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複数の時代を生きる/過去と現在は意外と近い/今年生まれた子は22世紀を生きる

 複数の時代を生きること、長寿者に感じるロマンについて、もう少し書く。

 主なテーマは、「過去と現在は意外と近い」ということである。


 まず「20歳で子を産み、90歳まで生きる」親子が3代続いたとする。

 今の2015年に90歳である人は、1925年(大正14年)に生まれた。

 そのとき親は20歳なので、親は1905年生まれとなる(日露戦争の年である)。

 その親の親(以後「祖父母」と呼ぶ)は1905年時点で20歳なので、1885年(明治18年)生まれ・1975年(昭和50年)死亡。

 1975年とは、今90歳で存命の人が50歳の時に当たる。


 さて、さすがに「20歳で子を産み、90歳まで生きる」親子が4代続いたとするのは仮定が過ぎる。

 よって1885年生まれの祖父母は、曾祖父母の30歳の時の子だとしよう。

 となると曾祖父母は1855年生まれ(嘉永7年・安政元年)。

 ペリーの初来航は1853年(嘉永5年)なので、その2年後に生まれている。

 また、明治維新(1868年)の際は13歳になっている。


「人間は、10歳以降の記憶は大人になっても(たとえ少しでも)持っている」という仮定に基づけば、曾祖父母には幕末維新の記憶があったはずである。

 もし曾祖父母がやはり90歳で死んだとすれば、その没年は1945年。

 今2015年に90歳である人は、1925年生まれなのだから――

 彼が10歳の頃の1935年当時、曾祖父母は80歳でまだ生きている。


 つまり、2015年の今も生きている90歳は、曾祖父母から直接に幕末維新の思い出を聞いた可能性があることになる


 現代人の意識において、言葉的にイメージしうる「先祖」の限界が「曾祖父母」であることを考えると……
 
 この21世紀の現代と幕末は、まだギリギリ繋がっていると言えるだろうか?



 ここでもっと仮定してみて、その曾祖父母がさらにまた「90歳まで生きた親の、30歳の時の子」だとしよう。

(この親を「曾々祖父母」と呼ぼう。しかしここまで来るとイメージは難しい。)

 1855年時点で30歳なのだから、曾々祖父母は1825年(文政8年)生まれ

 やはり10歳からの記憶が後々まで残るとすれば、曾祖父母は「1835年以降の曾々祖父母の体験談」を聞く機会があっただろう。

 それは天保年間(1830-1844)の話であり、天保の大飢饉(1833-1839または1836)、大塩平八郎の乱(1837年)も範囲内である。

 つまり恐ろしいことに、2015年の今も生きている90歳の中には、曾祖父母から「自分の親はこんなことを言っていた」という形で――

 天保の大飢饉の思い出を語られたことがある人がいるのかもしれない。



 もちろん、こんな家系は実際にはいないのだろう。

(いたらニュースになっているはずだ。)

 しかし、可能性としてはある。


 そして考えてみれば、江戸時代にも90歳まで生きた人は必ずいた。

 もしその人が1868年の明治維新を見た直後に死んだのであれば、その人は1778年生まれ。

 それは安永年間(1772-1780)のことであり、江戸幕府10代将軍・徳川家治の治世だった。あの田沼意次の全盛期である。

 家治は1786年に死去、直後に田沼も失脚し、あの徳川家斉・松平定信の時代(寛政の改革)が始まる。

 寛政の改革をリアルタイムで経験した人が、生きて明治維新を迎える――

 これがあり得たことを思うと、またしても感慨を覚えてしまう。



 そしてそう言えば、今年(2015年)に生まれた赤ちゃんは、そのかなりの部分が85歳を超えて生きる。

 生きて22世紀を迎えることになる。


 22世紀の未来は、どんな社会になっているだろうか。

 そして彼ら彼女らは、(昭和・平成などという年号は別として)果たして「複数の時代」を生きることになるのだろうか。

 おそらく私は、そうなると思う。

 その複数の時代とは、戦争によって区切られると思う。


 どだい1945年から2100年までの155年間も、戦争なしで過ごせるなどとは思えないからである。

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平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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