわからない。

 不慮の事故はいつでも起こりえる。

 しかも彼女は「故意の事故」の直近の体験者である。(世Ⅳ虎も眼窩底骨折を意図したわけではなかったろうが。)

  
 その精神力は、際立ったものがあると言わねばならない。



 9月23日の安川悪斗復帰戦に当たり、スターダム社長・ロッシ-小川は、

「これまでのような自己中心的な発言や行動は、今は認められない。

 復帰するにあたって肝に銘じてほしい。

 これまでの言動を振り返りながら、新しい安川惡斗を見せてほしい」


と、妙にクギを刺すようなコメントをしている。(東スポweb 2015年7月30日記事)


 また世Ⅳ虎は、自らの引退セレモニーを行う際(結局セレモニーはなされなかったが)、

 「安川と接触しない」「映像をメディアに流さないこと」を条件にしていた
という。(ウィキペディア「世Ⅳ虎」の項)


 悪斗には、自己中心的な言動があったのだろう。

 たぶん障害者手帳をもらえる身でありながら、嫌われやすいタイプでもあったのかもしれない。

(もちろん障害者にもイヤな奴はいる。当然のことである。)


 悪斗はこの期に及んでも


「本音を言えば彼女にはリングに戻ってきてほしい。

 他人の人生に口は出さないつもりでいたいけど、プロレスを大好きだってことを知ってるし(22歳と)まだ若いから。

 私がいると帰ってきにくいのかなって思う部分もある。

 いつか「和解」とかあればいいんだろうなと思います。」
(東スポweb 12月1日記事)


 と言っているが、これも世Ⅳ虎にしてみれば我慢ならないカンに触る言動なのかもしれない。

 和解なんて誰がするか、と草葉の陰で思っているのかもしれない。


 しかし彼女の真の性格がどうであれ、少なくとも2ヶ月弱は、

 失明(またはそれに準じる状態に陥ること)の恐怖と戦いながら試合をしていた事実は残る。


 正直私はその試合を見る限り、目の状態の影響など全く感じられなかった。


 あるいは人は、それは「プロレスラー魂」じゃなく「役者魂」だろうと皮肉を言いそうでもある。

(悪斗はもともと役者である。)



 それでもやはり、何らかの「魂」であることは否定できまい。


 悪斗は引退後、「スターダムの人数が少ないので、何かしらの形で手伝っていけたらなと思っています」と話したようだ。(東スポweb記事)

 それは、OZアカデミーにおける西尾美香(2013年、NOAHのマイバッハ谷口と結婚した)のような役回りだろうか?

 西尾美香は2006年に胸椎・頸椎を脱臼骨折して以来、「悪のマネージャー」として鞭を振るって活躍している。

 もし悪斗が世Ⅳ虎のようにスターダムと縁を絶てば、同期で仲の良かった宝城カイリなどは悲しむであろう。

 何らかの形でスターダムと関わり続けるのは、良い選択なのだろう。

(ただしそうすると、世Ⅳ虎はいよいよ戻ってこれないことになるはずだが。)

 
 今年2015年のプロレス界の三大問題――

① 世Ⅳ虎vs悪斗の凄惨マッチ

② 諏訪魔vs藤田和之の初対決

③ 棚橋弘至とHARASHIMAの因縁

 は、②は失望で終わり、③はハッピーエンドで終わった。

(しかしストロングスタイルの「戦い」「殺し」を重視する人にとっては、③は呆れた茶番以外の何ものでもなかろう。)



 そして①は、際立ってシリアスで粛然とした終わり方をしたと言えそうである。

 またスターダムという団体は、現代のプロレス界において――

 好ましからざるトラブル・ハプニング続きでありながら相当の活力を保った、

 昭和(猪木時代後期)新日本に最も似通った団体であると感じるのは、私だけだろうかとも思う。 


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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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